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富士山からそのまま太平洋にどぼんと飛び込んだら、そこはすぐに深海となる。 生きている化石であるラブカ、ユメザメ、そしてエゾイバラガニやイバラガニモドキのタラバニの仲間、 と多彩な生き物が棲息しています。その不思議な世界を一本のロープ、カゴで結ぶのが長兼丸。 ![]() 静岡県焼津・長兼丸 ミルクガニ漁(エゾイバラガニ) 2004年2月14日 エゾイバラガニ、イバラガニモドキ、ボタンエビなど 目次/市場魚貝類図鑑/静岡の目次へ |
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ミルクガニ(エゾイバラガニ)漁 ホテルを出るとアスファルトがぬれている。夜半に雨が降った模様である。暖かい。 長兼丸の接岸する場所についたのはまだ明けやらぬ5時である。長谷川さんはすでに到着していて、それを確認して大急ぎで雨具に着替える。 長谷川久志さんとともに乗船すると舳先でとも綱をといていたのが長谷川隆嘉さんである。久志さんにとっては義理のお兄さんに当たる。 まっくらな海を船はゆっくり港の外に出る。あたりはなかなか明るくならない。40分も走っただろうか? やっと水平線が明るくなって、遙か彼方に富士が浮かんでいる。長谷川さん、航跡を示すテレビ画面を見ながら、カニカゴのブイを探す。「ブイ見えるでしょう」指をさして教えてくれるものの、まったく芥子粒ほどのものも海原には見えない。 ![]() 生きているボタンエビは赤く白く明滅する ブイにたどりつくまでの間に、船上の片づけをしていた長谷川さんが、生け簀から、なにか投げてよこした。見ると生きているボタンエビ。これは前日のヌタウナギ漁の筒にたまたま入っていて、紛れ込んだものであるようだ。飴色に透き通った胴体に白い斑紋が光っているかのよう。「食べていいよ」というのに甘えて殻をむき口に放り込む。甘くて、そしてぷるんとしっかり食感がある。頭もかまわずにかじりつくと、みそがどろっと舌の上に飛び出してきて、この濃厚なうまみが、まだ生きているがためにそのまますーっと消えていく。「うまいな! うまい」。長谷川隆嘉さんが作業をしながら「何でも食べるね。うまいだろ」と笑っている。 巻き上げ開始 船はスローになっていかばかりか、やがて白い大きな発砲のブイにたどり着き。それを隆嘉さんがひろいあげる。ロープをローラーにかけて徐々に巻き上げていく。最初のカゴが上がるまでにはおおよそ30分以上がかかる。水深755メートルの深い水底からゆっくりゆっくりたぐり揚げられてイカリが上がる。そして程なく緑色のネットでできた最初のカゴが上がってきた。残念なことにこのカゴは深海のサメに傷つけられたためか底が抜けていて一杯も入っていない。 2個目のカゴからは2匹、1匹と続き、10匹以上ひしめいているカゴも上がってくる。深い海の底からやっと白いロープが見えて、その先のカゴが浮かび上がってくる。それを引き上げて、カニを出し、また新しいエサをつけて船尾に持っていく。 エサはビンナガマグロ(とんぼ)の頭である。作業の合間に長谷川さんはこの頭の肉をナイフで切り出して、これをしょうゆもつけずに口に放り込む。「これうまいだ」と隆嘉さんの口にも放り込む。一切れ食べてみると確かに脂ののったビントロ、しかも鮮度も悪くない。これは船上のおやつといったところだろうか。 ![]() ミルクガニ(エゾイバラガニ) 船上は見る間にミルクガニで埋まってしまう。そんなときに「タラバだ」といって長谷川さんが差し出したのがイバラガニモドキである。タラバガニ科のなかではもっとも味のいいもの。そして駿河湾でのカゴ漁においてもっとも高価なものである。ちなみにミルクガニはこれに対して庶民の味方とでもいえそうだ。味もなかなk捨てがたい上に値段が安い。これが焼津市民だけでなく全国のファンを集めるゆえんである。 |
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