第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
七十八巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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狼魚/オオカミウオ 2006年6月12日 386
 テレビなどで紹介されて人気のある魚なのだが、食べるとなるとまったく見向きもされない。見てくれの面白さと、市場での評価に大きな落差があるのだ。ただ、日本では人気のないオオカミウオが北欧にいくと俄然、高級魚となる。これは皮さえむけば中はきれいな白身。これをフライや唐揚げで食べるわけだ。でもこの白身でクセがないというのが、刺身にすると無個性で味気ないということと同義語になる。またオオカミウオは1メートル以上になる大型魚なのだが、大きいと脂が強すぎて生食には向かない。できれば70センチ以下のものを刺身にするのだが、旨味のなさを補うために今回は軽く醤油で煮てみた。これを切り付けて握りにして、「生よりはいいかな。でもやっぱりうまくはないな」と寿司職人の渡辺隆之さんからそっけない評価が下る。確かに旨味も甘味も足りない。半身は持って帰ってフライで食べた。これを握りにしたらよかったかも。翌日、たかさんに話すと「まあ、それもありかな」と笑う。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
●オオカミウオは気仙沼のmakoさんからいただきました。makoさんの「Angler's-Maket」
帆立貝/ホタテガイ 2006年6月14日 387
 養殖が成功する以前のことはわからないが、今では年中比較的手頃な値段で手にはいるのがホタテガイである。しかも1個買って様々な料理に使えるのだから便利この上ない。我が家では貝柱は刺身、ソテーなどにし、点々と目が並ぶヒモや軟体の部分はジャガイモと煮たりする。また青森県の郷土料理「貝焼き」もいい。当然、今では寿司ネタとして定番のものとなっていて、『市場寿司 たか』に持ち込んだとき、「ネタケースにあるよホタテなら、そっちは持って帰って食べたら」、だって。お言葉に甘えて、といいたいところだが今回のは陸奥湾で養殖業を営んでいるパラペツさんからのもの。小振りだが、甘味が強くて味は抜群なのだ。やや小振りなので1個で1かんの握りにする。甘味のある貝柱は、絹のような繊維質で軟らかい。身の甘味が味わいの特徴と言えようか苦みやクセがないのだが、補ってあまりあるものである。たかさんに陸奥湾産ホタテの感想を聞くと「う〜ん、オレも違いのわかる男になりたいな」だって。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
石鰈/イシガレイ 2006年6月18日 388
 イシガレイの旬は夏の終わりから秋から冬ではないだろうか? そのためか初夏くらいまでが安い。では、この安値の時期、味はいかがなものか、外見的には見事なものを見つけて『市場寿司 たか』へ走る。持っていった途端、「イシか……、今、時期じゃないだろ」と寿司職人らしい感想をもらす。「時期じゃないのも、試してみたいんだよね」。まあ活けのイシガレイ、考えてみれば在り来たりなネタではある。縁側を加えて3かんが出来上がる。その縁側にしきりに「うまい」とたかさん、「でも身の方は平凡」。確かに縁側には脂があって、イシガレイならではのクセもいい味わいを作り上げている。でも身の方は甘味も脂も感じられず、「活けイシガレイ」という威厳がない。「でもさ、このところスンゴイのばっかりだっただろ(珍しいネタばかりということ)、やっぱり平凡っていいんじゃないか、夜うなされないしさ」といやな笑い方をする。孫3人のおじいちゃんにはオオカミウオやマダラトビエイ(そのうち登場する)は刺激が強かったのかな。
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マダラトビエイ 2006年6月19日 389
 まさに「飛びそうだな」と箱から取りだし、その形の美しさに思わず呟いてしまった。日本名の「飛びえい」はこの形から来たわけだ。このまま宇宙船のデザインにしてもいいだろう。でも触っている手は表皮が剥がれてぬるぬる、一辺が50センチほどの菱形で重さが6キロ近くある。大急ぎでさばいてみるが、全身の軟骨がアカエイなどと比べると硬い。そしてワタの臭い、またぬめりから「ヒレだけ食べる」ことにしてしまった。当然、ヒレなら煮る方が無難かな? そしてそれを寿司ネタにする。これを握りにして、たかさん、当日偶然居合わせたUSEN GYAOのキャスターのお姉さんも参加して試食。これは試練であった。まずくはないのだ、決して。でもうまくもない。ちなみに煮たのは前日。アカエイなどは翌日でも煮こごり身とも透明であるが、こちらは鉛色に変色。これはどうしてなのか? 居合わせたとはいえ、不幸なのはキャスターのお姉さん、キラリと目に涙が浮かんでおった。ごめんね。
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アカボヤ 2006年6月25日 390
 マボヤは養殖天然ともに年中でまわって、今やスーパーでも見られるようになっている。でも北海道でしかとれないアカボヤはまだまだ珍しい魚貝類のひとつだろう。味わいはマボヤに似ているが、やや苦みが弱い、その分、もの足りないかも知れない。それでも、どちらにしろ寿司ネタに使うという話は聞いたことがない。このところ「心臓に悪いもんばっかり持ってくるな」と、たかさんが嘆いていて、『市場寿司 たか』にきてそーっとアカボヤを差し出してニコリと笑う。「おい、またかよ」、初っぱなからイヤイヤな顔なので近くの仲卸のまな板を借りて外側の硬い袋を取り去り、ワタもきれいに流してしまう。するとアカボヤの筋肉が収縮してくるりとお饅頭のように丸くなった。このお饅頭をなんとか切り付けて出来上がったのが3かん。見た目はオレンジ色でうまそうではないか? と思ったら、脇で、たかさんが「うまかね〜だろ」とうめいている。「こんなものは酒の肴にするからいいんだろ。わざわざ寿司にするこた〜ね〜」。どれどれこちらもぱくりといきまして、「その通り」だと思った。アカボヤの苦みと下にズズンと来る旨味が「すし飯いらね〜」と言っております。残りは持ち帰って今夜の肴にでもしよっと。
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