アコウダイ

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51cm SL 前後になる。全体に赤いがマゼンタは弱い、側扁(左右に平たい)。鱗はやや大きい。背鰭は13棘。眼窩の下縁に棘がある。尾鰭はわずかに湾入する。ホウズキに似ているが、こちらはあまり大きくならず截形(せつけい 後縁がまっすぐに切れている形)。
51cm SL 前後になる。全体に赤いがマゼンタは弱い、側扁(左右に平たい)。鱗はやや大きい。背鰭は13棘。眼窩の下縁に棘がある。尾鰭はわずかに湾入する。ホウズキに似ているが、こちらはあまり大きくならず截形(せつけい 後縁がまっすぐに切れている形)。
51cm SL 前後になる。全体に赤いがマゼンタは弱い、側扁(左右に平たい)。鱗はやや大きい。背鰭は13棘。眼窩の下縁に棘がある。尾鰭はわずかに湾入する。ホウズキに似ているが、こちらはあまり大きくならず截形(せつけい 後縁がまっすぐに切れている形)。
眼窩の下縁に棘がある。
眼窩の下縁に棘がある。
珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属
外国名
Rockfish
学名
Sebastes matsubarae Hilgendorf,1880
漢字・学名由来

漢字 阿侯鯛、赤魚鯛、緋魚、阿加魚 Akoudai
由来・語源 アコウ、アコウダイは東京都、神奈川県三崎での呼び名。「赤い魚」の「あかうお」が転訛したもの。鯛をつけたのは西日本のキジハタ(あこう)との差別化のためかも。
〈カサゴ科メバル亜科メバル属アカウ Sebastodes matsubarae HILGENDORF〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
小種名 matsubarae はフランツ・ヒルゲンドルフが松原新之助(1853〜1916年)に献名。ヒルゲンドルフに学び、東京海洋大の前身、水産講習所の初代所長を務める。

Hilgendorf
Franz Martin Hilgendorf(フランツ・ヒルゲンドルフ 1839-1904 ドイツ)。動物学者。お雇い外国人教師として来日。第一大学区医学校で日本で初めて博物学の講義を行う。魚類の採取を積極的に行い。魚河岸や江ノ島に通い。函館など日本各地を旅行した。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。水深266-278mの岩礁域(東京湾口ではもっと深いと思う)。
北海道南部、青森県から土佐湾の太平洋沿岸、鹿児島県沖、新潟県、富山湾、島根県隠岐・浜田(日本海では希だと思う)。
間宮海峡、千島列島太平洋沿岸。 

生態

産卵期は冬から春。

基本情報

大型の赤い深海魚で、目抜け類のひとつだ。この大型の赤い深海魚の多くは北太平洋で水揚げされる種が多いが、本種はもっとも南に生息域を広げている。北海道には少ないのも特徴だろう。
関東周辺の千葉県、伊豆諸島、神奈川、静岡などが産地。都内では古くは総菜魚として有名なものであった。アコウの煮つけは一般の食卓を飾るものといってもよかった。それが資源の減少から高級魚へ、そして最近では超高級魚になっている。
古くは煮つけ用だったものが、最近では鍋材料、刺身用としても利用されている。
珍魚度 探せば手に入るが、非常に高価で大きい。値段と大きさで手に入れにくさが増している。

水産基本情報

市場での評価 関東周辺の近海から少ないながら入荷してくる。味の良さ、見た目のよさから現在では高級魚、もしくは超高級魚。
漁法 延縄
主な産地 千葉県、東京都、神奈川県、静岡県

選び方・食べ方・その他

選び方

鮮やかに赤いもの。触って張りのあるもの。鰓が鮮紅色のもの。

味わい

旬は秋から春
鱗は軟らかく取りやすい。皮は厚くしっかりしている。骨はあまり硬くない。
腹腔膜が黒く墨のように手に着く。
白身で脂が混在して時間がたつと白濁する。
身質・身色 皮は厚みがあり熱を通すと皮下にゼラチン質の層ができる。身は少し赤みがかり、血合いは赤い。熱を通しても硬く締まらない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

アコウダイの料理・レシピ・食べ方/煮る(煮つけ、鍋)、生食(刺身、皮霜造り)、汁(みそ汁、潮汁)、蒸す(骨蒸し)、焼く(西京漬け)、揚げる(唐揚げ)
アコウダイのあら煮(煮つけ) 大型魚なので頭部やかま、腹などの部分のあらだけで十二分に煮つけが作れる。あらを集めて置く、湯通しして冷水に落とし、残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、水・醤油・酒であっさりと煮る。砂糖、みりんなどで甘味をつけてもいい。甘い方がご飯にあう。身離れがよく、皮目がもっちりとして非常にうまい。なくなるのが惜しくなる味である。

アコウダイの兜煮(煮つけ) 頭部を梨子割りにする。湯通しして冷水に落として残った鱗とぬめりを流す。これを水・酒・砂糖・醤油・たまり醤油でこってりと江戸風に煮る。煮染めるのではなく、さっと煮上げる感覚で。なんといっても皮がおいしい。身離れがよくご飯に合う。
アコウダイのちり鍋(水炊き) あらでもいいし、小型などは適当に切ってもいい。これを湯通しして、冷水に落として残った鱗とぬめりを流す。これを昆布だし・酒・塩で煮ながら食べる野菜はお好みで。あっさりとした味つけなのでポン酢などで食べるといい。
アコウダイの皮霜造り 三枚に下ろして血合い骨と腹骨を取る。水分をよくふきとり、皮目に湯を掛けて氷水に落とし、粗熱をとる。水分をよく拭き取り、刺身状に切る。本種は皮目に味があるので、この皮自体の甘味と皮下の脂をあますところなく味わい尽くす。
アコウダイの刺身 脂がのった個体を手に入れたら刺身がいい。水洗いして三枚に下ろし、皮を引き刺身に。皮は湯引きして添えるといいだろう。非常に均質でなめらかな舌触り、甘味が強い。ほどよい食感もありとても味わい深い。
アコウダイの骨蒸し 水洗いするときに鱗をていねいに取る。兜は梨子割りにする。残った鱗があったら再度取り、水分をよく拭き取る。これを器に昆布を敷いた上に乗せて酒を振り強火で蒸し上げる。皮目がゼラチン質にぷるんとする。身離れがよく非常に豪華な味わいだ。
アコウダイの潮汁 あらなどを集めて置く、湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、昆布だしで煮だして酒と塩で味つけする。昆布だしではなく水で煮だしてもいい。強い味わいのだしが出て、満足度の高い味わいになる。
アコウダイのみそ汁 あらを集めて置く。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよく切り、水から煮出してみそを溶く。青みは好みのもので。実に味わい深い汁になる。とてもご飯に合う。
アコウダイの西京漬け 水洗いして三枚に下ろし、切り身にする。振り塩をして少し置き、表面に出て来た水分を拭き取る。これを白みそ、煮きった酒・みりんに漬け込む。砂糖で甘味をつけるとご飯に合う。漬け込んでも硬くならずふんわりと焼き上がる。皮目がとてもうまい。
アコウダイの唐揚げ 腹の内臓を抱いた部分、尾に近いところなどを集めて置く。水分をよくきり。片栗粉をまぶしてじっくりと揚げる。皮目がむっちりして身はほどよく締まる。とてもうま味豊かでかみ応えのある味わいである。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

粕漬け、西京漬け

釣り情報

この魚、東京湾や相模湾でも釣りでは根強い人気がある。ハリ数20本もつけて400メートルからときには1000メートルもの深海に向けても糸を落とす。このたくさんついた胴づき仕掛けを手早く確実に落とすのがこの釣りの一番難しい部分。落とすのに10分以上、これを巻き上げるのにかるく20〜30分もかかる。水圧の高い深海から釣り上げてくるとアコウの浮き袋、眼球がパンパンに膨れ上がり、浮力でどんどん浮き上がってくる。これをアコウの提灯行列と呼ぶ。釣り師の待ちに待った瞬間である。

歴史・ことわざなど

地方名・市場名

バラメヌケ バラサガ
参考岩手県水産技術センター 場所岩手県 
アコウダイ
備考標準和名 参考文献 場所東京都 
アカウオ[赤魚]
備考赤いメバル類の総称。後にアラスカメヌケや輸入ものの赤いメバル類の呼び名に変わる。 場所東京都など 
メヌキ
備考市場での赤い大型のメバル類の総称。 参考文献 場所東京都魚市場(築地) 
メヌケ
参考文献 場所東北 
アカラ
参考文献 場所福井県敦賀 
アコウ
場所青森県八戸、神奈川県相模湾、静岡県白浜・須崎・妻良・伊浜・雲見・仁科・田子・安良里・土肥・戸田 
アコウデイ
参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 場所静岡県網代・稲取 
アコ
備考別名。