千葉県外房和田町
クジラの旅01
2005年7月29日
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市場魚貝類図鑑

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 2005年現在、1988年よりの商業捕鯨のモラトリアム(休止状況)が続いている。それで捕鯨がまったく行われていないかと言うと、そんなことはない。例えば市場でよく見かけるミンククジラは調査捕鯨という名で細々ととっている。沿岸でのIWC規制対象外のツチクジラ、コビレゴンドウ(マゴンドウ、タッパナガ)、ハナゴンドウなどの小型捕鯨はなかなか盛んであるし、突棒や追い込み漁によるリクゼンイルカ、イシイルカ、カズハゴンドウ、ハンドウイルカなどのイルカ漁なども大きな意味合いでは捕鯨の一種であろう。また市場ではこれら以外にイワシイルカ、ニタリクジラ、ナガスクジラ、マッコウクジラなども見かけるが、これは定置網などによる漁業対象外での捕獲となる。
 これを地域的にみてみる。
 突棒は和歌山県、千葉県、岩手県、宮城県から北海道にかけて行われている。追い込み漁は伊豆半島伊東市富戸、和歌山県で現在も続けられている。これらは一般に小型鯨類として市場で流通するものであり、動物学的には歯クジラの仲間で小型種のものをさす。動物学的には同じ歯クジラでも一般的には4メートル以下をイルカ、以上をクジラと呼ぶ。これからするとこの漁法でとるものは総てイルカということになる。
 IWCの規制対象外、すなわち捕獲可能な歯クジラで4メートル以上のものというとマイルカ科コビレゴンドウ、アカボウクジラ科のツチクジラなどである。これが我が国の沿岸小型捕鯨の主な漁獲対象なのだ。(現在調査捕鯨とはいいながら食用として実際に流通しているものでは唯一のヒゲクジラがミンククジラであるがこれに関してはこの項では置く)
 この沿岸捕鯨の基地は北海道網走、宮城県牡鹿町(鮎川)、千葉県和田町、和歌山県太地の4カ所である。
 
 関東ではただ一カ所だけ捕鯨を行っているのが千葉県安房郡和田町である。千葉県での捕鯨は江戸時代のはじめから鋸南町勝山の醍醐組によって代々受け継がれてきた。それが近代捕鯨の始まった明治になって舘山、白浜町乙浜、千倉町などで捕鯨が行われ、昭和23年には和田町に移ってきた。現在千葉県での捕鯨は和田町のみとなっている。

 和田町での捕鯨はツチクジラをとるもの。ツチクジラはクジラ目歯クジラ亜目アカボウクジラ科に属しており、体長10メートルを超える。千葉県は生息域の南限にあたり、ここから太平洋側では北に、また日本海中部からオホーツク海、ベーリング海、北アメリカまで見ることができる。和田町での捕鯨期間は6月から8月いっぱいまで。捕獲は沿岸域で小型の捕鯨船によって行われる。捕獲されると港まで曳航され、港内に半日浮かべて留め置かれる。
 捕獲されると翌日が解体となるわけで、この情報は外房捕鯨株式会社のホームページで知ることができる。これを見たのが7月28日、そして翌29日の2時半から解体作業となる。



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