第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
百八巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
ぼうずコンニャクと庶民的寿司屋「市場寿司 たか」が目指すは千かんの寿司。

どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。●魚の生食に関しては寄生虫などの危険をともないます。食べるときには自己責任にて
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青血引/アオチビキ 2007年12月6日 532
 南の魚で関東ではあまり馴染みがない。それが初冬の市場仲卸に一箱だけ入荷してきた。料理人、魚屋などが取り囲んで「なんだこれ、おもしれーな」なんて話しているが、なかなか手を出そうとしないのだ。値段は安いものだし、魚の大きさも40センチほどで手頃だ。「色がなー」、料理人の一人が手に持って「青いんだよね」呟く。「でもこのアオチビキは南方では高級魚ですよ」、ボクが答えると、それでも一箱はあっという間に売れてしまった。これを『市場寿司 たか』に持ち込む。たかさんもこの青銅色に驚いたようだ。「形はいいけどね」。その懸念も三枚に卸して、皮を引くとすぐに消える。「きれいな身だね」。刺身に二三切れ食べて、「うまい」。当然、握りにしても「これはいい」となった。脂があるのか、身がしっとりしている。旨味があり、ほんの少し甘味も感じられる。寿司飯との相性も抜群にいい。「こう言うのが沖縄なんかで寿司ネタになってるんだろうね。沖縄ね、こう寒いと行きたくなるね」とたかさんが高尾颪の八王子で呟くのだ。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
草紙剥/ソウシハギ 2007年12月9日 533
 岸辺近くの岩礁地帯で見つけても、定置網などに紛れ込んでも、まず食用とはならないで「いきなり捨てられている」ソウシハギはそんな存在である。それではまずいのか? というとさすがにカワハギの仲間で味がいいし、身も透明感があってきれいだ。どうやらいけないのは、その細長すぎる、平たすぎる体つきとシュールな文様にあるのかも知れない。オマケにコヤツ内蔵にパリトキシンという毒を持っているので食べるのは身(筋肉)だけにして欲しい。さて『市場寿司 たか』に持ち込んでもカワハギの仲間だとわかるのだろう、たかさんなんの反応もなく淡々と寿司に仕立てる。そして出てきて、「なかなかうまいじゃないの。カワハギとは比べものにならないけど、上品だよ」。まさに、間違いなくカワハギには比ぶべくもないが、似ていなくはない上品な白身でポン酢なんぞを使うと刺身でもうまいのではないか? そう思いますね。図鑑にあるように決してまずい魚ではない。
市場魚貝類図鑑のソウシハギへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
鹿島灘貝/カシマナダバイ 2007年12月14日 534
 エゾバイ科エゾバイ属の巻き貝は総て食用となる。そのあまたあるエゾバイ属のなかでももっともうまいのがカシマナダバイである。ただし食用として出回るものは非常に少なく、貝の収集家にとっても貴重なものだ。ということでこれが非常に美味であることを知っている人も少ないだろう。と、寿司職人のたかさんの自慢しながら、ふたりしてじっくり味わう。「うまいね。白ばい(エッチュウバイ)もうまいと思うけど、こっちの方が断然上だろうね。食べてしまうのがもったいねーな」。手放しで「うまい」を連発しながら、たかさんは寿司飯にも相性がいいという。これは身がエッチュウバイなどにも増して柔らかいということだ。めったに手に入らない貝だから、食べた後が空しいのが難点ではある。
市場魚貝類図鑑のカシマナダバイへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
小口総笠子/コクチフサカサゴ 2007年12月16日 535
 カサゴ科フサカサゴの仲間は全身棘だらけ、また皮弁(皮膚が布状に伸びたもの)だらけで種がわかりづらい。その見分けがたいなかでも「大口(フサカサゴ)」と「小口」の2種は似ていて、ようするに文字通り口の大きさで種を判断する。また外見が似ている上に味もそっくりで、“味”の違いがなければ種などどうでもいいだろう、という水産関係者にはまさに「そんなの関係ない」と言われそうだ。実際に寿司職人の渡辺隆之さんにして、「なにこれ? 普通のカサゴじゃん。うまいに決まってるだろ」と握りを二かん、案の定「うまいね」で後に続く感想なし。そしてボクも、はっきりコクチフサカサゴがどうだ、という感想まで持ち得なかった。皮下の少ないけれど層になっている脂肪、そして身の上品な味わい。見かけに寄らず優等生の味だね。これで淡々と寿司図鑑の試食が終わったのだ。
市場魚貝類図鑑のコクチフサカサゴへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
寒鯛/コブダイ 2007年12月23日 536
 握りを食べてみて、たかさんとの評価がぜんぜん違ったものになった。それは大分県からきた1.5キロほどのコブダイである。このコブダイは赤く、まだすんなりした頭部であってコブがない。ということは雌性先熟なので、まだ雌ということになる。巨大になる魚であるが、食用としてはこのくらいがもっとも使いやすい。また別名「寒鯛」というくらいで冬が旬。さわっただけでいかにも脂がありそうだった。その脂が皮下に層を作っているのをやや厚切りにして、たかさんは握りとした。ボクにはこれがまことにうまかった。なにしろ脂がのって甘く、そして身の味わいにコクがある。そして餅のような食感。たかさんはこの食感があまり好きではないと言うのだ。だから、ボクの絶品というのに、たかさんは握りとしては「すし飯との相性がイマイチよくない。それに脂の甘味はあるものの。旨味に欠ける」と判断した。どっちが正しいか、実際に食べてもらうしかない。
市場魚貝類図鑑のコブダイへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」



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