マスノスケ

Scientific Name / Oncorhynchus tschawytscha (Walbaum, 1792)

マスノスケの形態写真

平均体長85cm SL前後になる。最大1.5m前後、重さ61kg前後になる。頭部が黒く、目がやや低い位置にある。尾鰭には黒点が散らばる。下顎の基底部分は黒い。
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平均体長85cm SL前後になる。最大1.5m前後、重さ61kg前後になる。頭部が黒く、目がやや低い位置にある。尾鰭には黒点が散らばる。下顎の基底部分は黒い。下顎の基底部分は黒い。尾鰭には黒点が散らばる。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区真骨亜区正真骨下区原棘鰭上目サケ目サケ亜目サケ科サケ属

    外国名

    学名

    Oncorhynchus tschawytscha (Walbaum, 1792)

    漢字・学名由来

    漢字 鱒之介 Masunosuke
    由来・語源 北海道での呼び名。「介」は長、すなわち大将ということ。マスの大将という意味合い。
    Walbaum
    ヨハン・ジュリアス・ウォルバウム(1724〜1799年 ドイツ)は博物学者で医師。カムチャツカのサケなどを記載する。

    地方名・市場名

    生息域

    淡水→海水→淡水[サーモンタイプ]。
    カムチャツカ半島以北のロシア、アラスカ、カナダ、カリフォルニア州までの河川に遡上する。
    東北太平洋以北(北緯40度以北)、日本海、オホーツク海、ベーリング海を回遊。
    遡上する河川はアジア側はアムール川からアナデイル川、アラスカ、カナダをへてカリフォルニア南部。

    生態

    春に河川に遡上し、夏に産卵。
    海で2年〜5年生活する。

    基本情報

    アムール川から北米大陸のアラスカ、カナダ、カリフォルニア周辺までの川に遡上する。海外ではキングサーモン。標準和名よりもこちらの方が有名。
    味の点でもサケの王様的な存在。ケよりも遙かに評価が高い。国内には日本海新潟県、太平洋側では宮城県以北に回遊してくる。国内ではわずかしか水揚げがなく、非常に高価。
    主にカナダからの輸入、また2.4万トン前後が養殖生産されている。
    鮮魚、加工品ともサケ科でもっとも高価である。

    水産基本情報

    市場での評価 国産生は春から夏に多く非常に高い。キロあたり卸値で2000円以上する。養殖ものも比較的値段が安定してやや高値だ。
    漁法 巻き網、刺し網、トローリング
    主な産地(養殖) アメリカ、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、チリ
    天然/アメリカ、カナダ、国内では北海道、岩手県

    選び方

    触って硬いもの。鰓が鮮やかに赤いもの。
    フィレは赤が鮮やかで、表面がやや盛り上がっているものがいい。

    味わい

    国内産の旬は春から夏。
    鱗は薄く取りやすい。処理の仕方によっては身割れしやすいので取らないこともある。骨は軟らかい。皮は硬く軽く火を通したくらいでは軟らかくはならない。
    サーモンピンクで脂ののったものは白みがかる。
    生食は自己責任で、一度冷凍して食べることが望ましい。
    切り身 典型的なサーモンピンク。アキザケ(産卵回遊してきたサケ)と比べると身は柔らかく身割れしやすい。皮もやや脆弱。身から剥がれやすい。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    生食(刺身)、焼く(塩焼き、みそ漬け)、ソテー(ムニエル)、揚げる(フライ)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁)、塩辛(めふん)、和えもの(皮のきゅうりもみ)
    マスノスケの刺身
    マスノスケ(キングサーモン)の刺身 一度冷凍する方が望ましい。三枚に下ろして小骨をていねいに抜き刺身状に切る。身は脂があって柔らかく、甘味・うま味が強い。サケらしい風味があるが、後味がよく上品な味わい。

    マスノスケの塩焼きマスノスケ(キングサーモン)のの塩焼き 三陸は岩手県に来遊してきた大型を二枚に下ろして骨つきの方に振り塩してじっくりと焼き上げた。熱を通しても硬くならず、ふっくらとして軟らかい。味は芳醇で奥深く、甘味豊かなのが特徴かも。サケ科のなかでも最上級の味だ。
    マスノスケのムニエルマスノスケ(キングサーモン)のムニエル 岩手県産の天然ものを使って作ってみた。三枚に下ろして皮付きのまま塩コショウする。小麦粉をまぶして油をたっぷり入れたパンで皮目からじっくりソテーする。皮目はかなり強めに火を通すとこんがりとあがる。仕上げに油を捨ててバターで風味づけした。なんといっても身がふっくらと豊潤で甘味が感じられて美味。皮のサクサクした食感もいい。養殖物を使うとより柔らかく仕上げる。
    マスノスケの煮つけマスノスケ(キングサーモン)のあら煮 中落ち、尾に近い部分、かまを適宜に切る。湯通しして冷水に落として滑りなどを流す。水分をよくきり、酒、みりん、しょうゆの味つけで煮上げる。しょうが、ごぼう、山椒などを臭い消しに使うといいが控えめに。煮ても硬く締まらず、ふんわりと柔らかい。うま味が豊かで非常にうまい。
    マスノスケのみそ汁マスノスケ(キングサーモン)のみそ汁 中落ち、頭部などのあらを集めて適宜に切る。これを湯通ししてぬめりなどを流す。水分をよくきり、水(昆布だしでも)から煮る。驚くほど味わいのあるだしがとれ、みそ汁という以上にご馳走である。大根、玉ねぎなど根菜類と相性がいい。
    マスノスケのめふんマスノスケ(キングサーモン)のめふん 「背わた」などと呼ばれる腹腔の上部、脊椎骨にそっている腎臓を塩漬けにしたもの。鮮度がよければそのまま生で食べた方がいいと思うが、やはり保存性が低すぎる。約20%の塩を加えて包丁などでたたく。熟成するのではなく塩がなれたら出来上がりだ。新鮮な腎臓を使ったものは生臭みは皆無で非常に美味。
    マスノスケの氷頭なますマスノスケ(キングサーモン)の氷頭なます 頭部の上顎の斜面の部分は軟骨で出来ている、これを「氷頭(ひず)」という。これお薄く切り、振り塩をして少し置き、甘酢に漬け込んで柔らかくしたものだ。コリコリとした食感があり、じんわりと軟骨からうま味が染み出してくる。大根下ろしなどを加えてもいい。
    マスノスケの酢の物マスノスケ(キングサーモン)の皮のきゅうりもみ 皮は厚みがあって身近くの部分がゼラチン質に富む。これを湯通しして冷水に落として残った鱗や身を取る。水分をよくきり、和え物などに使う。ここでは、きゅうりもみに合わせて見た。ワカメやぬたなどにしてもいい。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品


    キングサーモンの西京漬け 京都ならではの素材を生かした上品な味わいのもの。サケ科の風味、白みその穏やかな甘味が相まって非常に味のいい見事なできばえです。[京都 やま六]

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/たかのり海産(岩手県大槌町)
    『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『日本のサケ その文化誌と漁』(市川健夫 NHKブックス)、『鮭の文化誌』(秋庭鉄之 道新選書)

    地方名・市場名

    イウオマス
    場所北海道 参考文献 
    マスノスケ
    場所北海道、標準和名 参考文献 
    オオスケ
    場所北海道浦河・厚岸、岩手県宮古、宮城県塩釜 参考文献 
    キングサーモン
    場所小売店 
    オオスケ
    場所岩手県大槌町、宮城県気仙沼 
    ダイスケ
    場所岩手県大船渡市三陸町越喜来定置 
    スケ
    場所北海道室蘭市蘭魚市場、宮城県石巻 
    ラシャマス
    場所北海道室蘭市蘭魚市場 
    スケ
    備考別名。 
    バトウ
    参考文献より。 
  • 主食材として「マスノスケ」を使用したレシピ一覧

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