第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
五十四巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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ヒメエゾボラモドキ 2005年12月22日 266
 市場などで「つぶ」と呼ばれているのは、ほとんどがエゾバイ科の巻き貝。北の貝というイメージ通りほとんどは北海道や東北日本海などが産地だ。そのなかでもっとも南でとれるのがヒメエゾボラモドキというわけのわからん名をもっている貝。これは主に東京湾以南の深海にいるのだけれど、あまり量がとれないので産地だけで消費されている。これなど刺身もなるし、酒蒸しでもうまいし、もっともっと評価されて値が上がってもいいだろうに今のところ目立たぬ存在でしかない。寿司職人の渡辺隆之さんも「これ“まつぶ(エゾボラ)”のちっこいヤツかな」なんて似てもいないのに言う。しかも、たかさん、巻き貝を握るのが苦手である。出来上がったものは、刺身がうまいのだから握りも悪くない。そしてたかさんが評するに「これだけ硬いと寿司には合わない」と言うのだ。このへんは寿司職人らしくていいのだけれど、「こんな寿司もあり」だと思う。
●市場魚貝類図鑑 ヒメエゾボラモドキのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
霞鰺/カスミアジ 2005年12月23日 267
 大分県というのは、魚貝類の産地としてもっとも優れているのではないかと思う。例えば「関あじ」「関さば」のようにブランド化するとか、また独特の魚の締め方といい。漁もあるのだろうけど、それ以上に荷の作り方が芸術的とも言えるほどに美しい。そこから来たのがカスミアジとギンガメアジの箱。20センチくらいの両種が丁寧に左向きで並べられている。そこからカスミアジだけを抜き取り『市場寿司 たか』に持ち込む。これが絶品だった。小振りなので残念ながら脂は少ない。それでも身に旨味があるし、また身質が緻密で、しかも美しいのだ。「才色兼備というけど、そんな娘だなカスミアジは」とはたかさんの弁。男の子かも?
●市場魚貝類図鑑 カスミアジのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
数の子/ニシン 2005年12月24日 268
 一般にはアイヌ語で「かど」がニシンのこと、その「子」であるから「かどの子」が「数の子」になったもの。3月から5月に産卵で岸に寄せ来る春ニシン漁は1950年代くらいまでは北海道において一大産業であった。今は鮮魚としての流通があるのみで数の子の原料はカナダやアメリカからの輸入である。これを握りに使い始めたのはいつの頃からだろう。回転寿司ではお馴染みとなっているが、一般の寿司屋では使わない店も多い。青森から送られてきた数の子を持ち込むとたかさん「数の子の握りは好きなんだよね。意外に昔も使っていたような」だという。ただ、たかさんにして50過ぎなのだから、戦前はどうだかわからない。さっそく出てきた醤油漬けの数の子が握りにして意外にうまい。数の子には独特のアクがあり、苦みとなって感じられる。これがすし飯にあわさって中和されている。「そうだ、そろそろ大晦日、数の子を仕入れるか」と市場を走る、たかさん。もっと分けてあげるとよかったかな。
●市場魚貝類図鑑 ニシンのページへ!
●今回の数の子は青森市『ミヤコー』のもの(パラ・ペツさんから) 握り「市場寿司 たか」
鉄瓶/ヒレジロマンザイウオ 2005年12月25日 269
 この魚、あまり市場には入荷してこない。それはやや沖合の深いところに棲息しており、まとまってとれることがないからだ。ただあまりに真っ黒な姿から印象深いのか、たまに入荷してくるだけなのに市場では「鉄瓶」として人々に膾炙している。そのヒレジロマンザイウオが突然我が家に到来した。高知市の漁師・永野さんにいただいたのだが、土佐清水市の第18司丸が釣り上げたもの。市場で見るよりももっともっと黒っぽく見えるのは新しいためだろうか? その真っ黒な鱗と皮をすき取ると、なかから出てきたのは見違えるような白身である。この握りがうまい。平凡な白身なのだが、微かに甘味があり、その後にジワリと旨味を感じる。上品で食べやすい味わいで4、5、6かんと食べて飽きが来ない。寿司職人のたかさんをして「物足りない気がしてたけど止められなくなるね」と、いつの間にか寿司職人の昼食が寿司となったのだ。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
チリウニ 2005年12月26日 270
 仲卸の店に山盛りになって売られていたのがチリ産のウニである。むき身で木箱ではなくプラステック入りである。中国、アメリカなどのものが高くなって国産同様の包装をされているのに、チリ産のものはいかにも容器が簡便である。もっと安いのはビニールで真空パックされて冷凍で入荷してくる。いまどき回転寿司で2かん100円なんていうのはほとんどがこれだろう。これを持ち込んだ途端に寿司職人の渡辺隆之さんがいやな顔をした。「うちはね、できるだけ安くという考えでやっているけど、チリだけは使わないの。今日は国産のいいのがあるからそっち撮影しようよ」。それを押して軍艦にしてもらう。これが意外にうまいのだ。チリ産は苦みがあると言われるが、ほとんど感じられない。それどころか臭みもないし、ほんわかと甘く、旨味も濃厚ではないか。たかさんにもむりやり食べさせてみた。すると、「偶然じゃないの。この前食べてみたら苦くてさ」とまだ嫌な顔をしている。気になって何種類かのチリウニを食べてみた。確かにまずいのも多いが、値段から考えると優れたのも多いのに改めて驚く。そのうちチリ産も高くなりそうだ。
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