腹面・背面に小さな棘がある。胸鰭の後方上に大きな黒い斑紋があり回りを白く縁取られる。尻鰭は白い。
フグ科について◆
世界中に160種。
■主に食用となるのはトラフグ属のトラフグ、シマフグ、マフグ、ショウサイフグ。サバフグ属のシロサバフグ、クロサバフグ。その他。
硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スズキ系
スズキ目フグ科トラフグ属
トラフグ
Takifugu rubipes (Temminck and Schlegel)
他のハゼ亜目の魚へはここから!
魚貝の物知り度/★★★★ これは常識
食べ方◆刺身/鍋物/焼き物/
唐揚げ/一夜干し/ひれ酒
白子(精巣)は別格にうまい
◎非常に美味
大きさ◆70センチ前後
生息域◆北海道から種子島。沿海州、中国、シドニー、カリフォルニア。
生態◆
産卵期は3月から7月。
産卵は潮流の早い湾口や島と島の間の浅瀬で行われる。
産卵後10センチくらいまでは産卵場付近、もしくは干潟などでいて、大きくなるに従い沖合に移る。
毒性◆ 卵巣、肝臓は強毒、腸は弱毒、筋肉、精巣、皮膚は無毒。
●フグの調理は一般人は原則的に行なわないこと。調理するときには自己責任で
●詳しくは厚生省・地方公共団体の通知、条例などを参照のこと。
市場での評価・取り扱われ方◆
■養殖物をはじめ流通量は多い。いろんな形態で入荷する。
■大型の天然ものがもっとも高い。
■養殖ものも高いが安定している。
トラフグの基本◆
■北海道や東北でも漁獲されてはいるが、主に西日本が主産地である。
■天然のものは山口県下関市が古くから集散地であり、冬が近づくと言わば風物詩のようにテレビで流される。競り方が独特で両口の開いた黒い袋に手をいれて行う。これを「袋競り」と呼ぶ。
■養殖フグの生産が増え、流通も複雑化しているようだ。
トラフグ料理◆
■刺身は薄造りにする。大阪ではこれを「てっさ(鉄刺)」という。
■鍋は醤油味をつけない「ちり」。大阪では「てっちり」。
■鰭(ひれ)を干して焦がすくらいに焼き、熱燗をそそぐ。「鰭酒(ひれざけ)」。
■刺身を食塩をいれた熱燗に入れる。「身酒」。
■白子を入れる「白子酒」。
漁獲方法◆延縄/定置網
漢字◆
「虎河豚」。
由来◆虎のような文様があるわけでもなく。由来はわからない。
「ふぐ」、「ふく」について
昔「ふく」と呼ばれていた。その「く」が「ぐ」になったのは江戸時代から。
昔「ふくと」、「ふくべ」と呼ばれていた。
「ふく」はヒョウタンすなわち「ふくべ」に似ているので。
「ふく」は「しぶく(渋)」の意味。
「ふく」は「ふど(斑魚)」の意味。
「ふく」は「ぶす(毒)」の転訛。
フグは海底の砂を、吸い込んだ海水を吹き付けるように舞あげて、そこにいるゴカイなどをつかまえる。「吹く」からきた
国字では「布久」、「布久閉」、「腹」。
漢字で「河豚」とは豚に似て河(汽水域)にいる魚という意味合い。メフグをさすとも言われている。
別名・隠語
大阪でフグを「鉄砲(てっぽー、てっぽう)」というのは当たると死ぬという洒落。
「とみ」は「富籤(とみくじ)」。めったに当たらないと言う意味。
呼び名・方言◆
「シロ」、「ホンフグ」、「モンフグ」、「ゲンカイフグ」、「ダイマル」、
「マフク」、「オオブク」、「イガフグ」、「ソコフグ」。
「イカフグ」、「カンバ」、「クロモンフグ」、「マグロ」、「ドジラフグ」。
明治期はじめ山口県他フグを食用にすることが禁止されていて、「丸」の符号で呼ばれていたという。
福岡県大牟田では「がんば(棺桶のこと)」と呼ばれている
釣り◆
■関東では外房でのフグのかっとう釣りで希に釣れる。エサは青柳で引っかけ釣りの一種。
■福岡県大牟田市の森田さんから有明海でのトラフグのことで面白い話をきいた。東シナ海、天草灘のトラフグは春、3月から5月になると天草下島の牛深沖に来て産卵する。それが孵化して、稚魚は有明海にまでのっこんで来る。この稚魚が300グラムほどに成長するのが秋なのである。このトラフグの釣り漁が秋の風物詩なのである。森田さんは、刺身はともかくアラを使った雑炊がまことに美味であるという。
◆食べてみる◆
 味はもちろん、値段も横綱である。最近は活けで流通するものもあるが、これはむしろ養殖に多く、本当に旨いのは〆て内蔵などを取り去ってある「みがき」にしたもの。または三枚におろしたのを一日寝かせたものである。
 こうすると透明な身がややあめ色に変わり、食感も旨味も増す。できるかぎり薄く造りにしてぽん酢で食べるのが一般的。
 鍋物は普通はアラを使う。もちろん身の方も使いたいが、それだけ値が高いということ。口回りの皮肉をウグイス(鶯)と呼ぶがここがまことに美味。
 また精巣、白子はクリームのような滑らかな味に旨味と、上品な甘味があり絶品である。フグを買うときに一番気になるのが白子の有る無しである。もちろん塩焼き、唐揚げ、定番の「ちり」と総てが旨い。
寿司に関しては寿司図鑑へ!
同定/『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)
参考/『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『魚の分類の図鑑』上野輝彌・坂本一男 東海大学出版局)、『たべもの起源事典』(岡田哲 東京堂出版)、『たべもの語源辞典』(清水桂一 東京堂出版)、『ふぐ』朝日新聞西部本社社会部 朝日新聞社)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『広辞苑』
■私見
がついたものは引用部、もしくは参考文献あり
●本サイトの無断転載、使用を禁止する
フグ調理師が取りだした猛毒の卵巣、胆のう、肝臓、眼球など。フグを扱う場所ではこれを厳重に管理し、廃棄する。
内蔵でも白子は宝物である。無毒なのは言うまでもないが、これは天下の美味。俗に春秋五覇のひとり呉の夫差に色香で国を傾けさせた西施の乳に例えて「西施乳(せいしにゅう)と呼ばれる