ガザミ

代表的な呼び名ワタリガニ

ガザミの形態写真一覧 (クリックで下に拡大表示)
写真は雄。雄の方はハサミ脚が長く大形になる。甲幅は15センチを超える。菱形で甲羅はオリーブ色から青。雄はハサミが長く大きい。いちばん後方の足はオール状に平らたくなり、泳ぐことができる。写真は雌。雌はハサミ脚が短く、全体に丸みを帯びて雄と比べると小さい。甲幅は15センチを超える。菱形で甲羅はオリーブ色から青。雄はハサミが長く大きい。いちばん後方の足はオール状に平らたくなり、泳ぐことができる。

ガザミの形態写真

写真は雄。雄の方はハサミ脚が長く大形になる。甲幅は15センチを超える。菱形で甲羅はオリーブ色から青。雄はハサミが長く大きい。いちばん後方の足はオール状に平らたくなり、泳ぐことができる。

魚貝の物知り度 ★★
これは常識
食べ物としての重要度 ★★★★
重要
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)ホンエビ上目十脚目短尾下目ガザミ上科ガザミ科ガザミ属
外国名
Gazami crab, Blue swimming clab
学名
Portunus (Portunus) trituberculatus (Miers.1876)
漢字・由来
漢字 蝤蛑
由来 ハサミは強靱で強く、はさまれるとケガをするほど。それで「カニであってはさまれると痛手を負うことからカニハサミ」となり、これが短縮されて「ガザミ」となった。
地方名・市場名
ヒシガニ(菱蟹)、ワタリガニ(渡蟹)と呼ばれることの方が多い。
ガンチン/徳島県阿南市
他にはカゼガニ、オドリガニ。

概要 ▽

生息域

北海道南部から九州。韓国、中国、台湾。
水深5〜30メートルに多く、内湾を好む。

生態

温かい時期は浅場で生活し、秋になると深場に移動、冬には砂に潜り冬眠する。
夜行性。昼は砂に潜って、夜に活動する。
いちばん後方の第5脚はオール状になり泳ぐことができる。
エサは巻貝、二枚貝、環形動物、甲殻類など。
秋(最盛期は10-11月)に雌(めす)の脱皮を待って後尾する。
産卵期は4月〜9月。2回産卵する。
産卵した卵は抱卵する。抱卵は10日〜20日。
甲長6センチ前後、甲幅15センチ前後になる。
寿命は2年〜3年。

基本情報

ガザミ類総論
いちばん後方の脚(第4歩脚)が櫂(オール状)になっており泳ぐことが出来る。
カニなのに遠くまで移動(渡る)ことができるのでワタリガニと呼ばれることが多い。
本州から九州、沖縄までの沿岸域、内湾に多く、古くは海産のカニの代表的なものだった。
非常に小型のものから大型になるものまであり、食用種は多い。
代表的なものはガザミ、タイワンガザミ、ノコギリガザミ、ジャノメガザミ、ヒラツメガニなど。
もっとも重要なのがガザミで九州、瀬戸内海などでは名物ともなっている。
また温帯、熱帯にまで広く生息しており、国内での水揚げの減少から東南アジアなどからの輸入が盛んとなっている。
本種(ガザミ)について
ガザミ類の代表的なもので、古くからカニ全体を代表するものであった。
大きな湾で多産するもので、各地にガザミを名物とする地域があった。
特に有名なのは今では見る影もないが、東京湾、品川や大森など。
現在でも健在なのは九州西岸。
非常に美味な上に、人気があるので各地で増殖が試みられている。

水産基本情報

市場での評価 関東には青森県などからの入荷が多い。値段は活けは非常に高価。死んだカニはやや高め。輸入ものもあるが、やや高値。
漁法 刺し網、底引き網、定置網
代表的な産地 青森県、宮城県、大分県、福岡県、大阪府、愛知県
漁獲量が減ってきていて稚ガニの放流などが盛ん。
活け ガザミは原則的に生きているものを尊ぶ。死んだ物は極端に値を下げる。
刺し網 主に刺し網(かすみ網のように網に獲物をからめせてつかまえる)でとる。夜行性なので刺し網は夕方に沈め、朝、揚げる。漁獲した後の処理が大変で人手を要す。

選び方・食べ方・その他 ▽

選び方

活けは生きのいいもの。持って重いもの、腹部を触って硬いものを選ぶ。
雄雌(おすめす)は基本的に身は雄がうまい。
寒い時期、雌は内子を持っていてこれを珍重する。
外子(ふんどし部分に出た卵)はまずいので、これが少ないものを選ぶ。
身はともかく「みそ」と呼ばれる肝膵臓(かんすいぞう)がたっぷりしているのは秋から寒い時期。

味わい

旬は晩秋から春
秋交尾の後に深場へ移動する時期が美味。夏には脱皮するカニが多いのでうまくない。
また雌の内子が満ちているのは冬から春。非常に淡泊な味わいだが甘みが長々と感じられる。カニらしい香りがいい。
料理の方向性
あまり料理法は多くない。完全な生は水分が多く、うま味がない。韓国のケジャンはここに調味料を浸透させるもの。基本的な料理法はゆでるか蒸す。またみそ汁にすることも多い。中華料理の炒めるというのも炒め煮だと考えるとわかりやすそう。筋肉は適度に繊維質でほどよくほぐれて甘味が強い。ミソ(肝膵臓)、卵巣の濃厚な旨みと甘みもずば抜けている。

栄養

寄生虫

食べ方・料理法・作り方

料理法
ゆでガニ、焼きガニ、蒸しガニ、汁(みそ汁)、炊き込みご飯
ゆでガニ 塩水の中に生きた状態で入れて火をつけてゆであげたもの。ゆで時間は大きさによっても子持ちかどうかによっても違う。寒い時期の内子がたっぷり入ったものはとてもうまい。また蒸すと味が濃縮されてよりうまい。
蒸しガニ蒸しがに 重さ0.6kgのメスを20分蒸し上げたもの。内子が硬くなくトロリとしてうま味が強く、身はほくほくとしてカニのうま味と風味が豊かだ。塩分的にもの足りなかったらカニ酢(土佐酢でもいい)で食べてもいい。
ガザミのみそ汁みそ汁 生きているカニを包丁で適宜に切り、水から煮出してみそを溶く。しょうゆ味よりもみそとの相性がいい。浜辺など産地ではこのみそ汁をとても好む。
ガザミの甲羅酒甲羅酒 ガザミの甲羅に残った内子、みそを集めて熱燗をそそぐ。少し甲羅ごとあぶって香り出しをして食べ、そして飲む。

好んで食べる地域・名物料理

太良ガニ、竹崎ガニ 佐賀県藤津郡太良町ではガザミ料理を名物としている。
日本各地。

加工品・名産品

切りガニ 中国などから甲を取り去って半分に切ったもの。冷凍で輸入される。
ヤンニョム ケジャン 「ヤンニョム」は韓国特有の調味料で唐辛子粉、にんにく、すりごま、しょうゆなどを合わせたもの。「ケジャン」は生きたカニという意味。これを生のまま食べて、その後のものを集めて、スープなどを作る。しょうゆ味の「カンジャン ケジャン」もある。
ゆでガニ 「煮ガニ」とも言う。産地で生きている内にゆでたもの。この状態で流通するものも多い。

釣り情報

砂浜などからカニ網(エサにきたカニを絡め取る)をつけて投げ釣りで釣る。

歴史・ことわざなど

かに 〈東京で「カニ」といえばガザミのことをいう。群れをなして移動するので「ワタリガニ」といい、むしろ耳に響きのいい「ワタリ(ガニ)」が一般的な呼び名である。〉『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)
大森、品川のカニ料理 〈その、うまいカニ料理が初めて東京でお目見えしたのは明治三十五ごろである。大森、品川の東海道筋、はては柳橋あたりに相次いで店開きした料亭では趣向をこらしたカニ料理でたくさんの客を引いた。なかでも大森海岸の「澤田屋」という店では、波打ちぎわにサジキを組み、よしず張りの下で、水揚げしたばかりのカニを食わせる。〉『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)
魚河岸  〈それほどの人気のカニも、魚河岸で取引きされ、小売店の店頭に出回すようになったのは、ずっと後の昭和初期である〉『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)
歳時記 季語 夏
月夜のガザミは身がない 「月夜の蟹は身がない」。

参考文献 ▽

『水産無脊椎動物Ⅱ 有用・有害種各論』(奥谷喬 恒星社厚生閣)、『原色日本大型甲殻類図鑑』(三宅貞祥 保育社)『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)、『広辞苑』(岩波書店)
協力/宇部市 魚勝


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