水産加工品 マダラ
塩蔵ぶわたら/生ぶわたら
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塩蔵 ぶわたら
「ぶわたら」というものを知っていますか? もうかれこれ30年近い前になるが初めて上京してきて居酒屋に入り、級友が湯豆腐を注文した。すると豆腐の脇になにやら白身魚の身がくつくつと踊っている。これが「ぶわだら」というものであることはかなり後になって知ったことである。アパートでささやかな宴会と言うときに、葛飾生まれの彼は買い出しのスーパーで真っ先にこれをかごに入れた。そのパックの商品名が「ぶわだら」であった。すなわち東京では単純に湯豆腐=鍋といえば、「ぶわだら」を使うのかも知れない。
 この場合の「ぶわたら」というのは塩蔵のもの。市場で見る限り、塩蔵のものは常時あって、生は少ない。また、箱には「開きタラ」と書かれていることが多い。
 さて不思議な呼び名はどこからくるのだろう。これを「ぶわたら」のほとんどを生産・出荷している宮城県塩竃、石巻などにも問い合わせるとともに、八王子や関西などでの「ぶわだら」のことを調べてみたい。
*宮城県での聞き書き調査のときには「ぶわたら」、東京都での聞き書き調査の場合には「ぶわだら」と濁点を入れる。

八王子メモ
「ぶわだら」というのは今やほとんどがアメリカ(アラスカベーリング海)やカナダなどからの輸入ものではないかと思われる。
また一昔前には頭だけ落としたものがあって、それが主流であった時代があった(八王子、魚善)。
今では「ぶわだら」はフィレであるが頭を落としたドレスであった時代があった。それを八王子の魚屋、魚正では今でも扱っている。たぶん築地にもドレスが少量入荷している。(八王子、天野鮮魚店)
寒くなると「ぶわたら」か「ぽんだら(小振りなタラ、値段が安い)」を仕入れるか微妙であるという。またどちらかは必ず置いてある。(八王子、スーパーイシカワ)
宮城県メモ
製造法は今はアラスカの延縄のマダラを船舶を決めていい原料を確保して冷凍輸入。これを石巻でひとしおにする。ただし、寒くなると鮮魚を扱う魚屋も「ぶわだら」を作り、鮮魚を「ぶわたら」に作ることもある。
 宮城県石巻、塩竃が「ぶわたら」の主要な製造産地。寒い時期がいちばん売れる時期で地元では小さな魚屋も含めて30軒以上の製造者がある。宮城県では薄塩のフィレを「ぶわたら」という。他には生のもので「真(しん)たら」という言い方もある。
ブワタラ(ブアタラとも言う)の言葉の由来について。タラをさばき、骨身と臓腑を仕分けするいわゆる“腑分け”することの意味。腑分け鱈が、訛ってブワタラになったのが一般的な由来と考えられているようです。これは、江戸時代から言われているという説もあるようです。
 特にタラは、日持ちが悪く(内臓が弱りやすいので)すぐ裁割していわゆる“腑分け”をした。身の方は、塩漬けまたは塩水漬けにすることにより保存したわけだ。
 特に、タラの肝(内臓・頭・白子)の荒煮(荒汁)などは、寒い季節には絶品である。卵は生の塩漬けまたは煮物などに最適で大変美味である。
 ブワタラは、当地方の呼び名であって低塩処理したフィーレチルド製品のことを称しています。
(宮城県石巻市魚町 天祐丸冷凍冷蔵株式会社 緒方清雄さん)

生ぶわ
 これは主に北海道根室からくるもの。生のフィレであり、値段的には塩蔵よりも安いのであるが、持ちが悪いので魚屋では常においてあるものではない。また、塩蔵ものが大きさも揃っている上に価格も一定なのに比べて、フィレの大きさ、価格もばらばらである。



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