第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
百一巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
ぼうずコンニャクと庶民的寿司屋「市場寿司 たか」が目指すは千かんの寿司。

どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。●魚の生食に関しては寄生虫などの危険をともないます。食べるときには自己責任にて
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がらえび/クロザコエビ 2007年5月5日 501
 5月に入荷してくるので「五月えび」なんて呼び名もあるが、どちらかというと見た目ががさつなので「がらえび」、もさっとしているので「もさえび」と脇役的な呼び名の方が多い。これが本種を専門にとることはなく底引き網での混ざりものであるせいだろうか? その昔、春の日本海では「安くてうまいエビ」であった。それが今ではなかなかお高いエビとなっている。生でも茹でてもいけるのであるが、ボクとしては茹でた方が好き。両方持ち込んで、たかさんも同意見。「茹でてクルマ(えび)ほど赤くないのが欠点かな。それに甘味ももうひとつ。でもエビとしてはいけるよ」。甘味が薄いというのはクルマエビなどと比べるからで、これだけ食べたら味はいい。また日本海ならではの味として五月晴れの空を見ながら食べている。ボクとしては満足だな。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
生しらす/カタクチイワシ 2007年5月6日 502
 春来たりなば、「もうとれているだろうな」と思い。木々に新芽が生じる時期には「いつまで食べられるものか」と心配する。まいど通い詰めている沼津に行っても、気に掛かるのは、しらすのことである。沼津の甲殻類学者飯塚栄一さんだって、競り場で珍しい魚や甲殻類を探しながら岸壁にしらす船が来るのをついつい見てしまっている。そして「今日は生しらすありますか?」、寿司屋に入るなり聞いているのだ。それほどこのカタクチイワシの稚魚はうまい。特にとれたその日に食べる生、これがなくっちゃ静岡に来た甲斐がないと思う。そして『たか嶋』のカウンターに座るやいなや生しらすの軍艦がきて、これを丸ごと口に放り込む。とれたてだから「苦み」は少ないが、その甘味を浮き立たせているのはまさに「苦み」であるわけで、この「苦い」と感じさせない微かな「苦み」が生しらすの神髄である。この「苦み」と甘味と旨味の洪水のような広がりはなんかん食べても飽きない。それどころか「お土産は釜揚げしらすにしようかな」なんて思うのだから凄いね。
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●沼津魚市場そば『たか嶋』
平貝/ナガウバガイ 2007年5月9日 503
 その地域でしか利用されない、もしくはあまりまとまらないので関東の市場にはときどきしか入荷してこない魚貝類が多々ある。本種などその最たるもの。その上、本種など見た目はいかに平凡で魚屋にあってもだれも気に留める人すらいないに違いない。これでうまければ希少価値もあって値がつきそうだが、平凡な外見どおりに平凡な味わいでしかない。「困ったな。こういう貝は寿司ネタとしては合格! でも青柳とどっちとるって言われると負けるな」たかさんの寿司職人としての意見は、そのまま食べる人であるボクの意見でもある。青柳のように茹で貝にすると甘味もあって、クセのない上品そのものの味わいなのだが、「平凡」すぎるのが難点。ちょっと目先を変えて、貝殻を見て頂きたい。面白いのは目と鼻をかくと、そう、スヌーピーそのもの。「たかさん、スヌーピー貝ってのはどうかな」、「ばっかじゃないの?」。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
頬赤口美/ホオアカクチビ 2007年5月12日 504
「メイチダイだっけ、タマメイチ、全部フエフキダイの仲間って言っただろ。よーく似ているね。真っ白な身だろ、血合いの色が薄いだろ、味は上品過ぎるというかね、ちょっと旨味に欠ける」。小笠原産のホオアカクチビを卸しながら、たかさんが呟く。「小笠原ものは輸送に時間がかかるから。ネタに出来るかどうか不安だけど」と断って持ってきている何種類かの魚がまな板の上にあり、中から、「これは大丈夫」だと選んだのが本種なのだ。東京都小笠原の魚は築地に定期的に入荷してくる。その大半は白身魚であるが、用途が判然としない。まあ刺身にはギリギリの鮮度というのが多いようだ。その中にあって脂の薄いフエフキダイ科の魚は鮮度の低下が比較的遅い、当然刺身にも使えそうなのだ。「やっぱり、味がないね、たかさん、寿司には向かないかな」、「いやいや、このあっさりしたものも寿司ネタには必要だよ。これはこれでいいと思うな。考えてみると、これはとれたてはもっと味がないね。それが船に揺られてきてるだろ。今日アタリ、これでも旨味がちょうど乗ってきたところってことかも知れないね」。
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かすべ/コモンカスベ 2007年5月13日 505
 五月晴れである。福島県相馬市原釜では刺し網でかすべ(コモンカスベ)が水揚げされている。この皮を浜通の魅力的な女達が岸壁で剥いている。これがなかなか重労働である。「これは煮つけにすっとうまいっから」。この水揚げを見た翌日にはかすべが関東の市場に並んでいて感慨深いものがこみ上げてきた。このヒレを「なんとか寿司ネタにできないか?」。考えた末に軽く煮つけてみる。これをたかさんが切り付けて、出来上がったものは「あんまりきれいなもんじゃないな」。「でも味は悪くない。穴子と同じだな。煮つけたものを握るというのは。でもこれがダメなのはやっぱり鄙びた味わいってのかな田舎臭いね。江戸前の味じゃない」とたかさん。まさにその通り。たかさんの軽い味わいのすし飯に、この野卑な味は合わない。「でも煮つけとしてはうまいねー」。
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