2004年3月17日 沼津魚市場 市場便り 02 目次/市場魚貝類図鑑/静岡の目次へ |
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今年の3月、春は早い。どんどん進んで東京の桜の開花宣言まであと一日。うとうとと仮眠するでもなくクルマに向かう。午前0時過ぎ、なんともダウンを羽織ってきたのを後悔するほどに暖かい。平日なので深夜の国道16号はクルマも少ない。1時過ぎには東名に乗り、沼津に到着したのが2時半前。途中、ゆっくりゆっくり走ってこの時間に着くのだから沼津は近い。 沼津魚市場は人影もまばらであり、海は満潮なのだろうか? 岸壁に立ってもしーんと静かだ。沼津魚市場は北から南に向かって1号2号と売り場が続くが北の端ではトラックから盛んに荷が下ろされている。各地からの荷はほとんど並べられていて、あとは競りを待つのみとなっている。 地元の荷を扱うのは南側の一角、そこにマダイの養殖業者の方が大きなゴミバケツを置いていく。中を見せてもらうと締めたタイが浮かぶ。「これはよくねーだよ」とタイの腹側を見せてくれると、そこにはひっかいたような傷が見える。「このタイは、ほとんど値がつかね」のだという。 底引き網の獲物は南側にひっそり置かれているのだけれど、3時を過ぎる頃に志下という地域の明神丸のおばさんが、昨日運び込んだ荷の選別をはじめる。中には深海性のエビが大雑把に分けて入れられている。これをもう一度選別してザルに並べていく。コンクリートの上に布を敷いてアカザエビを大小で分ける。バケツにフタを置いて小形のエビを選別する。 明神丸に続いて志下、静浦、戸田の船が選別に集まってきた。「今日は風があっから、船頭呼べ」としきりにおばさんが言っているのは、今日は風が強いので休漁である模様だ。確かに海の方から、ふ、ふっと風が吹き込んでくる。3時から始まった選別はほとんど5時過ぎまで続く。当日来ていた静浦の大成丸の船頭さんに言わせると底引き網は沖でも大変であるが、この選別、ときにはそれを上まわるほどに大変だという。 「まだ春のこの頃はいいだ。秋の多いときにはもっともっと魚多いだよ」と明神丸のおばさんが呟く。 志下、静浦の底引き網の市場担当が荻原さん。競りの順番、また競る魚貝類の置き場所を決めてめまぐるしく動いている。今日の競りの一番は静浦の大成丸。この選別を見ているとオキナエビとトゲヒラタエビ、オオコシオリエビ(くもえび)がたっぷり混ざっている。船頭さんい聞いてみると「遠いからね。港から3時間はかかる。ここがボタンエビの漁場だ」といい。民宿をやっているとこのような珍しいエビはもっぱら自家用にするものだそうだ。 当日の底引き網の獲物、魚類はユメカサゴ(かさご)、イズカサゴ、シロカサゴ(赤かさご)、ギス、チゴダラ、ヨロイイタチウオ(ひげだら)、ニベ、ナンヨウキンメ、ニギス、カガミダイ、マアナゴ、イボダイ、ベニテグリ。甲殻類はヒカリチヒロエビ、ツノナガチヒロエビ、ヒゲナガエビ、ナミクダヒゲエビ、ベニガラエビ、ジンケンエビ、トゲヒラタエビ、オキナエビ、アカザエビ、サガミアカザエビ、オオコシオリエビ。軟体類はテナガコウイカ、ハクテンコウイカ、チヒロダコ。 食用とはしないもの捨てられるものとしてはハナソコダラ、ヒメスミクイウオ、ワニギス、アズマガレイ、ババガレイ(きっとまとまれば捨てない)。チュウコシオリエビの仲間、ヤドカリ、オオシラスナガイ、カナマルウスツムバイ、ナサバイなど。 今回はここからナミクダヒゲエビ、ツノナガチヒロエビ、ジンケンエビ、ヒゲナガエビ、ミノエビ、チゴダラ、ヒメアンコウを明神丸でいただき。 ヨロイイタチウオ、ヒウチダイ、オキナエビ、トゲヒラタエビを菊貞(やま丁)菊地さんにいただいた。 |
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