寿司図鑑365 目次へ!
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飛び魚/ハマトビウオ 2005年6月19日 81
早春の屋久島から来るのがハマトビウオ、これはなかなか高級魚である。これが夏に向かって三重県などから入荷してくると値段も下がってくる。安いし見栄えがいいのでついつい買ってしまうものの、この魚は、料理してみると意外にやっかいなのだ。煮つけにしても塩焼きにしても、「脂っぽいのは、いけませんね」というお年寄りはともかく、脂ギラギラの豚骨ラーメンやカツ丼をがっしがっしとかき込んでやっと腹をなだめている、いけないお父さんや、若者にはなんとも物足りない。味が淡泊すぎるのだ。敢えてトビウオを食べるなら、どうも刺身かたたき、千葉でいうところの「なめろう」なんかがいいと思われるがどうだろう。刺身でいいなら当然寿司に出来る。そして握ってみたところ。「うん、なかなかいけるじゃありませんか」とトビウオを見直したのが『市場寿司 たか』のたかさん。確かに血合いは大きいもののクセはなく。思った以上に旨味が感じられる。これをして「夏の拾いもの」と思うぞ!
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ミシマオコゼ 2005年6月20日 82
やや硬めの白身でフグに似た味わいであるために「みしまふぐ」なんて言われるのがミシマオコゼ。見た目は悪いが味はいいという典型の魚である。残念なのはあまりとれないということ。産地でもまとまらないので出荷できなくて、ぽつんと1匹転がっていることが多い。この写真のも徳島県阿南市の橘水産で1匹だけとれて漁師さんがおかずにでもしようと確保しておいたもの。白身で淡白な味わいであり、握りに向いているか不安を感じながら、『市場寿司 たか』に持ち込んだ。出てきた握り、血合いの色合いも思ったよりもきれいである。そしてぱくりと口に入れて、これがなんともうまいのだ。なによりも身に旨味がある。たかさん曰く、「もうちょっと味に個性が合った方がいいかな。ただ味はいいし、フグのような食感がいけるかも」とのこと。今回は身だけ握ってみたが、ここに茹でた肝をのせると、ぐっと味わいが増すかもしれない。
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スルメイカ 2005年6月21日 83
晩秋から冬にかけてがスルメイカの少ない時期。それが春になって市場で見かけるのが「ばらいか」と呼ぶスルメイカこ子供たち。それが初夏には紀伊半島や外房から小振りな活けスルメイカがやってくる。これは船上で釣り上げたばかりのスルメイカを氷水でしめて翌日には市場に送り出したもの。ほとんど年間を通して入荷してくるスルメイカも初夏のこの時期からが本番である。この活けスルを熱心に選り分けている寿司屋さんがいる。近寄っていくと八王子横川町の鮨忠さん。「この大きさのスルメがいちばんいいな」と言いながら2〜3本取り分けるのをみて、今日は活けスルメイカを握ってもらうことにする。持ち込んだ『市場寿司 たか』でも「あんまり大きなスルメはだめだね」と小振りのスルメを見て早速握ってくれる。エンペラと胴の2かんが並んで、すし飯にのせて不安定なエンペラからいく。さすがに活けであるシコっとした食感に噛むとじわりと旨味が出てくる。ただ残念なことに硬さからすし飯と調和していない。そして胴であるがこちらは言うことなし。甘みもあってすし飯とのバランスもいい。初夏らしい味かな。
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イクラ/タイセイヨウサケ 2005年6月22日 84
太平洋にいるサケの仲間、サケ、サクラマス、カラフトマス、ニジマスはサケ属。大西洋にいるサケたちをサルモ属とするのが最近の分類学である。とすると市場でアトランティックサーモン、もしくはサーモンと呼ばれ回転寿司や出前専門の寿司屋で主力となっているのは本来大西洋のノルウェーなど北大西洋産ということでサルモ属、すなわち我々が本来サケといっているものとは少々かけ離れた種ということになる。頭が小さく、ほとんどが養殖であるため脂が強い。この魚の味はもうほとんどの日本人にお馴染みのものとなっている。これが卵巣、すなわちイクラはどうだろう。知らず知らずに軍艦になって回っているのかも知れない。今回のものは八王子の塩干(相物)仲卸で見つけたいかにも業者向けの商品。サケの卵巣とあまり変わらない味わいで、どう違うかというと『市場寿司 たか』のたかさんと首をひねってしまった。あえていうと粒の小さなことだろうか? 味わいはよし!
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鰯/マイワシ 2005年6月23日 85
紫陽花が咲くとそろそろマイワシの脂ものってくる。「春のイワシはあんまりよくないな」と知り合いの魚屋さんと話したのが昨日のことのようだけど、梅雨入りしてからイワシの身体に張りが出てきたし、触ると脂ののりを感じるようになってきた。これからのマイワシはまことにうまい。と言うことで、脂のありそうなのを何本か下げて『市場寿司 たか』に向かう。これを片身1かんに握ってもらう。マイワシが寿司ネタとしていいのは、その適度な柔らかさと旨味にあると思う。そして脂が甘みを生むわけで、すし飯と渾然一体となって口中に広がったときのなんともいえない幸せな気分は表現のしようがない。「そういやあ、昔はイワシは握らなかったね」とたかさん。今では街の寿司屋でも回転寿司でもありきたりな生のマイワシの寿司、いったいいつ頃から出てきたのだろう。どうもそれほど昔のことでもなさそうである。
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