第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
三十七巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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山女魚/ヤマメ 2005年9月28日 181
 ヤマメを使った寿司は数あれど、これほど不格好なものには初めて出合った。それでも味がいいので取り上げる。ちなみに小谷村の道の駅はなかなかいいのだ。さてサクラマスが陸封されたのがヤマメである。今や天然ものは非常に希な存在になっていて、当然寿司などに加工されるのは養殖されたものだろう。山間部に行くとどこでも名物はヤマメの塩焼きや寿司となる。養殖技術が進んできたのだろう、その味わいはどんどんよくなっているように思える。また天然ものよりも養殖の方が比較的寄生虫の心配も少ないだろうから、このような酢締めでも安心できるかも? ヤマメは酢締めにしても上品で、しかもサケ科独特の風味はある。それに爽やかな酢飯がくるのだから、よほど運が悪くない限り味は保証できるだろう。今回の小谷村のヤマメ寿司。見た目はまるで子供が作ったように不器用である。それでもすし飯の味わい、またヤマメの味ともによく、食べて満足度高しである。
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●長野県小谷村 道の駅
めじまぐろ/クロマグロ 2005年9月29日 182
 駿河湾、巻き網船でとった「めじまぐろ(クロマグロ)」の握りである。めじまぐろの握りはこれで2度目となるのだが、今回のものは『市場寿司 たか』、渡辺隆之さんも大絶賛のなので、あえて登場させた。沼津魚市場でもっとも地の魚を知悉しているのが山丁・菊地利雄さんである。いつも教わるのは、一見なにげない魚でありながら、その微妙な旬や駿河湾、相模湾での違いなど目を洗うようなことが多い。その菊地さんが「めじまぐろ」送ってきてくれた。この秋に、しかも釣りではなく巻き網というのも、意味ありげである。そして食べて、江戸前寿司職人が驚いて2、3かんと食べているのだ。その味わいは全体にまろやかでやわらかい。言うなれば「はんなりした味わい」。脂はそれほど多いとは思えない。それなのに脂がたっぷりあるかのように思えるのは柔らかさのためである。たかさん曰く「いくらでも食べられる味だね」。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
コショウダイ 2005年9月30日 183
 コショウダイという魚、ほんの少し前までは珍しい部類だったのではないだろうか? 今でも種類がわからなくて名を聞かれる回数は少なくないが、市場に入荷する頻度も高くて、寿司屋でも普通に使われている。ある日、『市場寿司 たか』に行くとちょうどおろしているのがコショウダイであった。「そんなにネタとして惹かれるところはないんだけどね。時々仕入れてお客さんの反応もいいんだよね」と、たかさん。さっそく2かんが来て、改めてコショウダイのうまさを再認識した。科が同じなのでイサキに似ていると同様にイシダイにも似ている味わい。身がしっかりしていて、噛むとシコっと心地よい。そこに染み出してくるのが上品な旨味と脂である。ともにやや控えめではあるが全体に調和がとれているのだ。「白身で迷っていると、なぜかあるんだよねコショウ(ダイ)が」という寿司屋に重宝な魚である。
●市場魚貝類図鑑、コショウダイのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
マツバガニ 2005年10月1日 184
 決して「松葉蟹」ではない。こちらはクモガニ科のズワイガニ、とれる場所で名前が変わって「越前蟹」とも言う。あちらが有名蟹とすればまったく日陰の身でいるのがマツバガニである。東京湾から南の太平洋側で希にとれはするが、とれても博物館や水族館行きとなってまず食用まで回ってこない。今回のものも東京湾の漁師さんから、千葉の海人・つづきさんがもらい請け、そして送られてきたのだ。あえて食べてみて、そんなにうまいとも、まずいとも言えず。ただただ普通のカニの味わいである。味わいの系統としてはガザミ(ワタリガニ)に近い。『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんも、ほぐしてしまったらカニはカニだね」と言う。「またとれたら持ってきなよ」というが、いつになることやら。カニの味わいとしては上々だった。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
越中ばい/エッチュウバイ 2005年10月2日 185
 エチュウバイは難しい。日本海にいるアニワバイという巻き貝の仲間は謎だらけなんであるが、「特に」と言っておく。山口県から山陰、若狭、能登、新潟から秋田にかけて「白ばい」と言う名で売られているのがエチュウバイだと思う。でもここに数種の似すぎた仲間がいて、その同定は職人技が必要。そこで今回は典型的なエチュウバイが見つかったので握ってもらった。『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんはエゾバイ科のつぶやばいを握るのがきらいだという。これは当然ですし飯に対して硬すぎるのだ。「刺身で食べた方がいいんじゃない」と知らんぷり決め込むこともある。それでも比較的軟らかいからとお願いすると2かんが出てきた。くるりと海苔が巻いてあるのは「礒辺巻き」という。軟らかいといってもシコっとする食感。噛むと甘みがでる。そして微かな貝の味わい、苦み。うまいのだこれが。でもやはりすし飯とは一体感がない。次回は酒蒸しでトライしたい。
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