寿司図鑑365 目次へ!
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サトウガイ 2005年5月10日 41
サトウガイはアカガイと比べて貝殻がやや白っぽい。それで市場では理由知りめいて「ばちか」なんて言われている。これは本来東京湾で主にとれたアカガイが「本玉」というのに対して「ばち玉」、すなわち「江戸前以外の場所でとれた」という意味合いがある。ただそんなことが言えたのもアカガイですら一斗缶で取引された昔のこと。今やほとんどの寿司屋が「ばち」の言葉も知らず、「赤貝」として出している。これが正解。アカガイの多くが輸入ものに頼っている現在。九十九里のサトウガイ、すなわち「ばち」なんて高級品である。しかもアカガイと比べても味に遜色はないのだ。『市場寿司 たか」でも決して「ばち」なんて言わない。そして九十九里のサトウガイ、いい味ですね。満足。
●市場魚貝類図鑑、サトウガイのページに!
●握りは八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
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えぼだい/イボダイ 2005年5月11日 42 旬は初夏
初夏を思わせる陽気が続いている。こんなときに食べたくなるのがイボダイである。このイボダイを「えぼだい」というのは東京周辺では「い」が「え」と発音されるためであるようだ。すなわち「疣」が「えぼ」。鰓ぶたの上の方に黒い斑紋があってこれをできものと見たもの。関東では三浦半島の先端の松輪、久里浜、下浦などからのものが上物とされ、えらく値が張る。値が張るけれど鮮度も脂ののりも抜群で市場の仲買の前でピカピカ光っているのを見ると財布の底をはたいてでも食べたくなる。今回のイボダイは当然、出始めの松輪のもの。塩焼きや煮つけが一般的なイボダイだが上物である、当然のごとく寿司にしてみる。「いちばんうまい食べ方は焼くかな」とはたかさん。脂がのっている、微かに甘みもある、味はほどほどに良くてすし飯との相性も決して悪くはないが……。イボダイの生はやはり「初物に心動かせて」食べるものかな。
●市場魚貝類図鑑、イボダイのページに!
●握りは八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
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オキナエビ 2005年5月12日 43 とれるのは9月中旬から翌5月中旬
「いや〜なんだろね、このエビ」。たかさんがオキナエビを前にして呟いた。「まさか握れってかね。これ毛が生えてるね」なんてしぶしぶ握ってもらったのがコレ。静岡県沼津、静浦の大成丸がないしょの場所で底曳いたもの。「そうだね駿河湾の300メートルくらいのとこ」と漁師の鈴木尚光さんは笑う。そしてこんな見たこともないエビを前に普通の寿司職人である「市場寿司 たか」のたかさんも笑うのだ。でも握った途端にうまさで笑ったのは間違いない。甘いのだ、そしてブルルとした食感。出来れば博物館にでも寄付したいエビではあるが、とれたものは食わねば。
●市場魚貝類図鑑、オキナエビのページに!
●握りは八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
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きす/シロギス 2005年5月13日 44 関東では5月から7月
こまったのはシロギスのことを語るときに尋常な気持ちではいられないのだ。なぜなら1月に始まる相模湾のシロギス釣りがあり、これに一時期のめり込んでしまっていた。夢にまで見るというのは間違いなく本当の話で、ときにシロギスの当たりを布団のなかで楽しんでいたものだ。シロギスは寒い時期には肌がざらりとして脂がなく、当然うまいものではない。これが若葉が芽吹いて、ときに蒸し暑い日々が続くと脂がのり、どんどんうまくなる。寿司ネタとして使われるのもこの時期である。これが7月、8月ともなると産卵が盛期になり、とうぜん味が落ちてくる。「やっぱりシロギスはいいね」とは『市場寿司 たか」のたかさん。目が覚めるような美しい白身にとろんと脂がある。甘くそしてうまいな!
●市場魚貝類図鑑、シロギスのページに!
●握りは八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
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れんこ/キダイ 2005年5月14日 45日 春から秋口までが旬
まさに艶やかなのがキダイの皮の色合いである。これを皮霜造りにしたらきれいだろうな、というので思いっきり美形のキダイを一本購入した。これを三枚におろして『市場寿司 たか』に大急ぎ。「れんこね、あまり使ったことないな」とたかさん。これを偉そうに、「熱湯あるかな」なんて急かせて、ふきんを当てた身に熱湯をかける。そしてキリキリに冷えた水に落とす。水気を拭き取ってまな板にのせると、錦糸のような彩なす色合いはそのまま生きている。そして出来上がったのをパクリ。やや身が柔らかい。それでも皮がほどよく食感を作り出し、そのすぐ下にある脂が甘みをともなって口中に広がってくる。「色合いもいいし寿司ネタとしちゃ〜いけるね」とはたかさんのお言葉。
●市場魚貝類図鑑、キダイのページに!
●握りは八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
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