水産の町、沼津。東京などにくる干物のほとんど総ては沼津産。
そのた多くの食品会社や加工会社があって魚臭い町と思いきや、閑静な地方都市であった。
その南の端にあるのが沼津港・魚市場である。
静岡県・沼津魚市場 市場便り01 2002年10月4日
目次市場魚貝類図鑑静岡の目次へ
「東名厚木インターから1時間だよ」と高野水産のクマさんに聞いていたので、我が家を出たのは4時前のこと。疲れていたのか寝過ごしてしまって少々あせって我が家を出た。
 東名はガラガラ。お決まりの耳キーンを、あくびでなおすとそこは沼津魚市場であった。余りにすんなり到着したので逆にびっくりした。
 駆け足で市場に辿り着くとそこのはエビエビエビ。真っ赤なツノナガチヒロエビはわかるものの、ずらりと並ぶエビの和名はほとんどわからない。戸田の方だと言うお婆さんに「小エビ」「赤えび」「本えび」「縞えび」と4種類のエビが並ぶことを聞いてもなかなか見分けがつかない。のちにジンケンエビ、ツノナガチヒロエビ、ヒゲナガエビ、ベニガラエビ(ヒカリチヒロエビと判明)であることが判明した。またお婆さんがおかずにと分けてあったバケツにまったく不明のエビが2種。
 いちばん高いエビであるアカザエビは今日は大漁のようで、大きさを選別するおばさんの、どこかうれし気に見える
 このエビをとってきたのは皆、西伊豆は戸田の船。5時前から入船してきて選別並べては帰っていくと言う。しかし凄まじい種類数。ざっと見ただけでふるえが来てしまる。珍しいボタンエビ(北海道などから来るトヤマエビではない)はまだ生きているものがある。
 調べてみるとジンケンエビとボタンエビはタラバエビ科、ベニガラエビはクルマエビ科、ヒカリチヒロエビ、ツノナガチヒロエビはチヒロエビ科、ヒゲナガエビはクダヒゲエビ科と分類学的に見てもとても多彩。
 
戸田の船がとってくるものは魚類の種数も半端ではない。いちばん売れて狙いといえそうなのがユメカサゴ。このカサゴは高値で安定している。また沼津ならではなのが深海のカサゴであるシロカサゴ、当地では「赤かさご」だとか、ハシキンメ「ごそ」、オオメハタの「でんでん」である。総べて刺身にして煮つけにして、うま〜い魚達である。
 また西伊豆からのものにアワビや磯の巻貝、モクズガニがある。特にアワビのなかに今ではまったくの幻の貝、マダカアワビがいるのには驚かされた。磯ものの巻貝は大きなヘソアキクボガイ。松崎などからくるモクズガニも魅力的だ。
 また沼津周辺での「生しらす」も忘れてはいけない。帰りには港前の「むすび屋」という店でさっそく生しらすでご飯を食べた。まだプリプリと歯触りがある。これでご飯は「うまいな〜」。
↑トゲヒラタエビと謎のオサテエビ。まったく名前がわからない
←上からボタンエビ。フレンチでのラングスチーヌ、すなわちアカザエビ。絶対「手長えび」とは呼ばないで
→「赤かさご」と呼ばれるシロカサゴ。刺身は透明感のある色合いと甘味で絶品である
↓ヒウチダイ。これも大型ならば刺身にできるが塩焼きがいちばん。干物にしてもいい
 最後にあんまり夢中になって市場の方に御迷惑をかけてしまった。申しわけありませんでした。
本項を見ている方で市場関係者のかたを見知りおきのかたはよしなにお伝え下さい。
↑珍しいソコホウボウ
←ウロコがとれたクロムツに見えるスミクイウオ
↑マダカアワビ。これを出す寿司屋は超一流
←こんな大きなヘソアキクボガイは見たことがない



関連コンテンツ

サイト内検索

目次

ぼうずコンニャク本

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!
美味しいマイナー魚図鑑ミニ
[美味しいマイナー魚介図鑑]の文庫版が登場
すし図鑑
バッグに入るハンディサイズ本。320貫掲載。Kindle版も。
すし図鑑ミニ ~プロもビックリ!!~
すし図鑑が文庫本サイズになりました。Kindle版も。
全国47都道府県 うますぎゴーゴー!
ぼうずコンニャク新境地!? グルメエッセイ也。
からだにおいしい魚の便利帳
発行部数20万部突破のベストセラー。
イラスト図解 寿司ネタ1年生
イラストとマンガを交えて展開する見た目にも楽しい一冊。
地域食材大百科〈第5巻〉魚介類、海藻
魚介類、海藻460品目を収録。