利根川周辺の漁
利根川川魚の味
川の幸を味わいながら

千葉県香取郡小見川町北総漁協
宮崎米秋さん、
篠塚秀一さん、
根本豊治さん
2004年1月10日
目次市場魚貝類図鑑
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「フナの刺身はぜいたくだな」となんども呟きながら、どんどんビールも刺身もなくなっていく。酒豪の誉れ高い宮崎米秋組合長
「ボラはだめだな」と繰り返す篠塚秀一さん。根っからの小見川っ子。きっと誰よりも利根川、小見川の自然を愛しているのではないか
根本豊治さんの奥さんは海育ち。川の魚が食べられないという奥さん、海の魚はくさくてダメだなという根本さん。2004年9月には還暦である
 さて、おん取り揃えました料理はフナ、TせいUの洗い。ボラの刺身、フナの煮つけ(別のページで説明する)の3品。事務所の座敷でさっそく食べてみる。
「ボラは刺身でいちばんだな」という篠塚さんの言葉にさっそくぱくりと口に放り込む。コリコリとした食感に甘みがじわり、「うまいな」と言おうとしたそのときにその不快な臭いが鼻に抜けてきた。「石けんのような臭いだな」と宮崎さんは言うがまさにそのとおり。これはかなり臭うのだ。「こんなこと初めてだな」、篠塚さんも首をひねる。
 フナはどうだと数切れ食べてみるとこちらにはまったく臭いがない。Tせい(ニゴイ)Uも臭いがなく、シコっと歯触りがよくてうまい。
 フナの味わいは甘みがあって、後から旨味がじわりとくる。ニゴイはどちらかというと淡泊で上品。ときにヒラメの代わりに使われたというのがうなずける気がする。
 どれも上々の味わいに感激するうちにも、ボラが臭いことに話題が移る。
 宮崎さんが「この臭いはこの下流でとれたシラウオに似とる。最近シラウオも臭うんだ」という。もしかしたら水面近くにいる魚が臭うのかもしれないという。こんなことまったく無かったので3人のとまどいが深く深刻なのがわかる。
「手賀沼の魚が一時石けん臭いっていってたっぺ」と話がすすむが、ここではこれには触れないことにする。別項をたてて詳しく推理、行政の今なお続く自然破壊、公共事業の深刻な影響を述べるつもりだ。
 実をいうと川魚、フナやニゴイということでまったく期待しないで食べた。ところがである。これが意外なほどにうまいのである。北総の三人の漁師さんの箸に負けず劣らずに魚尽くしの料理をどんどん食べてしまった。とくにフナの洗いの味はびっくりするとともに、これを今まで知らなかったのかという悔いの念が走る。この素晴らしい利根川の幸、あと何年味わえるのかと思うと暗澹とした気持ちになる。



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