寿司図鑑365 目次へ!
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マルイボダイ 2005年8月8日 131
夏真っ盛りで朝から暑い。駿河湾の海風は早朝は止まっているのだろうか? 定置網を見ていてもじりじりと汗が噴き出してくる。その選別のなかにぽつんと落ちているのがマルイボダイ。図鑑では西日本、どちらかというと日本海に多いように書かれているが沼津でも決して珍しい魚ではない。定置網の人に聞くと、「こいつは珍しくはないだら。おいしくもないね」と値の付かない魚だとすぐに手渡してくれる。イボダイに似て、また遠からずの種であるが味わいは少なからず劣る。ただこれが刺身にすると捨てがたい味わいなのだ。当然、『市場寿司 たか』で握ってもらう。すると「アジでもないし、メダイでもないし、どちらの良さもない。こりゃうまくないだろ」という。確かにすし飯と合わせて個性と旨味が少なすぎる。ただただ刺身を乗っけて、それだけでしかない。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
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鰻蒲焼き/うなぎ 2005年8月9日 132
江戸前握りにウナギと眉をひそめる人がいる。確かにウナギを割く、焼くとなると衛生管理の点からも生ものを扱う寿司屋にはむつかしく。結局ウナギは加工品かどこかで焼いてもらったものをネタにするしかない。昔気質の職人はこんなことも嫌いに違いない。でも、たかさんなど「うまいものはうまいんだから使うよ」と割り切ってしまっている。そして今回持ち込んだのは宮崎県日南市浜乃茶屋さんの地焼き(蒸さない)の蒲焼き。強火でこんがりとワイルドに焼いたウナギにやや甘いタレ。一切れ食べて「こ〜りゃうまい」とすぐに2かん握って、自分用にも1かん。ウナギにあってアナゴにないものは微かな麦わら臭。これが「臭」ではなく「香」だと思えるように焼くのが技ではないか? 浜乃茶屋の蒲焼きはまことに香りがいい。ちょっと甘めのタレがすし飯ともあって、粋な逸品ができあがった。
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セミホウボウ 2005年8月10日 133
千葉県外房、三浦半島、駿河湾が身近な海なのだが、どこにいっても悲しくうち捨てられているのがコヤツである。どうもうまくないらしいと思っていて、それでも何度か食べてみた。まあそれなりに食べられるのだが、どうにも刺身がうまくない。と、実験的に『市場寿司 たか』の寿司職人たかさんに食べさせてみた。いわゆる人体実験というヤツ。当然首をひねりながら「なんだこりゃ、ちょっと酸っぱいような、鉄でもなめたような後味があるな」と言うので、仕方なく握りに仕立ててもらう。酸味はそうもやや赤葡萄酒のような血合いからくるようだ。そしてその酸味のあとに旨味がこない。「う〜ん、これは無理じゃないの」というのが結論。でも食べてみなきゃダメわかんね〜よな、こんなこと。
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小鰯/マイワシ 2005年8月11日 134
蒸し暑い夏の日、市場の仲卸店先で寿司屋さん、居酒屋さんたちが奪い合っているものがある。見ると三河湾からきた小振りのマイワシである。箱を見ると懐かしい「毎味水産」の文字。エビの取り扱いでは我が国でも屈指の毎味水産は三河湾の幸を送り出してくる荷主でもあるのだ。これじゃとても手が出ない。諦めていたらしっかりこれを仕入れていたのが『市場寿司 たか』。ちょっと遅い午後に店に顔を出すと、「こんなものが1匹残っているんだけどね」と出してくれたのだ。これが絶望的にうまい。どうして絶望的かというと1匹しか残っていない。こんな中途半端はダメダメといくら叫んでも後の祭り。身は柔らかく適度な脂がとろっと舌に甘味を残す。すし飯と馴染んでからの余韻もいいぞ! 「朝からね、イワシだから残るだろうと期待したの。持ってかえって食べようと思ってさ」という、たかさんにお感謝!
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川がれい/ヌマガレイ 2005年8月12日 135
関東の市場で見かけるカレイの種類はマコガレイ、マガレイほかかなり多いのではないかと思われる。でもさすがに東北以北ではもっともっと種類が多くなる。すなわち北には関東まで出荷しても採算がとれないマイナーなカレイも少なくないのだ。このヌマガレイというのもマイナーなカレイのひとつ。マガレイなどと比べて味わいが落ちるし、脂がなく焼くなどするとパサつく。それでもあえて食べるなら刺身だと思う。活けのものを選ぶのがいちばんだが、今回は岩手県久慈市からきた野〆のもの。これを怖々『市場寿司 たか』までもっていくと素直に2かん出してくれ、ついでにたかさんも味見。「うん、うまいじゃん」と予期せぬ反応。どちらかというと脂よりも身の味わい重視であるのが、でぶっちょ脂大好きにもこの身の風味というか味わいはいいなと感じた。それなりにいける川がれいかな。
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