第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
八十一巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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クロボシヒラアジ 2006年8月8日 401
 鹿児島県笠沙から届いたばかりのクロボシヒラアジ。魚屋や飲食店主に見せたら「なんだろうな。どこかで見たことがある。シマアジの仲間、それともカイワリかい」なんて興味深々。関東ではまったく目にすることはないのである。当然『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんにとっても初対面。「なんだこれ、特徴のないアジだね」なんていいながらあっという間に2かん。そして自分も1かん口に放り込む。「うん、ちょっと血合いの酸味が気になるね」。ワサビからショウガに代えて、「ああ、これなら青あじ(マルアジ)なんかと変わらない」。血合いが大きいのが本種の特徴であるようだ。そこから酸味を感じるのだ。身は鹿児島から中一日で地元の漁師さん曰く食べ頃であるという。まさにその通り、しっかり旨味があって、合いの手のような血合いの酸味が悪くない。「南のアジも悪くないね」という結論にいたる。
●市場魚貝類図鑑 クロボシヒラアジのページへ!
●鹿児島県笠沙漁協定置網に入ったもの。伊東正英さんから。笠沙の「豊かな海」へ
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ロコガイ/アワビモドキ 2006年8月9日 402
 さて、古くは回転寿司で「アワビ」と表示されていたのが、チリなどでとれるアワビモドキである。アワビモドキは和名なのであり、当地ではロコガイである。最近は回転寿司などでもロコガイと品書きにあるようだが、どうもコイツがちまたでは「アワビの偽物」として悪者扱いを受けている。では実際に食べてみて味はいかがなものか? それで、たかさんとじっくり味わってみた。今回のものは輸入されたものを国内で煮貝に加工したもの。「うん、思ったよりよくできてるね。うまいと思うよ。ただ磯の香りというのかな風味がないよね」。そうなのだ、煮貝としてはうまい部類なのではないか? でもアワビが持っているような強い磯臭さがない。この個性があって初めて、寿司ネタとして生きてくる。「でもすし飯にもあうよ」という、たかさん、さっそく2かんが目の前に。これはうまい。ただし決してアワビではなく、ロコガイの味なんである
●市場魚貝類図鑑 アワビモドキのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
イタチウオ/イタチウオ 2006年8月10日 403
 イタチウオとは、まあうまい名をつけたものである。この顔というか頭部を見る限り食肉目イタチ科のニホンイタチにそっくりである。でも全身が褐色のヌラリヒョンとしたイタチ顔の魚がうまそうに思えるか? と言えばノーだろうな。そのイタチウオ、ちょっと頑固な寿司職人たかさんにまるまる渡すのはやばいな、と思い。予め我が家で仕込む。まず昆布締めにする。これが大失敗、軽く塩をふり昆布にのせて小一時間、味を見ると塩がきついし、昆布の香りでなんの魚なんだかわかりゃしない。それで最近、覚えた煮魚の握り。これはおかしいと思われるかも知れないが、実は穴子などは煮魚そのもの。醤油と酒砂糖でさらりと煮上げて、そのまま煮汁に漬け込んで『市場寿司 たか』へ。これがなかなかうまい。イタチウオの上品な白身の味わいが煮たことによって浮き上がっている。そして適度な柔らかさはすし飯との相性も抜群である。と、首を横に振っているのがたかさん。こんなもの「アブラガレイでも鱈だって同じだろ」。「これだけじゃ寿司ネタには不合格。味はいいけどね」。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
クロメジナ 2006年8月15日 404
 釣りの世界では「尾長」、もしくは「尾長ぐれ」なんて呼ばれてスターの座にあるのがクロメジナ。近縁のメジナが岸近くの岩礁にドメスティックに暮らしているのに対してこちらは少々沖合を回遊している。大きさもメジナならせいぜい40センチほどにしかならないのが、こちらは70センチを超える。味わいはメジナがときに磯臭いのに、こちらは沖合にいるせいだろうか、ほとんど臭みのないイサキを思わせるような身質なのだ。これを持ち込んだら、たかさんがいきなり嫌な顔をしてくれる。「だからメジナはダメだっていっただろ」、「メジナじゃないのクロメジナ」、「だからメジナだろ」「違うんだ、よ!」。ということで無理矢理、2かん。先にぱくりとやって残りの身をネタケースにしまったところを見ると「うまかったんだな」。「うん、うまいな。メジナじゃないのかな。魚本来の酸味のある旨味というか、甘味もあるし、寿司ネタにもちょうどいい柔らかさだ」。まあ、めったにほめないのに、どうしたんだ。「雨が降るぞ」と外を見ると驟雨沛然なのである。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
赤はだ/ツルツル 2006年8月18日 405
 頭の上が寂しい方には申し訳ないような標準和名なのだけど、このツルツルという海藻を食べると明らかに毛髪にいいはずである。まあ一か八か、お試しあってもいいだろう? そのツルツルであるが比較的どこでもとれる、とれるがこれを食べている地域がとても少ないのだ。「うまいのにおかしいな」、ツルツルを『市場寿司 たか』に持ち込んで説明しているのだが、「だからこれをどうしろって言うわけ。まさか寿司にでも握れってんじゃないよな」。まあまあ、「軍艦にできないかな」、「軍艦の船の部分は何で出来てるかわかってる。海苔だよ、海苔、海藻だろ。海藻を海藻でやるわけ」。これをなだめて、なんとか出来上がったのがこれ、赤いツルツルは熱を通すと緑になり、ねばねばが出る。これをスプーンで軍艦に乗せるのだが、すぐ食べないと海苔が濡れてだらしのない状態になる。味は悪くはない。めかぶに似た味わいで海苔、すし飯なんだから。「でもこれ寿司じゃねーだろ」ということでした。
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