クマエビ

Scientific Name / Penaeus semisulcatus De.Haan.1844

クマエビの形態写真

体長20cm前後になる。体色は黒褐色から茶褐色だが、背面から見ると黒っぽく感じる。額角上縁は6本、下縁には3本の歯がある。脚が赤い。
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体長20cm前後になる。体色は黒褐色から茶褐色だが、背面から見ると黒っぽく感じる。額角上縁は6本、下縁には3本の歯がある。脚が赤い。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★
      少し努力すれば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★★
      重要
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)ホンエビ上目十脚目根鰓亜目クルマエビ科ウシエビ属

    外国名

    学名

    Penaeus semisulcatus De.Haan.1844

    漢字・学名由来

    漢字 熊蝦、熊海老、隈蝦、隈海老 Kumaebi
    由来・語源 調べているところ
    De Haan
    Wilhem de Haan (ウィレム・デ・ハーン 1801-1855 オランダ。ドゥ・ハーンとも)。ライデン王立自然史博物館。シーボルトが日本から持ち帰った標本、特に甲殻類を研究。『日本動物誌』(Fauna Japonica)をテミンク、シュレーゲルとともに編む。日本に生息する甲殻類の多くを記載している。

    地方名・市場名

    カラス
    場所愛知県西尾市一色 参考20201120一色 
    アシアカエビ[足赤蝦] アシアカ[足赤]
    場所和歌山県和歌山市雑賀崎、徳島県、大阪府、熊本県熊本市 備考脚が赤いから。 参考田崎鮮魚市場20181121 
    キジエビ
    場所大分県中津市 
    ハカマエビ
    場所岡山県備前市日生 

    生息域

    海水生。
    富山湾・千葉県房総半島以南。韓国、東南アジア、オーストラリア、フィジー、地中海東部。

    生態

    ■ 産卵期は6月下旬(8月)から8月(10月)。
    ■ 卵は一度脚で抱えない。そのまま放卵する。
    ■ 孵化したものがノウプリアス期、ゾエア期、ミシス期(ともにプランクトン)生活を送り、稚エビとなる。

    基本情報

    大型のクルマエビの仲間で、関東以西の内湾などに普通に見られる。熱を通すと赤の発色が強く味がいいので高級なエビのひとつ。
    すしネタ、天ぷら、フライなど用途も広い。流通するものは総て天然ものだが、国産は少なく冷凍輸入だれたものの方が多い。熱帯太平洋域やインド洋、アフリカ東岸などから冷凍輸入され、様々にパッケージされ市場に出回っている。
    国産の活け、生のうまさは特筆すべきものがある。西日本では比較的手に入りやすいので高級すしダネとしても重要。天ぷら種としても人気が高い。
    珍しさ度 国産は手に入れるのが難しく、比較的西日本でたやすく手に入る。輸入もののブラックタイガーはいつでも手に入る。

    水産基本情報

    市場での評価 国産は非常に少ない。主に冷凍輸入もの。値段は高くて安定。
    漁法 刺し網、底曳き網
    産地 国内/和歌山県、静岡県 輸入/パプアニューギニア、インドネシア

    選び方

    原則的に生きているもの。黒く、赤い足は赤いものがいい。白っぽいもの。張りのないものはさける。死んでから時間がたつと頭部などが黒く変色する。

    味わい

    旬は冬から春
    国産は非常に味がいい。殻は適度に軟らかく、剥きやすい。熱を通すと赤く発色する。
    熱を通しても硬く締まりすぎない。
    料理の方向性
    短時間で火を通す料理に向いている。またエビの風味は液体で料理しても生きる。

    ゆでた後の色変化/上から
    ウシエビ 赤の発色がクルマエビ科の中でも突出して強い。
    クマエビ 赤の発色はウシエビよりもやや弱いが、ほとんど変わらない個体もある。
    クルマエビ 赤と言うよりも桜の花びらを思わせる。
    ヨシエビ 赤の発色がいちばん弱い。
    ウシエビ属のウシエビ、クマエビの赤の発色が強く、ヨシエビがいちばん赤くない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    クマエビの料理・レシピ・食べ方/揚げる(フライ、天ぷら)、煮る(塩ゆで、煮つけ)、焼く(塩焼き)、ソテー(オリーブオイル焼き)
    クマエビのフライ もっともうまいのがフライ。日本の洋食の代表的なメニュー。天ぷらよりも厚みのある衣であるために、熱を通すとしまる身はより豊潤でエビの香りも高い。その上、パン粉の香ばしさがさっぱりした味わいを生む。

    クマエビの天ぷら 小振りのものは天ぷらにする。頭部の脚と尾羽根だけ残して皮を剥き、背わたを取り、腹に切れ目を入れる。水分をよくきり、小麦粉をまぶして衣をからめて高温で短時間揚げる。熱を通すことで、ほどよく赤く染まり、見た目にも美しい。
    クマエビの塩ゆで(ゆでえび) 背わたを取り、頭部から串打ちをして、約30秒ほど(大きさによってゆで時間は変わる)ゆでてそのまま放冷したもの。発色がよく、身がほどよくしまる。身に強い甘味があってエビの風味が高い。
    クマエビの塩焼き 小振りのものを振り塩して炭火などで焼く。短時間に強火で焼くのがよい。赤く変わり、エビの香ばしさが出て来たら食べ頃。エビの香りが高く、身にはほろっと甘みがあってうまい。
    クマエビのオリーブオイル焼き オリーブオイルでソテーしてニンニク風味をつけたもの。赤の発色が良く、オイル自体にもエビの風味が移る。これをフランスパンにつけて食べてもうまい。

    好んで食べる地域・名物料理


    焼きえび雑煮車えび雑煮 鹿児島県。「焼車えび」をだしにして作る鹿児島特有の雑煮。「焼車えび」を水に漬けて一昼夜もどし、そのまま30分から40分煮る。一度エビを取りだして、干しシイタケの戻し汁、昆布だし(昆布鰹節だしでも)を加え、酒、塩、醤油で上品に吸い物にする。焼くか、吸い地で煮た餅を椀に入れ、干しシイタケ、エビを盛り合わせ、青菜を加える。

    加工品・名産品


    焼きくまえび焼えび(吊しえび) 八代海に面した熊本県芦北町、鹿児島県出水市などで作られている「焼車えび(吊しエビ)」。八代海で行われる打たせ網漁でとれたクマエビを松の薪であぶり焼きにし、干したもの。2010年12月現在で10尾で15000円前後、大型のものは20000円を超える。

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/金栄丸(和歌山市雑賀崎 金栄丸では魚の販売もやっています)
    『原色日本大型甲殻類図鑑』(三宅貞祥 保育社)、『海の甲殻類』(峰水亮 文一総合出版)、『新版 水産動物学』(谷田専治 恒星社厚生閣)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『鹿児島の料理』(今村知子 春苑堂出版)、『全国水産加工品総覧』(福田裕、山澤正勝、岡崎恵美子監修 光琳)
  • 主食材として「クマエビ」を使用したレシピ一覧

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