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利根川周辺の漁 ウナギ鎌漁 01 千葉県香取郡小見川町 北総漁協 篠塚秀一さんの 船にのって利根川へ 2003年10月16日 目次/市場魚貝類図鑑/ 千葉県の目次へ |
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小見川へ向かう 深夜2時、首都高に入るがやけに車が少なく、空いている。TBSの深夜放送は小堺かずきとラビット関根のもので少々懐かしい趣のもの。ただし少々内輪受けのものがあるのが残念。ガラガラの首都高速を京葉高速に入るときにはいつも不安と緊張に。後ろから来る軽がやけに車間距離を縮めてくるし右に迫るコンクリートの壁はやけに黒く不気味である。まったく首都高の計画設計をしている人よ、「少しでもいいからここを走ってみろよ」。こんな危険で息苦しい曲がり角ってありますか? 難関を過ぎて京葉道路に入り、東関道に入るのもわかりづらいな? と思いながらも道は間違っていないようだ。道路を照らす明かりも数が少なく薄暗い高速道路、東へと車を走らせていると、霧の帯がかかってくる。しかもときに不安を感じるほどに濃いが、暗い空にはモコモコした白い雲があり、雲の間にひとつだけ星が輝いている。 小見川町には4時前に到着した。丸いドームの「水郷小見川自然の家」を目印に北総漁協にたどりつき、駐車場に入る。寒くはない、風の中に川の臭いが混ざっている。まだあたりは真っ暗である。座席を倒して小一時間、眠る。すーっと眠りにはいると黒部川からの野鳥の声がして引き戻され、また眠りに落ちていると「ぎゃーーぎゃー」と起こされる。いったいなんなのだろうとまだ薄暗さの残る土手から船だまりに下りるものの鴨らしき鳥がいるだけ。鴨がこんな鳴き声をさせるのだろうか? 船だまりを見ると、もう白い軽四輪が止まっている。いつの間にと思い荷台を見るとウナギを入れる黒いかご。そして1隻分の水面がぽっかりと空いている。明らかにウナギ鎌漁に出たのだろう。これが今回のウナギ鎌漁を見せてもらう手筈になっている漁師のひとり、根本豊治さんの船であることが、利根川に出て判明する。 時間つぶしに、船だまりの水面に浮かぶ木の根っこを何気なく手網で救ってみると、フナに似た魚が一匹だけ入る。体の形や微かな文様から、どうもブルーギルの稚魚であるらしい。そのまま葦の間や杭からのびる植物の根などを手網ですくい上げていくが、ヒタチチリメンカワニナとオオタニシが入るだけ。 また車に戻り、横になり、あまりの手持ちぶさたに、また船だまりに下りたりするうちに水路の方から船のエンジン音が聞こえてくる。入ってきたのは小さなレジャー用のボートであり、50歳前に思われる中背の方が乗っている。「おはようございます」と声をかける。ウナギの延縄漁から帰ってきたというのは、北総漁協所属の中島さん、「ウナギは3本だけ、アメリカナマズばっかで」という話。アメリカナマズはすべて捨ててきたのということで、これは残念しごく、今度くるときにはお願いしてアメリカナマズを分けてもらうことにする。 ちょうど、7時半である。トラックが土手から下りてきて乗っていたのが篠塚秀一さんであった。今回の利根川の旅は篠塚さんの船に乗り「ウナギかま漁」を見るためのもの。大急ぎで車にもどりカメラなどを持って船に乗る。「今日は潮止めの堰の下までいくど、とおいっぺよー」と船を黒部川(利根川の西に平行に流れる幅の広い水路)に向け、速度を上げて下っていく。 利根川の西は小見川から東庄町(とうのしょうまち)、銚子市となって太平洋に出る。この東庄町であるが、笹川といったほうがわかりやすい。実際、篠塚さんと話をしていても「東庄」ということはなく、あくまでも「笹川」である。有名な天保水滸伝の舞台であり、主人公の笹川の繁蔵の町でもある。 この東庄町で黒部川は利根川に合流する。この黒部川から利根川の間には水門があり、利根川本流に入るに閘門という船通しを通らなければ出られない。この閘門というのは水門の脇にある船を通すための水路であり、奥と手前に分厚い鉄の板があり、門を閉じている。この板と板の間に船が入る空間があり、この2つの水門を交互に開け閉めすることで水位の違う利根川と黒部川を行き来する。 船通しを越えるには、 1/門の手前で船を止めてボタンを押す。 2/かなりの時間を要して手前の分厚い鉄の板の扉がせり上がる。 3/ここで板と板の間に船を入れる。 4/船が入ると、また板が下りて水路を遮断する。 5/こんどは反対側の板の門が開き、ここでやっと船は水門をくぐれるのだ。 この間、約30分あまり。「この時間が退屈だっぺー」と篠塚さんは高笑い。「ひとりのときはさびしいっぺよー」と苦笑い。 水門がやっと開き、ほんの百メートルほど下れば黒部川は利根川に合流する。そして利根川河口堰の真下に来る。ちなみに対岸では、黒部川の代わりに常陸利根川が利根川本流にここで合流する。 さてウナギ鎌を下ろして漁は始まりとなる。 02へ |
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