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2004年2月11日 羽田/多摩川河口 アサクサノリを探す旅 アマノリの研究者である 菊地則雄さん(千葉県立中央博物館分館 海の博物館)と行く、 多摩川河口のアサクサノリ探しの旅である。 当日は浦安郷土博物館の島村さん、作家の生江さん、 そしてノリの養殖家であり アサクサノリの東京湾での復活を目差す、きんのり丸さんと 多摩川河口部をたっぷり散策、アサクサノリを探してきました。 |
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なかなかたどり着けない天空橋 2月11日はいったい何の祝日なのか? ぽつんと週中に浮かんでしまった休日である。そんな朝にメールを見ていると、木更津の漁師・きんのり丸さんからのお誘い。「アマノリを探しに多摩川河口に行きます。お時間があれば天空橋(旧羽田)駅に12時40分までにきませんか?」ということで、大急ぎで天空橋駅を探すが我が家の地図は古すぎて載っていない。 ネットで探してみるとますます行き方がわからなくなって、間違いなく基点となりそうな新橋に向かう。ここまでくれば何とかなると思った新橋駅。ぐうぐうなるお腹で、立ち食いそばの前で右往左往。空きっ腹をなだめつつ、なんだか人の流れにのって都営浅草線に下りていく。ここで切符の買い方まで聞き(表示板を何度見ても天空橋への行き方がわからない)、ホームに下りる。とりあえず泉岳寺まで乗り、ここで羽田行きを待つ。来たのが快速。これならと飛び乗ると蒲田の手前で「おおとりい、てんくうばしにおいでのお客様は京急蒲田駅で特急にお乗り換えください」と車内放送が流れる。後で知ったことだが京浜急行は、「快速・特急・急行・普通」の順でとばす駅が多く。「特急・急行・快速・普通」とJRの言語に慣れ親しんだ身には不思議で仕方がない。 これで、やっと天空橋に止まる特急に乗ると、ほんの一扉先に黒いショルダーの布クーラー、リュックという出で立ちの眼鏡をかけた人がいる。きっとこの人と多摩川を見て回るのだなと思っていると、改札の外に、きんのり丸さん、前回盤州干潟でご一緒したライターの生江さんがいて、ご挨拶をするやいなやパンをいただく。これにはビックリするとともにありがたさがこみ上げてくる。外れた場所にいた男性(浦安市郷土博物館の島村さん)と電車の男性(千葉県立中央博物館文館 海の博物館の菊地さん)たちがこちらにくる。 島村さんは、まだ30代の静かな面もち、菊地さんはいかにも科学者然とした雰囲気があるが、ともにお話をすると気さくだ。 海老取川 天空橋駅を出るとすぐ脇には海老取川という小さな運河に出る。ここにはたくさんの船が係留しており、駅入り口のすぐのところに弁天橋がかかっている。この弁天橋の脇から海老取川に下りる。真冬の澄んだ水の中にウナギをとる筒が沈んでいる。明るい水底には生き物らしき影は見えない。 菊地さんは岸辺の木やロープを丹念に見て、ゆっくりと多摩川の方に下る。海藻らしきものはみな青く、これは総てアオノリの仲間。アオノリの仲間も種類が多く、見ただけではなかなか判然としない模様だ。弁天橋をくぐったところ岩垣に薄茶色のヒゲのようなものが見える。これはウシケノリ(注)であり、あまり食用とはしないという。 ここで木造の船を発見。生江さんは、「これはいわゆるTべかUですか」と浦安郷土博物館の島村さん聞いている。「TべかUはこれほど大きくはないんです」と答えて、島村さんはエンジンなど細かなところを調べて写真に納めている。このような木造の沈船は多摩川本流でも見ることができた。 多摩川河口に出る フェンスをよじ登り、地面をなめるようにくぐり、やっと多摩川本流に出る。堤防の内側からなにやら沖の方を見ている人がいる。川縁で干潟を掘っている人、水上バイクの人、様々な人があまりきれいとは言い難いこの多摩川河口に来ている。干潟をゆっくりと下る。下る内にマハゼ、イソガニ、シジミ(ヤマトシジミ)の殻、コウロエンカワヒバリ、カキなどを見つける。干潟を歩くのはなかなか大変である。その先頭を菊地さんがどんどん歩いていく。なかなかついていくのは大変、思った以上に早い。 羽田空港を左手に見て下るうちに木を挟んだ石積みに行き当たった。これはかなり古いものらしく、羽田以前の川岸かもしれない。この干潟にはところどころに竹の杭があるだけで、ノリが付着するようなものは少ない。スジアオノリではないかというものを見つけただけで一度陸に上がる。 やっと発見してノリの正体は? 上がって200メートルほど先に葦の群落が見える。きんのり丸さん、生江さんとゆったり歩いていくと、島村さんが遙か彼方で手を振っている。やっとふたりに追いつくと菊地さんの手のひらに黒っぽい海藻が見えて、これが本日初のノリとの対面である。ノリといっても黒いビニールのようにしか見えないもので、菊地さんが指を差す先、葦の根本に同じものがぺたっとついている。この葦の原からは結局3個体のノリを発見する。 このノリの正体は見つかった個体数が少ないために、これをある程度大きくしてからでないとわからないのであるという。こればかりは待つしかない。 いつもののりで初対面の生き物に出合えました! 葦原がつきたのでもう一度海老取川河口に戻り、こんどは上流の船の係船場を見て歩く。ここは干潟が深い。この干潟の流木の影になにかうごめくものを見つける。これを捕まえるとアナジャコ(写真下)である。これがアナジャコとの初めての出合い(ちょっと大げさではあるが)である。 ここでもノリを見つけることはできなかった。ちょうど3時過ぎ、これで多摩川河口を後にする。帰りの電車で菊地さんとアサクサノリやアマノリ科のスサビノリ、ウルップイノリなどのことで話し込んでいる内に新橋駅に到着。ここで菊地さんと分かれる。 ![]() アマノリを探す旅、というから川辺をゆったり散策するのだろうと、安易に考えていたが、実際にはフェンスをよじ登り、くぐり、時には駆け足になったり、帰り着いてみると思った以上に疲れていた。ノリというかアマノリ科の海藻を地道に研究調査している菊地さんにとってはこれが日常のこと。菊地さんが江戸前の海川でアサクサノリを発見するのは何時の日か? ●アサクサノリなどノリの話は別項で ■東京湾でのノリ養殖、またアサクサノリなどを東京湾に復活させる取り組みなどは、「第二きんのり丸」へ! ●このような河口部や汽水域でアマノリの仲間らしきものを見つけたら、勝浦に送ってみませんか? それがアサクサノリかどうか、また何という種類のアマノリかなど、わからない場合も多いそうですが、アサクサノリなどの絶滅が心配されている種類の貴重な生育地が見つかるかもしれません。もしよかったらアマノリの仲間を送ってみませんか? 詳細はメールにて kikuchin@chiba-muse.or.jp 注/我々が「のり」として食べているのは、緑藻類のアオサ目ヒトエグサ科、アオサ科である「青のり」と言われるもの。紅藻類のウシケノリ目ウシケノリ科アマノリ属に含まれるものである。とくにここで言う「のり」とはアマノリ属のスサビノリ、アサクサノリをさす。ともに刻まれて簾に広げられて干し「海苔」となる。この岩につくウシケノリはアマノリと属が異なり、一般に食用とはしない ■本ページを作るに際して菊地則雄さん(千葉県立中央博物館分館 海の博物館)にいろいろご教授願いました。感謝いたします 関連ページ アサクサノリと浅草海苔/アサクサノリを探す旅 |
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