第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
七十九巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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鬼虎魚/オニオコゼ 2006年6月28日 391
 活けのオニオコゼ、透明な身はうまいというよりもシコっとした食感がいい。それを噛みしめるとじわりと旨味がにじみ出てくるし、柑橘類を絞り込んだ醤油と合わせると口中清涼感すら感じられる。「でもね。それが握りとしてうまいかな」というので活けで一かん、「うまいじゃない」と、中一日寝かせてまた一かん。「やっぱりオコゼも寝かした方がいいだろ」と、たかさんは笑う。まさにその通り、活けもうまい。透明感のある身にスダチと岩塩で食べるのがいい味で、これはこれで感動した。でも寝かせたものを食べて、もっと感動。ここにはしっとり落ち着いた甘味があり、ジワリと脂が舌に来て、そして旨味。なによりもすし飯との相性が断然向上して「見事」だ。「だいたい寿司ネタというのは2〜3日もつものを言うのさ。だから本来カツオなんて使わないし、活けものもあえて使ったりしない。まあマコガレイなんかは活け使ってもいいけど」。うまいものを食べて、また寿司ネタの奥の深さを知る。本当に寿司の世界は難しい。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
板屋貝/イタヤガイ 2006年7月9日 392
 イタヤガイは日本各地でとれるもので珍しくもない、といった貝である。ただしこれを市場で探すとなったら至難。ここ十何年、箱でまとまった入荷は一度も見ていない。そんなときに青森県陸奥湾でとれたものを地元のパラペツさんが送ってきてくれた。はからずもホタテの大産地からのイタヤガイ。残念ながら大きさにバラツキがある。これを軽く茹でて『市場寿司 たか』に持ち込む。「ベビーホタテかな」、一個口に入れて「うまいじゃないか」と満足げに笑う。そしてさっさと2かん。「これはホタテじゃなくイタヤガイっての」。「へー、わかんねーな。茹でるとそっくりだな。味もいいじゃない」。ツメを塗るべきか思案していると「このままでいいだろう」というのでこちらも食べてみる。やっぱりホタテガイと大きな違いはない。充分に甘味があるし、食感もほどよい。でもホタテ以上でないところが難しいなイタヤガイ。そう言えばイタヤガイの古名は「いたらがい」、「ホタテにいたらがい」というと、たかさん、涼しく笑う。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
青手/タイワンガザミ雌 2006年7月10日 393
 高知市浦戸湾の漁師・永野廣さんに新子(コノシロの稚魚)のことを聞いていると「新子はまだですけど、今年は青手(あおで タイワンガザミ)が豊漁です」との話。さてこの産卵期のタイワンガザミであるが雄と雌と比べるに、外子を持ってしまったら雌は身が細り味わいがグンと下がってしまってうまずい。その点、「雄はまだまだいけますね。うまいですよ」とカニ漁師のである永野さんに教えてもらう。「でもね、まだ雌でも内子を持ってるんがいましてね、これは貴重です」。その雌を昨年の同じ時期に握りにしたのが左の写真である。カニ好きのたかさん、持っていったほとんどをむさぼるように食い散らかして、「あえて寿司にするこたーねーだろ」なんて握りには目もくれない。仕方なくひとりで味わったのが、よかったのだ。タイワンガザミの内子は旨味が強いとはいいながら後口がよい、また身には甘さがあって、すし飯と馴染むとすーっと一体感を造り出す。「たかさん、うまいぞ」というと店の前の販売機でカフェオレを買っているのだ。「カニにはね。カフェオレが合うんだよ」。そんなわけないだろ!
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●高知市浦戸湾の多種多様な魚貝類は『土佐の廣丸』へ  八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
新秋刀魚/サンマ 2006年7月11日 394
 半夏生も過ぎて、梅雨明けの話が聞かれるようになった。そろそろ道東での小型船によるサンマ漁の解禁近しだな。そして10日解禁、今日には新サンマが八王子にも届いている。まったく日本の輸送業というのは優れている。そのサンマを一本『市場寿司 たか』に持ち込む。すると「今年のはダメだろう。腹見た。黒いぽつぽつがあるだろう。あれがついているとダメなんじゃない。さっき仕入れようかと思ったんだけどやめたよ」。ぶつぶついいながら卸始める。「これは虫がついてないな。少ないけど脂もある」。ネタを切り付けてさっそく食べてみる。「うん、うまいな、これ」とても満足げに笑う。「脂もちょうど頃合いかな、旨味も感じるし、まったりと甘いな」。まったくその通りの味わいで新秋刀魚に感激する。「オレ、サンマ仕入れてくるわ」、いそぐたかさんに「1000円(キロ当たり、1本200円くらいも)あるけど、いちばんいいの買った方がいいよ」と教える。初っぱなから値にバラツキがあるが味わいにも大きな差がある。今年も昨年に続いて新サンマが安いよ!
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簾貝/スダレガイ 2006年7月12日 395
 底引きなどに混ざるものでほとんど市場には出回ることはない。むしろ産地でほそぼそと利用されるものだ。主にみそ汁や、潮汁になっているのだと思う。スダレガイが属するマルスダレガイ科にはアサリやハマグリなどの美味な二枚貝が目白押し。でも、それ以上に利用されないものも多いのである。そしてスダレガイなのだが、生でも決してまずくはない、今回のものは軽く湯引きにしたが、これなどなかなか甘味があってうまいのだ。「でも、色がね」、たかさん腕組みしてひとこと。「嫌な人は嫌だろう。まずくはない。甘味が薄くて、そんなにうまかーない。でも使えと言われると使えるもんだよ。でも色が変に赤いだろ。うまそうに思えない」。そのあとに「日本人は目でも食うからね」という。「亭主の好きな赤烏帽子」とはいかないようで。
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