ベニズワイガニ

Scientific Name / Chionoecetes japonicus Rathbun,1932

ベニズワイガニの形態写真

雄は甲長12cm・甲幅12cm前後、雌は甲長6.1cm・甲幅6.5cm前後になる。甲は柔らかく、表面の顆粒状突起は弱い。ゆでなくても赤い。 雄は足が長く太い。
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雄は甲長12cm・甲幅12cm前後、雌は甲長6.1cm・甲幅6.5cm前後になる。甲は柔らかく、表面の顆粒状突起は弱い。ゆでなくても赤い。雄は足が長く太い。甲は柔らかく、表面の顆粒状突起は弱い。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★★
      重要
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)エビ上目十脚目短尾下目ケセンガニ科ズワイガニ属

    外国名

    学名

    Chionoecetes japonicus Rathbun,1932

    漢字・学名由来

    漢字 紅頭矮蟹 Benizuwaigani
    由来・語源 ゆでていないのに紅(あか)いため。記載者はメアリー・ラスバン。アメリカの水産調査船、アルバトロス号の探査によって佐渡島沢崎西北沖13.6マイル、水深980mで採取した個体で記載。
    「ベニズワイガニ」と命名したのは元農林省水産試験場香住分場の山本孝治。1943年10月に隠岐堆(おきたい)の生物調査中にオス10匹、雌を1匹山陰沖で初めて発見するなどした折りのこと。
    ズワイガニの語源
    ■ 頭(甲羅の部分)が足に対して小さいため。
    ■ 「ず」は頭(かしら)のことで、もっとも偉い、もしくは先頭という意味になり、「カニの頭」すなわち「カニの王様」のこと。
    Rathbun
    Mary Jane Rathbun(メアリー・ジェーン・ラスバン 1860年〜1943年)はアメリカ合衆国の甲殻類学者。国内周辺にいるズワイガニ類など多くを記載している。スミソニアン博物館などで研究。

    地方名・市場名

    ベニガニ[紅ガニ]
    場所島根県、鳥取県 

    生息域

    海水生。ズワイガニが200〜600メートルにいるのに対して本種は500〜2500メートルの深海にいる。
    茨城県以北太平洋側、日本海などの深海に生息。

    生態

    基本情報

    戦後になり漁が開始されたもの。日本海、東北太平洋側、北海道などでズワイガニよりも深い場所にいて、カゴ漁などでとっている。普通のカニと違って生の時点で赤いのが特徴。
    一時は非常にたくさんとれ、剥き身などを大量に生産、加工していて、インスタント食品や冷凍食品などに多用されている。
    加工品が目立つが、活けをゆでたものは非常に味がいい。
    生鮮品としての流通の拡大もはかられている。
    また剥き身にした後の殻からはキトサンがとれ、医療や健康食品への利用されている。
    茹で上げたベニズワイガニ境港での水揚げ風景 境港で水揚げされるベニズワイガニ。生の状態でも赤いのがよくわかる。

    水産基本情報

    市場での評価 活けはロシア産などを中心に年間を通して入荷してくる。寒い時期の国産ものは高く、輸入ものは安い。生、ゆでの冷凍ものも大量に出回る。
    漁法 底曵網、カゴ漁
    主な産地 兵庫県、鳥取県、石川県、福井県、北海道
    国内での漁獲量は6000トン前後、これに対してロシア、アラスカなどからの輸入が60000トンと国産の10倍にも上る。すなわち国産の中にはメスも含まれているわけで、オスの量となるともっと差が出るかもしれない。

    選び方

    味わい

    旬は不明。
    殻は軟らかく、身はやや水分が多い。みそはうま味が強く美味。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ベニズワイガニの料理法・調理法・食べ方/煮る(ゆでガニ、煮ガニ)、汁(鍋物)、揚げる(唐揚げ)、炊き込みご飯



    ベニズワイガニのゆでがに 大形個体を15分間ゆでたもの。生きているときと色の違いはない。やや水分が多いものの甘味が強くてとてもおいしい。みそがおいしいのもうれしい。サラダにも、ピラフやチャーハンにも、かに玉などにも利用できる。

    ベニズワイガニのかにちり 活けをばらして、昆布だしで煮ながら食べるもの。大勢で一気に食べるのがいい。火の通し加減はお好みで。また野菜を加えた「かにすき」もいい。最後は必ずぞうすいでしめたい。
    ベニズワイガニの焼きがにベニズワイガニの焼きがに 活けをざっと水洗いして脚だけにする。これを炭火などで焼く。焼くと水分が抜けた分だけ、甘味もカニらしい風味も強くなる。カニらしい風味も豊かになって実にうまい。
    ベニズワイガニのかにちり 活けをばらして、昆布だしで煮ながら食べるもの。大勢で一気に食べるのがいい。火の通し加減はお好みで。また野菜を加えた「かにすき」もいい。最後は必ずぞうすいでしめたい。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    境港 鳥取県境港はベニズワイの水揚げ港として有名だが、ここで様々なベニズワイガニ料理の開発に取り組んでいる。そのどれもが美味。
    ベニズワイの棒肉ベニズワイの棒肉 ゆでたものを殻をむいたもの。棒状なのでそのままサラダなどに使えて便利だ。[さんれいフーズ 鳥取県米子市]
    棒ちらし ゆでたものをカニ肉でばらばらになったもの。
    爪のハサミの部分、
    甲羅 グラタン用の容器として市販されている。
    カニシュウマイ紅ずわいのかにシュウマイ ベニズワイガニの身を加えた小振りのシュウマイ。様々なメーカーが同様の商品を出している。[ニッスイ 東京都千代田区]
    ごはんにのせて具だくさんかにカレー 名称が長くてわかりにくいのが難点だが、ようするにカレー味で練り上げたベニズワイということらしい。とてもご飯との相性がよくおいしい。[笠井食品 石川県金沢市]
    ベニズワイガニの缶詰ベニズワイガニほぐし身缶詰 フレーク状にしたカニの身を缶詰にしたもの。マヨネーズと合わせたり、茶碗蒸しに入れたりといろいろ使えて便利。[マルハニチロ食品 東京都江東区]
    ベニズワイガニの甲羅かに甲羅 グラタンなどを作るときの容器として利用するもの。

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    タラバガニの一種 1973年のサンケイ新聞社『郷土料理の旅』石井出雄に福井東尋坊の話として、このベニズワイを『タラバガニの一種』と解されている場面がある。「タラバガニ」というのが深海性のズワイやベニズワイなどにも使われた証拠である。

    北鮮ものがあった ベニズワイは国内で漁獲する物は年々減少の一途をたどっている。これに対して増加しているのが北朝鮮からの輸入の物。本種は加工品材料としては、重要なものであるが、この多くが実は陰の水産王国・北朝鮮「北鮮もの」なのだ。(2007年 2008年以降で、北朝鮮からの輸入は中止されている)


    越前 かにめし 福井県の駅弁。ベニズワイガニのむき身がたっぷり入っていて、なかなかの味。[番匠本店 福井県福井市]

    参考文献・協力

    『大型甲殻類図鑑Ⅰ・Ⅱ』(三宅貞祥 保育社)、『山陰の動物誌』(上田常一 今井書店)
  • 主食材として「ベニズワイガニ」を使用したレシピ一覧

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