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九十八巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。どこまで続けられるか未知数ですが、
毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
●魚の生食に関しては寄生虫などの危険をともないます。食べるときには自己責任にて
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タナカセキトリイワシ 2007年3月4日 486
 奇怪な顔つき、ぶよぶよした黒いぬめ皮のような手触り、さすが超深海・駿河湾からの珍魚である。これは沼津志下の大成丸さんが深海から引き上げてきた。選別するときの「おもしろいだら」という大成さんの笑顔が見えるようだ。種名を検索するとタナカセキトリイワシとなる。とすると珍魚中の珍魚ではないだろうか? 学術的にも貴重だろう。でもそれ以上に、このプルンとした白濁した身の味わいが知りたくなる。それで押っ取り刀で『市場寿司 たか』へ。今回は、たかさんと、ちょうど来合わせた出丘くんが味見に参加。まずは出丘くん「うう、なんでしょうね。青柳(バカガイ)に似てますね」、これを受けてたかさんも「そうだね。そんな気もする。まずくはないし、これはこれでうまいかもな」。二人の話に“うまいかもしれない”な、と立て続けに2かん。じっくり味わってみてもどこにも青柳の味わいは感じられない。ニョゴニョゴした、旨味のない求肥(ぎゅうひ)のようだ。博物館に送った方がよかったかな!
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
あごなし/ギンメダイ 2007年3月5日 487
 沼津魚市場の隅っこにカゴ一杯のギンメダイがあって、それが売れ残ったものなのである。結局だれも買わないで放置されているのだ。「もったいないですね。味は悪くないのにね」、ふと呟くと沼津で長年仲買をされている菊地利雄さんが「これは売れませんね。私も食べませんし」と言う。その画像を『市場寿司 たか』で見ながら、「これ欲しいね。オレなら全部仕入れてもいい」とはたかさん。菊地さんにお願いして売れ残りのギンメダイを少し買い求めてきた。すでに二人で2かん、3かんとつまんでいるのだ。「素直な味っていうのかなクセもないし、そのくせほんのり旨味がある。これはいいネタだよ」。たかさんは江戸前握りにはこんな上品な白身がなくてはならないと言うのだ。ボクも意外なほどすし飯と相性のいい白身になかなかつまむ手がとまらない。「こんど沼津行ったらたっぷり買い占めてくるから」といいながらまた5かん目を口に放り込む。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
磯鮪/イソマグロ 2007年3月13日 488
 マグロとはあってもマグロの仲間ではないのがイソマグロだ。熱帯の島回りなどをグルングルンと高速で泳いでいる。体長2メートルにもなるし、姿も似ているので“まぐろ”という文字がついている。「うまい魚じゃないよ」とはその昔、大物ばっかり狙って旅をしている釣り人に聞いたんだった。その小さいのが目の前にある。とれたのは鹿児島県の笠沙。これを4つ割にしてネタの切りつけ、たかさんが素早く握ったのを食べてみる。「あんまりうまいもんじゃないね」とは、たかさん。「マグロっていう割に身は白いし、旨味がないね」。身自体に個性がなく、すし飯に味わいが霞んでしまう。がっかりしたところへもう2かん。こんどはなにやらタレに搦めてある。「あれ、甘いねこれ、味醂としょうゆだね。即席の漬けというわけ。これはうまいね」、「そうだろ、これなら寿司ネタとしてもいいんじゃない」。たかさん、これはまったく無意識に八丈島や南北大東島で作られる漬けの寿司を作っていたのだ。当地ではからしを使うのだが江戸前握りなのでわさび。これがピリっときいてほんまにうまい。
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丸平鰺/マルヒラアジ 2007年3月14日 489
 温かい暖流の差すような港の定置網にあまりまとまらずに入ってくる魚というのがマルヒラアジ。まことに見た目も美しく、またアジ科独特の銀色の輝きが「うまそう」にも思える。この姿が気に入ったのかたかさん、まな板の上にのせてしみじみ眺めている。「きれいでしょ」と言うと「これ歩留まり悪そうだな」だって。まさにその通りで腹側の身は薄く、背中側は厚い割に狭い。これをなんとか切り付けて、4かんの握りとなった。後の残りは「“豪海投げ込み丼”」に入れてサービスしよ」ということになる。「これはね。アジの仲間だからうまいにはうまいけど鰺(マアジ)ほどには旨味が感じられないね」。「ダメってわけじゃないでしょ」、「そうだね好きな方だね」。味わいに個性がなさ過ぎるということだ。でも握りにはこんな素直な味わいがあってもいいんじゃないでしょうかね。
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オオエンコウガニ 2007年3月18日 490
 しかし甲羅がデカイ! 驚いていたら、「今回送ったのがメスだからです。オスならもっと脚が長いんです」と沼津の甲殻類学者飯塚栄一さんからオオエンコウガニに関する生態などの情報がはいる。実際に茹でてみるとしっかり内子が入っている。この短い脚のこれまたか細い身と、甲羅下の身、真子で軍艦に仕立ててもらう。「味はいいんじゃない。脚の方の身だけど。甲羅の下の身はダメだね。甘味も旨味もない。真子は少しクセがあるね」とたかさん。真子に臭みがあるのにはわけがある。どうもオオエンコウガニの内蔵には嫌な臭いがあるのだ。だから本来は生の状態でそれを取り除き、蒸すべきであった。それを丸ごと茹でてしまったのだ。それでも身の味わいは申し分ない。まあ珍しい深海の幸としては面白いのではないだろうか? 「ね? たかさん」。
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