軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱カキ目イタボガキ科
マガキ
Crassostrea gigas
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中央のマガキの上(フタ)が右の貝殻、下が左の貝殻となる。すなわちマガキはもっぱら岩などに左の貝殻を付着させている。中央のマガキで説明すると向かって右が前部、左が後部となる。このように二枚貝の貝殻は左右に開く
魚貝の物知り度/★★★★
市場での評価・話題◆10月から3月いっぱいの入荷は非常に多い。近年年間を通して手に入る。また国産の他に韓国などからの輸入もある。値段はやや高い。また各地にブランドもの(特定の高級品を出す)がある
生息域◆日本全土、東アジア全域。細菌ではフランス、オーストラリアなどでも養殖されている。フランスなどでの生食用カキの多くはマガキ。
大きさ◆殻長20センチを超えるものもある。
漢字◆「真牡蠣」。古くは総てオスだと思われていたので「牡」の字がある。しかし交代的雌雄同体であることを明記しておく。
由来◆「石から〈掻き〉落とす」、「殻を砕いて〈欠いて〉とる」、「貝殻が〈欠け〉やすい」、「〈掻き〉出して食べる」からくる。(参考/『たべもの起源事典』岡田哲 東京堂出版)
英名◆
oyster
仏名◆
huitre
呼び名・方言◆
市場では単に「かき」。
食べ方◆殻付き●生食/焼きがき/蒸しがき
剥きガキ●
フライ/鍋(味噌仕立て、ちり鍋ほか)/さわ煮/佃煮他
栄養◆タンパク質、脂質こそ少ないものの鉄分、カリウムなどの無機質、各種ビタミン類が豊富。またなによりも消化性多糖類であるグリコーゲンが豊富なことから疲れ回復にもききそうだ。

 マガキは交代的雌雄同体。生殖は別個体が交代で雌雄の役割をする。また岩など硬いものに好んで付着する性質を持つと思われているが、本来は干潟泥質に浮かぶように成長。またそのカキに別個体が付着していく。このたくさんのカキ殻の大きくなったものをカキ礁と呼ぶ。
 付着するのは左の貝殻でやや深く軟体を納め、右の貝殻は平たくフタとなっている。
 入荷するほとんどが養殖されたもの。養殖方法はイカダ垂下式と呼ばれるもので内湾にイカダを浮かべて殻頂(蝶つがいのあるところ)に穴を開けてヒモに通して海につり下げる。
 養殖は初夏に稚貝を採取し、翌年冬、1年で出荷するもの。また盛夏に採取して翌年夏を越して2年目の秋、3年目の秋に出荷するものに分かれる。
 養殖が盛んなのは瀬戸内海、三陸。県別では広島県が全体の5割以上を占め1位、次いで宮城県、3位が岡山県となっている。養殖マガキの総生産量は3万5千トン前後。
◆食べてみる◆
 
マガキは殻付きのものを買って剥きたてを食べるのがいちばんうまい。他には焼いたり蒸したりもいい。殻のまま焼くと生のときよりも何倍も旨味は増す。また大きな鍋にたくさんの殻つきカキを詰め込めるだけ詰め込んで蒸しあげたものも素晴らしい。
 また剥いたものに生食用と加熱用があるが、これは大腸菌などの少ない海域でとれたもので、海からあげて一定時間紫外線殺菌した海水で細菌などを浄化したものが生食用。生食には適さない海域でも加熱すれば食用となる(生食可能な海域からも)海からあげてすぐに出荷したものが加熱用だ。決して加熱用のものが鮮度が悪いということはない。
 剥きガキの料理法としてはカキフライがいちばんうまい。他にはグラタン、さわ煮、佃煮。その他料理法は無数。
寿司に関しては寿司図鑑へ!

◆マガキの話題、こぼれ話、ついでに情報求む
国内産のイタボガキ科(カキの仲間で)で食用とされ流通の場にあるのは、マガキ、イタボガキ、スミノエガキ、イタボガキの4種。
マガキは生食することを考えるときれいな海の方がいいのだけど、その旨味の含有量を考えると有機質に富む、栄養豊かな海が望ましい。でも栄養豊かな海は裏からみると人の営みからの様々な汚染を受けている。例えば大腸菌などである。この大腸菌の汚染度によって生食できる海域は決定する。すなわちきれいな海で育ったものが生食用になるのだ。ということは生食可能な海域のマガキは加熱用にしかできない海域のものより旨味においては落ちるということ。
カキの養殖はヨーロッパでは紀元前1世紀。日本では1673年(延宝元年)に広島で小林五郎左衛門が始めたのが嚆矢。1500年代戦国時代もしくは室町時代後期とも言われている。詳しい文献を知っている方情報求む。
その昔は大きな湾を持つ地域で天然の出荷が行われていた。例えば戦後になっても東京湾横須賀などでは関西に向けてマガキの出荷がなされていた。現在では天然マガキの出荷は厚岸やサロマ湖など北海道のものがほとんど。(横須賀市東部漁協)
近年まで東京湾でも天然ガキの出荷があったように古代から重要な食用貝であった。東京湾沿岸に多数のカキ殻の堆積した貝塚があることでもその食用の歴史は縄文時代までさかのぼれる。特に東京湾岸での貝塚にはマガキを剥くという行為に他の土地にはない特色があるのも忘れてはならない。文献としては古事記にも見られる。

参考文献/『軟体動物学概説』波部忠重・奥谷喬司・西脇三郎 サイエンティスト社、『たべもの起源事典』岡田哲 東京堂出版、『魚と貝の事典』望月賢二 柏書房、『新北のさかなたち』水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社、『水産養殖ハンドブック』大島泰雄 水産社、『魚ガイドブック』香川綾 女子栄養大学出版部、『栄養学総論』飯塚美和子他 南山堂 その他
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カキの貝殻の開け方
蝶つがい(殻頂)を手前にして、貝殻の斜め右から貝剥きを差し入れる。そしてフタ(平たい方の貝殻、動物学的には右の貝殻)の方の貝柱を切る
右の貝殻を外して見るとこのような状態になる。
フタの部分の貝柱とヒモを深く軟体を納めるようになっている左の貝殻に移して、流水で軽く貝殻などを除く。これで、あとはレモン、スダチ、柚などをかけて食べるのだ。流水で洗うのは、適度に塩分を調節するためでもある。そのままでは塩辛いことが多い