顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系
スズキ目アイゴ亜目アイゴ科アイゴ属
★★★★ 知っていたら達人級
学名 | Siganus fuscesdens (Houttuyn) |
外国名 | 英名/Fuscous spine foot,Rabbitfish |
同科同属 | ●その他のニザダイ亜目の魚へはここから! |
代表的呼び名 | |
漢字・由来 | 漢字/「藍子」、「阿乙呉」。 由来/アイヌ語で棘のあるイラクサを「あい」という、これからきた言葉。 |
地方名・市場名 |
島根県で「アイタロウ」、「アイノウオ」、「ハラタチ」、「ハラフチ」、「ハリタチ」、「ナベワリ」、「メラ」、「メライゴ」、「メラタイ」、「エノハ」、「エーノハ」、「イナゴ」。 |
形態 | 体長30センチを超える。本州、四国、九州にいるものと、沖縄などにいるシモフリアイゴ型がある。背鰭(せびれ)、尻鰭(しりびれ)に毒のある鋭い棘がある。側扁形(左右に平たい)。本州などのアイゴは白い(細かい)斑紋はあっても大きく少ない。 シモフリアイゴ型。高知県以南。琉球列島ではこちらのタイプの方が多い。体側に白く細かい斑文が散らばる。 |
生息域 | 琉球列島を除く、下北半島以南。台湾、西オーストラリア。 沿岸の浅い岩礁地帯。 |
生態 | 7月から8月に産卵。雑食性ながら主に海藻類を食べている。 藻場、海藻の生える場所の減少が甚だしいのだが、海藻などを食べるアイゴはその一因とも言われている。 背鰭、尻鰭、腹鰭の棘の両側に毒腺があって刺されると激しく痛む。 |
一般的評価 | アイゴ類は熱帯、亜熱帯、温帯の浅い岩礁域(磯)に生息し、国内では西日本に多い。 背鰭、腹鰭、尻鰭に鋭い棘があり、毒を持っていて、刺されるとひどく痛む。 食用として重要なのは温帯・亜熱帯地域。 アイゴ、熱帯に多いハナアイゴ、そして大型のアミアイゴ、ブチアイゴなど。 中でもアイゴはもっとも北に生息していて、釣りなどで親しまれている。 身質がよく、おいしいのだが、毒を持つこと、磯臭さが強いなど、好んで食べる地域は少ない。 最近では食用としてよりも、雑食性で好んで海藻などを食べるため、磯焼けの原因として有名になっている。 |
水産基本情報 | 水産物としての重要度/★★ 地域的な水産物 市場での評価/冬に活けで入荷したものはある程度の値段がつく。野締め(漁のときに死んだもの)は非常に安い。瀬戸内海などでは活けを高値で取引している。またシモフリアイゴ型は食用魚として沖縄では一般的。やや庶民的な値段。 漁法/刺し網、定置網、釣り 産地(漁獲量の多い順)/ |
ノート | ■海藻を食べるので磯焼けの原因動物のひとつとされている。 ■「ばり」は小便のこと。臭いからくる呼び名が多い。 ■「アイゴの皿ねぶり」、アイゴはうまいので皿までなめるようだ、などという地域もあり、臭くて食べられないという地域ありで、毀誉褒貶(うまいまずい)の激しい魚。 |
選び方 | くすんだ黒っぽい暗い色合いよりも、明るい色のものがいい。腹がエサで満たされていないものがいい。 |
味わい・栄養 | 味の評価/★★★=美味(臭いがなければ) 臭いがなければ美味。 背鰭(せびれ)、尻鰭(しりびれ)の棘には毒があるので、さされないように注意。 最初に棘を切り取ってから料理する。 はらわたをつぶさないように下ろすことも大事。 大きなものよりも、小振りの方が味がいいという評価が瀬戸内海などである。 白身魚。身質はタンパク質に富み、水っぽくなく美味。特に冬のものは味がいい。 あえて旬をあげると冬。 卵巣(たまご)、白子(精巣)は美味。各地で好んで食用となっている。 ●寿司に関しては寿司図鑑へ! ●東京での評価は「東京のさかな」へ |
調理法 | まーす煮、煮つけ、刺身(カルパッチョ)、干物(塩焼き)、唐揚げ |
食べ方 | まーす煮◆沖縄では塩味で煮る。強火で急激に煮て、水分を飛ばすようにするのがコツ。隠し味に泡盛を入れることも。また豆腐を一緒に煮ると、本体以上に美味でもある。 煮つけ◆やや薄味で煮つける。汁気を残して仕上げる。生姜、沖縄のチョウメイグサ(ボタンボウフウ)などを臭い消し、薬味にしていい。 刺身◆臭みがなく鮮度がいいもの、特に活けは刺身にすると非常に美味。身がしっかりしているので薄作りにする。カルパッチョにしてもいい。鮮度に少々問題あり、というときには韓国酢みそ(コチュジャン、酢、ごま油)で食べると臭みを感じない。 塩焼き(干物)◆美味。磯釣りをする人は、釣れたすぐそばから開いて干していく。 唐揚げ◆無難な料理法、ニンニク・コショウなどをきかせる。 真子・白子の煮つけ◆島根県浜田市などでは卵巣、白子を珍重する。この煮つけ、塩焼きがなかなかうまい。夏が産卵期なので、本体よりもこちらの方が主役となる。 |
好んで食べる地域 | 好んで食べるのは岡山県、香川県、西日本各地。岡山県瀬戸内海では高級魚。瀬戸内海沿岸では大型にならないで、20センチ弱の個体が多く、これを活魚として刺身にする。 白子・卵巣/山陰、九州各地などではアイゴの卵巣、白子を食べている。島根県浜田市では卵巣よりも白子が高い。 塩煮(まーす煮)/沖縄では塩煮などで食べられている。 煮つけ/沖縄。 |
加工品・名産品 | アイゴの仲間の稚魚は「すくがらす」といって沖縄県などではアイゴ類の稚魚を塩辛にする。 各地で干物などに加工される。アイゴの干物は美味。 島根県には燻製があり、これは非常に美味。 |
釣り | 磯釣りでの代表的な外道、西日本では本種を対象にもする。浮きづり、オキアミなどの餌。 磯釣りでの代表的な外道、西日本では本種を対象にもする。浮きづり、オキアミなどの餌。 沖縄ではゴマアイゴの外道として釣れる。 |
参考文献 | 協力/小渡兵衛さん 『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、広辞苑、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『沖縄の漁具・漁法』(沖縄県漁業振興基金 編集沖縄県水産試験場) |