第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
八十八巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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縞海老/ヒカリチヒロエビ 2006年11月18日 436
「今年はエビが豊漁なんです」。沼津魚の達人・菊地利雄さんが呟きながら「これをお土産にどうぞ」と沼津での「縞海老」ヒカリチヒロエビを手渡してくれる。ずっしり重く3キロはありそうである。ヒカリチヒロエビは根鰓類、すなわちクルマエビなどに近い中型のエビ。沼津に揚がるのは10センチ前後のものが多いのだが、この天ぷらはたまらなくうまい。ただ生で食べるとやや落ちる。これは身が甘えびなどと比べてしっかりしているのと、甘味が薄く、微かだが生臭みがあるせいだと思われる。でも寿司にするなら「生がいい」。茹でたのを食べてみて、たかさんといろいろ試してみる。「たかさん、醤油で軽く洗ってみようか?」。むき身をほんの少しだけ垂らした醤油でさらりと洗う。これが大正解。甘味がグンとました、生臭みも消え、醤油が甘えびなどにある粘質のアミノ酸と同じ役割をしているのか旨味が長く続くのだ。当然握りは絶品である。「これはいいね。甘えびより断然こっちの方がいい。面白いのは醤油のお陰かな、すし飯にすんなり馴染んでくれる」。あまりにいい味だったので本日のお昼は、「縞海老」の寿司丼となった。これもうまい。
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むきどんこ/クサウオ 2006年11月19日 437
 ときどき北国から入荷してくる「むきどんこ」の正体が長い間謎であった。それを尾の部分の画像を高知大学の町田吉彦教授にみてもらって「クサウオではないか?」とヒントをもらってはいたのだ。それで遠い遠い福島県の最北原釜まで行って、まず目に飛び込んできたのがカゴいっぱいのクサウオ。これが若く美しい浜の女によって豪快に皮をはぎとられている。何回も書いてバカのひとつ覚えのように思われるかも知れないが、まことに福島の浜の女たちは美しい。剥かれたクサウオはきれいに並べられて関東に送られてくる。主に煮付けか唐揚げになるのだが、「まず握りにはできないだろうね」と、たかさんにお願いしてみる。それを無言で刺身で食べて、すぐに2かんが出てきた。「うまいじゃない。これ。食感が不思議だね」。追いかけるようにボクも口に放り込む。確かに不思議な食感である。アンコウの刺身に近いけど、もっとプルンとしている。旨味は少ないものの。紅葉おろし、ポン酢、ワケギでものせればぐんとうまくなりそうだ。ついでに「いかに福島の女が美しいか」たかさんに力説するも、「連れてきてくれなきゃね」と信じないのだ。
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イガグリガニ 2006年11月23日 438
 港で水揚げなどを見ていて、選別されて並んでいるのに出くわすと思わず抱きしめてしまいたくなるほど愛くるしい生き物っている。その最たるものがイガグリガニなのだが、けっして抱きしめて頬すりすりなんてしない方がいい。気をつけないと一週間程度の軽傷をおう。運が悪ければ重症かもね。このぬいぐるみのようなかわいらしい下にある身の味わいはいかに。きれいな花には棘がある。なんて言うが、愛くるしい外見の棘の痛さの下にあるのが、なかなかいい味の身なのである。それをせっせと取りだして「市場寿司 たか」に持っていく。カニ好きのたかさんの評価もいい。当然握りにしてもしっとりとした身質、甘味、「これは合格点だな」と寿司職人のご意見が飛び出した。それで丸のまま、茹でたままを進呈する。「これは遠慮するわ。中身だけちょうだい」だって。うまいもの食べるには忍耐もいるんだよ。
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薄紅甲烏賊/ウスベニコウイカ 2006年11月24日 439
「イカと言えばスルメイカ、ヤリイカ、赤いか(ケンサキイカ)、墨いか(コウイカ)にアオリイカでしょ? それだけ知ってれば寿司屋はやってけるの」と言うのは寿司屋の3代目。これは妥当なところで「スルメイカは使わない」という店も多くだいたい季節によって4種類が登場する。でもこの日、しけ続きでイカが少なく、そんな荷の中に一箱、産地不明で到来していたのがウスベニコウイカなのだ。やや深みにいてときどきまとまって入荷してくる。これをほかの寿司屋さんたちにもすすめて、「市場寿司 たか」にも持ち込む。これがよかった。「墨(コウイカ)には甘味でかなわないかな。でも冷凍もん使うよりもダンチ(段違い)でいい。透明感もあるしきれいだし」たかさん買い足しに魚屋(仲卸)に走った。甘味が少ない? そんなにコウイカと比べて落ちるという感じもしない。甘いじゃないか充分に。それにシコっとした食感もいい。ついでに言うなら「薄紅甲烏賊」という名前もいい。
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でんでん/ナガオオメハタ 2006年11月25日 440
 静岡県沼津は底引き網の出る港。深い海の底をなでとるような漁法で多種多様な生き物があがる。色彩も赤く真っ黒く、そして不気味に長いもの、魔女のように鼻をとがらせた奇怪なのもいる。そこにいかにも目立たない、平凡な魚がいて、それがオオメハタの仲間たちなのである。沼津では3種いるこれらをおしなべて「でんでん」と呼ぶ。ワキヤハタ、オオメハタ、そして今回のナガオオメハタである。体長は10センチほどからせいぜい20センチ前後。見た目も地味なら値段も手頃。この平凡な魚を寿司職人の渡辺隆之さんが寿司ネタとして絶賛するのだ。「江戸前握りというのはね、本来は小魚が主役なの。小粒だけど光ってるヤツ。光り物ってわけじゃないよ。味わいのあるヤツがいいの」というまさにズバリ当てはまるんだという「でんでん」は。沼津から持ち帰ったばかりのナガオオメ。いちばん小さいのをわざわざ選んで握る。「片身一かんがいいね」。すなわり一匹の魚で左右二枚のネタと言うこと。本当にこれはうまいのである。やや柔らかめであるがトロリンシャンと舌に馴染む。そしてすし飯の甘味と合わさる「でんでん」の甘味。「しなやかな味だね」。
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