2004年12月12日 03 沼津魚市場 市場便り 06の3 目次/市場魚貝類図鑑/静岡の目次へ |
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04/12.12 沼津の味 03 9時近くになってやっと一息つけた。 「ご飯いきましょう」 飯塚さんに言われて、すくわれた気分になる。期待をもって飯塚さんの後に続く。市場前の一角の路地を抜けて、小道を渡ってすぐの建物に何軒か飲食店が並ぶ。飯塚さんは左手にあるありきたりな、そば屋ののれんをくぐった。 その店「三橋」は、外見は普通のそば屋であり、メニューは当然、そばと丼物。ただ、並ぶ品書きの札が沼津ならではのものが目白押しだ。「でんでん(オオメハタ属の魚)」「めぎす(ニギス)」「小えび」など底引きのネタが天ぷらになって、それぞれ天丼や天ぷらそばにのる。 飯塚さんが注文した「野菜かき揚げそば」が先に来た。これにビックリ仰天。そばの上にある、かき揚げが、丼から大きくはみ出している。 「これがサクサクしてうまいんです。それに意外なくらいあっさりして軽い」 飯塚さんの言葉が終わらないうちに、ぼくが注文した「めぎすの天丼」が運ばれてきた。これもなかなかボリュームがある。 空腹に大急ぎで一口。やや甘口の天丼のつゆが「めぎす」のほっくりとした白身にうまく調和している。ニギスってこんなに天ぷらにしてうまいんだなと、「ニギスの天ぷらはうまいんです」と言っていた張本人が驚くんだから、この気持ちわかってもらえるだろうか? ふたりともあっという間に平らげて店を後にした。当日は「でんでんの天ぷら」が品切れであったが、また今度来て頼むつもりだし、「小えび」というのはジンケンエビが材料だという、こちらも絶対食べなくちゃ。 市場に戻り飯塚さんと別れて、青木さん、菊地さんと長い立ち話をする。今回、改めて思い知らされたのが、お二人の魚の目利きぶりであった。仕事なのだから、当たり前だと思うのは早計だ。素人が見ても目利きぶりの怪しい向きが多くなってきているのだ。そんななかにあってあっという間に魚を値踏みし、競り値を見極める。競りの人波についていきながら、お二人とお近づきになれたことに誇りを感じるではないか。 伊豆で正月用に作られる「塩鰹」のこと、お二人にお願いしている「バケアオメ集め」、来年はぜひ新年会を沼津で行いましょうと約して沼津を後にする。 荷台には2キロ上のクロムツ、ホウズキ、ユメカサゴ、ヒカリチヒロエビが乗っかっている。さてさて今日の夕食は楽しみである。 |
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