殻高(画像の天地)20cmを超える。形は長楕円形ではあるが様々。貝殻は分厚く、表面は薄い板状が重なり合い、1キロ近い重さがあるものもある。[長崎県産養殖]
イワガキの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
![殻高(画像の天地)20cmを超える。形は長楕円形ではあるが様々。貝殻は分厚く、表面は薄い板状が重なり合い、1キロ近い重さがあるものもある。[長崎県産養殖]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/277/Thumb630/iwagaki.jpg)
![天然ものは表面に藻や生物が付着して、環形動物が這っていたりする。あまり日に焼けないので黒くない。[徳島県産天然]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/277/Thumb630/iwagaki00.jpg)
![裏側。イシマテガイが穴を掘って住んでいる。これはコンクリート壁などにへばりついたいたもので平ら。[徳島県産天然]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/277/Thumb630/iwagaki0.jpg)
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珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★★
知っていたら通人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱ウグイスガイ目カキ上科イタボガキ科マガキ属外国名
学名
Crossostrea nippona (Seki,1934)漢字・学名由来
漢字 岩牡蠣、岩牡蛎 Standard Japanese name / Iwagaki
由来・語源 平瀬與一郎の命名。泥地を好むマガキに対して、岩(磯)などにつくカキ、もしくは岩のようなカキ。平瀬與一郎
hirasei, hiraseana, Neohirasea(平瀬與一郎 安政6-大正14 1859-1925 兵庫県淡路島福良)。京都で『平瀬商店(平瀬種禽園)』をいとなみ標本、特に貝殻を商い海外に輸出。貝類学の嚆矢。同郷の黒田徳米は同商店で丁稚をしながら貝類学を学ぶ。地方名・市場名
生息域
海水生。潮間帯下の岩礁域。
陸奥湾から九州、日本海。生態
雌雄雌雄異体の円形に近い大型のカキである。
8月上旬〜10月前後。
殻長20センチを超える。楕円形であることが多いが、付着した岩やコンクリートによって形は様々。岩などにくっつく左の殻の方はふた側(右の殻)よりも大きい。基本情報
本州から九州の日本各地でみられる貝殻の大きさ20cm以上の大型のカキである。
古くは食べる地域が限られていたが、今や全国的に流通している。
最近では産地が増え、養殖も行われていて、一般的な水産物になってきている。
夏が旬で、最盛期は夏でマガキと交代するように入荷してくる。
独特の渋みがあって、これが持ち味。一口では大き過ぎるので適宜に切り分けて楽しむことと成る。
<珍しさ度/c2>古くは地域限定のカキだったが、最近、流通量が増えている。少し探せば手に入る。 水産基本情報
市場での評価 厳冬期を除いて近年はそれこそ日本全国から、大量に入荷する。養殖している地域も増えてきており、市場でも普通に見られるようになった。売り方は1個単位で大きいものが高いが重さに正比例したものではない。天然、養殖で大きく値段は代わらない。
漁法 潜水漁、養殖
産地(目立つもの) 山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、京都府、鳥取県、島根県、茨城県、千葉県、静岡県、愛知県、三重県、徳島県、高知県、宮崎県
養殖 養殖を始めたのは島根県隠岐西ノ島。今でも隠岐は養殖イワガキの産地として有名。
選び方
生きていないと食べられないもの。持ってみて貝殻から体液がもれてこないもの。貝殻がだらしなく口を開けていないもの。味わい
栄養
マガキ同様、タンパク質、脂質こそ少ないものの鉄分、カリウムなどの無機質、各種ビタミン類が豊富。またなによりも消化性多糖類であり直ぐにエネルギー化できるグリコーゲンが豊富。危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
イワガキの料理法・レシピ・食べ方/生食、蒸す、揚げる(イワガキフライ)クリックで閉じます
蒸しイワガキ 生では1個で充分だけど、蒸すといくらでも食べられる。きりがない。甘味も渋味も抑えめになるが決して、おいしさが少なくなるわけではない。あえて言えば後味が軽くなる。このとき軟体が大きいことがいいことだ、と気づく。
貝殻の表面などをていねいに洗い流す。これを10分程度、様子を見ながら蒸し上げる。[天然/三重県鳥羽市安楽島]
生イワガキ イワガキとマガキの最大の違いはそのボリュームである。強い甘味も渋味も量が多い。大いに甘く渋味はマガキよりも長く続く。食感も非常に強い。クリックで閉じます
2022年現在、いちばん目立つ産地となっている。イワガキに関しては後発で、吉野川水系など漁場が広く資源的に余裕があるために大型が多い。[天然/徳島県産]イワガキフライ イワガキを剥き身にする。水分をよくきり、塩コショウして小麦粉をまぶし衣(小麦粉・卵・水)をつけパン粉をまぶして高温で揚げる。カキ本来の味が頬張る口のなかいっぱいに広がる。流通したものを使うと1個300円から600円もする。おいしいけど普段作るというわけにはいかない。クリックで閉じます生イワガキ 島根県隠岐西ノ島はイワガキ養殖発祥の地である。1992年に中上光さん(なかがみ養殖場)が確立した養殖技術は、今現在では日本各地に広がっている。初めて養殖ものを見たとき、それまで見慣れた付着物だらけの天然もの比べてあまりにもきれいなので驚いたものだ。養殖ものは身入りが安定して比較的当たり外れがない。[養殖/島根県隠岐産]クリックで閉じます生イワガキ 東京は比較的古くからイワガキを食べる地域であったのは、お隣、千葉県銚子市、茨城県鹿島灘が産地だったためだ。銚子市では底曳き網なども禁漁になり、漁のもっとも少ない夏にイワガキを、イガイ(シイレ)とともに採取していた。このイワガキを食べる文化は明らかに高度成長期以前で、非常に古いのではないかと考えている。[天然/千葉県銚子産]クリックで閉じます
好んで食べる地域・名物料理
もともと食用としていた地域 古くからの産地は日本海側の秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、鳥取など。太平洋側では唯一千葉県銚子、鹿島灘などであった。関連コラム(郷土料理)
2024年8月29日が今季イワガキ終い
クは季節に従順でありたい。季節に争うなんてやりたくもない。 今や亜熱帯となってしまったが、わずかでも季節をありのままに感じたい。 ということでイワガキは今季は・・・ 続きを開く加工品・名産品
冷凍イワガキ 島根県隠岐海士町ではCASによる冷凍イワガキを製造している。
隠岐のいわがき 清海 島根県隠岐で養殖されているイワガキ。実に清い海域で育てて、無菌状態にして、付着物などを取り去り出荷したもの。[和田水産 島根県隠岐の島町]釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/あらしま新鮮組 出間リカさん(三重県鳥羽市)
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『醤油屋ばなし・海人がたり』(常世田令子 崙書房 1980)