ネットでのオフ会と言うものに初参加するために、やってきたのが駒ヶ根市。
天竜川に期待してさっそく川遊び。そして町歩きをしました。駒ヶ根の町(街かな?)が予想以上に面白かった。

2002年10月26日 駒ヶ根市 02
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これが「塩いか」。今でも健在な郷土食。これは福井県からきているものだが、原料のイカは輸入もの
街で見つけた懐かしい陳列ケース。1950〜1960年代にはどこでもこのような店の造りであった
ほとんど手渡しで買った『ベルン』のあんパン。店を出るのももどかしく食べてしまった。
ベルン tel 0265-82-2225
「もうほとんど商売にはなりません」と寂しそうに語る。ただし店の中にはレトロな商品がいっぱい残っている
ワインや地酒が豊富に揃っている『藤本酒店』。
tel 0265-82-3053
駒ヶ根の不思議な空間『精養軒』。1階は普通の食堂、2階は宴会場になっている
 駒ヶ根というところは天竜川を挟んで西に市街地、東に田園地帯が広がっている。観光地としての駒ヶ根高原は、市街地とはクルマで10分ほどしか離れていないが、街はそれとは切り離された面もちがする。
 市街地と言っても飯田線というローカル線(?)にこじんまりした町並みがあるだけにすぎない。ただし総べて小造りながら、商店街の店それぞれに繁昌のよすがが忍ばれる。歩いていて懐かしいのは1950〜60年代の匂いがどこか感じれるせいかもしれない。

 駒ヶ根でソースカツ丼を食べるのも今回の楽しみであった。川遊びを早めに切り上げて駅前の駐車場に入る。1時間以内なら無料というまことにうれしいシステム。きれいなトイレが脇についている。太郎は朝から我慢していたものをたっぷりここで出してから町歩きに出かける。
 駅前にはロータリーがあるがあまり広すぎないのがいい。また観光地を控えるのにまったくお土産屋がない。駅はスーパーや商店街が続き市民の生活の場所であるようだ。駅に行って時刻表をみると1時間に3〜4本しか便はなく、待ち合いにはお年寄りが多い。うれしいことに立ち食いそば屋がある。太郎に1杯食べようと持ちかけるが、「いやだ」と拒否される。残念。太郎は駅前のスーパーの前のタコ焼きが気になってしかたないのだ。
 まず駅前のスーパーで探したものは「塩いか」である。長野や岐阜など海のない県では定番ともいえそうな食材である。東京郊外のスーパーとなんら変わりない品揃えのなかで、やはり堂々一角を占めている。今回はこの産地を確かめたかったのだ。やはりと言うか、長野で2日間に見た塩イカの産地は総べて福井県のもの。ただし原料はニュージーランドイレックスであったけれど。この「塩いか」、適度に塩出ししてナスやじゃがいもと炊くとか、きゅうりもみに合わせるとか、なかなか重宝な食材である。
 また一見、ありきたりなスーパーも一角に天然のきのこが置いてある。名前はわからないがうまそう。見ていると買ってしまいたくなるので、大急ぎで街にで掛ける。ちなみにスーパーの前のタコ焼きはまだ準備中。国道までの道がいちばん商店が多いところだと言う、これを南にアーケードがある。入るとほとんどの店が開いていない。土曜日であるというのにどうしたことか?
 そこから国道に出ると、ここがなかなか味わい深い店がいっぱいあった。八百屋さんの店先にはきのこがいっぱいあるし、古めかしい雑貨店、化粧品店。とくに手芸洋品店にあった陳列ケースはなつかしい。1960年代の、まだ中学生くらいの姉が出てきそうな錯角に陥る。
 少しずつ北に上がるとセブンイレブンがあって、太郎はまた肉マンを食べたいというが我慢させると、先にうまそうなパン屋さん。すぐ反応する太郎が「あんぱん、あんぱん食いたい」というので入るとどこか懐かしくも不思議なパン屋さんである。まず中に並べられたお菓子が初めてみるものばかり、旅の途中でなければ買って食べてみたい欲求にかられるが、あんパンを1個、手渡しで買って外に出る。「半分こ」というと「いやだ」というのを無理矢理一口取り上げると、うまい。中の粒あんは、自家製のようで、あずきの風味が口に広がる。ぱんの生地も言うこと無し、っと思っていると太郎の手にパンはない。
 パン屋さんまで引き返して屋号をみるとガラスに『ベルン』と書かれていた。もう一度あんパンを買うのも変かな〜と思いながら見つけたのがほこりだらけの瀬戸物屋、思わず入ってしまった。実を言うと我が実家も今はないが唐津屋(四国では瀬戸物屋とは言わない)、古い店を見るとついつい入ってしまう。このような店で必ず探すのが「ハエとり瓶」とハイジやペコちゃん、スーパージェッターなどのキャラクター入りのお茶碗。ハエとり瓶は少し前まであったというが、売れてしまったのだと言う。しかたなく「アタックナンバー1」のお茶碗、120円なりを買ってくる。
 その先に1階が寄せ棟、2回が切り妻という美しい日本家屋がある。酒屋であるようなので入ってみる。
 中にはたくさんのワインと地酒、なかなか親切なおかみさん(若い)がいてお勧めの『そばのかおり』(喜久水酒造)というのを買った。この焼酎、さらりと雑味がなくスルスルのどを通っていく。このおかみさんにソースカツ丼のうまい店を聞いた。「おいしいというか、昔ながらの洋食屋なんですけど」と教えてもらったのが駅に近い『精養軒』という店。辿り着いて外観をみるとなんとも高そうな、その割にどこか古びており、「やっているのだろうか?」と心配になる。ドアを開けると、中は無人で、その上外観とはちがって粗末な机と雑誌などが脇に見える。呼んでも誰も出てこないので外に出ると、入った隣のドアがパッチっと鍵をあける音がする。どうも入り口ではないところから侵入していたらしい。
 もう一度入るとかなりなお年寄りではと思える、しかも脚がお悪いらしい男性が「いら〜っしゃいませ」とぼんやり立っている。太郎はハンバーグ、そしてソースカツ丼を注文する。
「東京の精養軒とかかわりがあるのですか」と聞くと「昔(どれぐらいだろう)、伊那市の人で精養軒で修業して、駒ヶ根に『精養軒』という洋食屋を開いたんです。そこに私の父親が弟子で入って屋号を譲り受けたんです」、ゆっくりゆっくり説明して下さる。そのうち出てきたソースカツ丼、ありきたりながら懐かしい味、特に太郎が頼んだハンバーグなど子供の頃、どこかで食べたような味わいであった。
 駒ヶ根の街は活気はないものの、どこか懐かしい。しかも店それぞれがどこか上品なのはどうしてだろう? またこの街には人口の割に大きな書店があった。大きな書店は都市の魅力のバロメーターである。



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