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築地場内 小林川魚
東京都中央区築地5の2の1東京都中央卸売市場場内

天然ウナギを探して
 東京を代表する食べ物と言えば「江戸前」とつく寿司に天ぷら、そしてウナギであろう。東京では繁華街はおろか郊外の住宅地にすらウナギ屋を見ない地域はない。すなわち東京は日本一のウナギの消費地なのだ。
 このウナギであるが、ほとんど総てが養殖である。また活け(鮮魚)、加工品の多くが中国、台湾などからの輸入によりなりたっていて、輸入ウナギは国内消費量の約8割にものぼる。すなわちウナギといえば養殖であり、しかも輸入品であると思って間違いない。
 国産の養殖も全体からすると2割りほどでしかない現状で、さて天然ウナギも見てみたいと思い立つ。それで手っ取り早く、天然ウナギに合えるのはどこだろうと思案すると、それが築地なのである。
 築地場内には10軒近い淡水魚を扱う店がある。この淡水魚というのはウナギとドジョウのことであり、他には数量は少ないもののコイやスッポンも扱っている。その築地場内でひときわ大きな店舗(築地は全般に店舗が小さいので、そのなかで)が小林川魚である。ここの小林雅之社長に天然ウナギのことをお聞きする。
 まず産地であるが、いちばん多いのは利根川上流、江戸川上流である。またその他には、全国さまざまな地域からくるもので、他にはこれといった産地はないのだという。
 店先には割いたウナギが売られていて、奥に向かう左手に各地から入荷したドジョウ、その奥がウナギのカゴが置かれている。そしてそのひとカゴに天然ウナギが入れられている。1ヶ月に1〜2回行く築地であるが、天然ウナギはほとんど毎回見ており、本日も利根川上流(場所は不明。企業秘密か?)から形のいいウナギが来ていた。
 お願いして1匹だけ割いていただく。割き場には3人のベテラン職人の方がおられ、割いて蒲焼(白焼き)用に串うちしたもの、また飲み屋さんなどに卸す「くりから串」という1本の串にジグザクに刺したものなど、かなりのスピードでこなしている。ここでリズムを壊すかのようにサイズの違う天然ウナギが台に乗る。
「天然ウナギは硬いよ、あと脂が少ないね」
「天然ウナギは大きなものが脂がのってうまいよ」
 など、いろいろ教えていただく。ただし本日の天然ウナギの値段は、キロ/5000円(養殖ウナギはキロ/2000〜3000円)。養殖ウナギのレギュラーサイズ4P(250グラム)で1250円(養殖ウナギは400〜700円)。そんな小物はいないのだから、1本買って、
2000〜3000円もする。小振りなものを選んで割いてもらう。
 奥の女将さんにお会計をお願いすると、「今日は割き代、串うち代はおまけしますが、次からはもらいますからね」と強く念を押された。さすが築地の女将さんはピリっとしている。


利根川産天然ウナギを
自宅で焼いてみる

 小林川魚店で購入したウナギを蒲焼にしてみた。ガスコンロに魚焼き用の網、これにレンガをのせて焼き台とする。強火でまず皮目、そして身を焼き、もう一度軽く皮を焼いて、15分間蒸す。これを市販の業務用蒲焼のタレをつけてあぶる。
 専門店には及ばないものの、出来上がりは悪くないと思われる。我が家ではときに養殖の割きウナギを購入して蒲焼を作る。
 家族ともども養殖ウナギとの違いを探るが、これが大きな違いを見出せなかった。
 感想はまず、脂はやはり少ないと思われた。小振りの300グラム上のもので、小林川魚店でも聞いた『大きなもののほうが脂がある』との指摘どおり。身は養殖ものより硬くてしっかりしていて、これは心地よい食感を醸し出す。
 ただしこのサイズでは旨味に関してもクセの点でも、養殖ウナギと大きく違う部分はない。天然ものは大きなものがうまいということか?




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