第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
十四巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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エゾハリイカ 2005年6月4日 66
 春から秋にかけて福島県などからまとまってくる小振りのコウイカ。面白いのは秋に来るコウイカの子供である「新いか」と勘違いして、「時季はずれだな!」なんて通り過ぎる老寿司職人がいる。それほど外見はコウイカと変わらないが、大きくなっても外套膜(すなわち身の部分)の長さが10センチほど。どうも主に総菜用に煮つけたり、焼いたりされているものらしい。それを寿司ネタにするのだけれだ、軽く湯引きしてみた。この身がなかなか味わい深い。思ったよりもぷるっとしていて、噛むとほどよく甘みと旨味がある。今回は握ってから粗塩とスダチ、ツメで食べてみた。どちらもいいもんであったが、スダチと塩の味わいが一段上。
市場魚貝類図鑑、エゾハリイカのページに!
●八王子綜合卸売センター『市場寿司 たか』
車海老/クルマエビ 2005年6月5日 67
 ほとんどの日本人が「エビ」として最初に思い浮かべるのがクルマエビだろう。築地のエビ専門店では天ぷら用の「まき(10センチ足らずのもの)」から天然の30センチを超えるものまで用途に合わせた品揃えがなされていて、すべて高価きわまりない。この値段のために寿司ネタとしてクルマエビを出せる店は御支払も非常にお高いわけだ。当然、そんな店に行けるはずもないので、徳島県阿南市の橘水産で生きたものを戴き、遠路持ち帰って『市場寿司 たか』でお願いねと差し出しました。「まあ立派なクルマエビだな」ということで尾頭つきで握ってくれた、その見事な雄姿。おわてて頭からがぶりとやって失敗しましたが、うまかった。茹でたことで増した甘みに、まず感涙。そこにこの大きさがあって口の中に旨味食べ応えともあって満ち足りた心地よさが広がる。ちゃんとすし飯も存在感があったのは不思議だな。
●市場魚貝類図鑑、クルマエビのページに!
●八王子綜合卸売センター『市場寿司 たか』
黒目張/メバル 2005年6月6日 68
 メバルには「赤」と「黒」がある。「赤」はウスメバルという魚でやや沖合、そして日本海や太平洋側では常磐以北に棲息する。そして今回の握りに使ったのが「黒」。こちらは日本各地にいるのだが、内湾の岩礁域に多い。ともに産卵期は冬から初春。産卵後、エサを荒食いしてうまさがもどってくるのが初夏、この頃まとまって入荷してくる。うまさを比べるに煮つけにすると雌雄つけがたく思うが、なぜだかともに刺身にされることがない。「メバルの刺身は珍しいね」という、『市場寿司 たか』のたかさんを急かせて、1匹から4かん(個)の握りができた。「う〜ん、思ったよりいけるな」というたかさんの言葉を受けて口にぽい。「思ったより」は余計かな、と思えるほどにいい。なにより身がしっかりしているのだが咀嚼してほどよくほどける。微かに甘みがあり、うまさが浮き上がってきた。すし飯の存在感も生きているではないか? 「小さいけどうまいなコイツ」
●市場魚貝類図鑑、メバルのページに!
●八王子綜合卸売センター『市場寿司 たか』
タカベ 2005年6月7日 69
「タカベが来たら夏が来る」なんて寿司職人がタカベを選っていると、仲買の店員が「その前にジメ〜っとした梅雨がありますよ」なんて混ぜっ返している。「そんなこと言ってっと買わねーぞ」と返して、見事なタカベにご本人は満足げに見える。毎年のことながら市場で繰り返される光景だ。この時期になると伊豆七島から見事なタカベがまだコバルトブルーの色合いを輝かせて入荷してくる。「タカベは塩焼き、寿司屋ではおつまみ」というのが常識であるが、これを『市場寿司 たか』に持ち込んだ。「そうだね。タカベの刺身は聞かないね」と言いながら卸す、たかさんの包丁に脂がべっとりついて鈍い。この生を食べてみる。思ったよりうまい。うまいが平凡だなと、すぐに出来た握りを口に入れて驚いた。タカベの身はやや柔らかい。その柔らかさがすし飯とあいまって、うまいのだ。これをして調和のとれた握りとでも言おうか!
●市場魚貝類図鑑、タカベのページに!
●八王子綜合卸売センター『市場寿司 たか』
白ばい/カガバイ 2005年6月8日 70
 6月の関東の市場には毎日のように山陰産の「白ばい」が入荷してきている。やっかいなのはこのカガバイという巻き貝、種としてもどうにもとらえようがない。近縁にエッチュウバイというのがあり、こちらの方は巻き貝の巻き上げていく切れ込みが深く、とれる場所もまた深い。そしてそれがともに浅いのがカガバイである。ただこれでは種としての区別はあまりにも微妙であり、産地別にエッチュウバイと言われようが、カガバイと言われようがどうでもよくなってしまう。またこの白ばいを生か軽くゆがいて生に近い状態で食べるのが新潟県なのだが、関東では出来るだけ小振りなのを選んで煮物にしか使わない。今回は大きいのを選んで軽く湯引き、これを握りに。『市場寿司 たか』のたかさん曰く、「ちょっと面倒くさいけどうまい」。ゆがくとシコッとした食感に甘みが出る。これにうまいワタの軍艦も試す。これがなかなかいい。
●市場魚貝類図鑑、カガバイのページに!
●八王子綜合卸売センター『市場寿司 たか』



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