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千葉県木更津産。色が多彩で鮮やか。なかでも青色に特徴がある
北海道産。貝殻が厚く、白、もしくはややベージュがかった灰色で地味
軟体動物門二枚貝綱
マルスダレガイ目マルスダレガイ科
アサリ
Ruditapes philippinarum
(Adams and Reeve,1850)
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中国産。貝殻は薄い。文様が一様に沈んでいて、鮮やかではない。
魚貝の物知り度/★★★★ これは常識
市場での評価・取り扱われ方◆季節を通して市場にある。生鮮品だけではなく冷凍流通も殻付き、剥き身ともにある。冷凍物は高価だ。値段は味や産地ではなく大きさによって決まる。安くてキロ当たり600円前後から1000円上まで。
生息域◆千葉県以南、西太平洋の熱帯域まで。北海道から九州、朝鮮半島、中国大陸沿岸インドシナ半島。最近ではマガキの種苗に混ざってハワイ、ヨーロッパ、北アメリカにもいる。
生態◆
 
湾内の干潟、砂地などに棲息。
 砂に潜り、水管を伸ばして海中の植物プランクトンや浮遊有機質を漉しとって食べている。
 関東以南での産卵は春と秋の2回。東北では1回~2回。北海道では夏に1回。
 産卵した卵は孵化してベリジャー幼生というプランクトン期を経て稚貝(小さな個体)に変態し、砂にもぐり込む。
漁獲方法◆ジョレンという道具で人がかきとる/桁をつけた底引き漁/くま手による手掘りなど
潮干狩り◆潮の満ち引きの大きい春のもの。ただし本来は一年中楽しめる。当然、目的の獲物はアサリが本命。関東では千葉県富津、木更津、船橋。神奈川県金沢八景。
大きさ◆4センチ前後になる
漢字◆「浅利」、「浅蜊」、「蛤仔」。
由来◆「漁る」から「あさり」に転訛したものと思われる。その昔、海辺に行くと手軽に漁り取ることができたため。
呼び名・方言◆調べているところ。
偽物と類似した貝◆
●「大あさり(おおあさり)」というのがあるが、これはウチムラサキというまったく別種の二枚貝。用途からしても別物。
●アサリの偽物としては主に中国産のアケガイ、ベトナム産のイヨスダレなどが考えられる。とくに剥き身になったものや佃煮類は見分けがつかない。
食べ方◆みそ汁/酒(ワイン)蒸し/深川飯/干物(一般的ではないが非常に美味)

 まあ日本中どこでもとれるのがアサリである。ただし太平洋側に多く、日本海側に少ない。国内での産地は北海道、宮城県、千葉県、静岡県、愛知県、大阪湾、九州は有明海、大分などである。
 また市場で見る限りは輸入ものが幅をきかせている。国内での需要は年間10万トン前後で安定している。このほとんどを1988年頃までは国産でまかなっていた。それを1989年から輸入されるようになり1993年を境に中国、韓国からの輸入物が国産を上回るようになった。また近年北朝鮮からの輸入が目立っていた。それが2006年の輸入規制を受けて、市場にはまったく見られなくなってしまっている。
メモ/輸入アサリには様々な問題点があると思うのであるが、これに関してはまだ知るところが少ない。
◆食べてみる◆
 みそ汁がいちばんうまいのではないか。みそ汁は、まずアサリの貝殻をよく洗い、鍋に水とともに入れて、火をつける。沸き上がってきて貝殻が開いたら出来上がり。また沸騰したなかにアサリを入れるとだしはあまり出ないが、身はふっくらと柔らかく仕上がる。湯に入れるか、水からにするかは好みの問題。
 アサリの酒蒸し、ワイン蒸しも、ある意味アサリのスープの水分少な目のものと思った方がいい。アサリとワイン(酒)をふたが出来る鍋などにいれて蒸し上げるように作る。
 味は国産、
中国産と、ほとんど変わらない。むしろ大きさで使い分けるといい。例えば、国産のアサリは年末年始の頃には痩せてほとんど身が入っていないが、輸入ものはこの時期にも味が変わらない。
 他にはスパゲッティのボンゴレなども簡単でおいしい。
 みそ汁やボンゴレ、酒蒸しなど、コツはたっぷり使うこと
加工品としては東京湾内房で作られるアサリの干物がある。これはまさに絶品なのだけど手間がかかるので、今ではほとんど作られていない。
アサリの東京での評価は「東京のさかな」へ
寿司に関しては寿司図鑑へ!
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定番料理のひとつ、酒蒸し。白ワインを使うとフレンチになる。
木更津、船橋を始め、内房で作られるアサリの干物。木更津では「串アサリ」、「アサリの干物」「目差し」と呼ばれている。軽くあぶって食べると最高にうまい
深川飯(深川丼)について
 深川というのは東京都江東区の深川八幡宮あたり。隅田川の東、深川には遊廓や有名な神社お寺があり、「深川八景」といわれ名所であった。その深川を冠した名物が深川飯である。
 本来は江戸時代に漁師や庶民が安価な食べ物として親しまれていた貝の剥き身をつかった、みそ仕立てのぶっかけ飯があって、それを「深川飯」と呼んだのは後のこと。初期にはバカガイの剥き身を使ったとも言う。これがアサリやハマグリも使われるようになり、明治後期には安食堂のメニューとしても定着していたようだ。
 本来は剥き身の、みそ汁かけご飯であったものが、大根やごぼう、油揚げをくわえて「深川飯」となる。
 またアサリを酒と塩で味つけして野菜と合わせたものが現れる。
 炊き込みご飯も「深川飯」と呼ぶことががある。
『たべもの語源辞典』(清水桂一 東京堂出版)/『聞き書き 東京の食事』(農文協)他を参考としました

我が家で作る深川飯「ぶっかけタイプ」
 アサリの剥き身とネギ、ゴボウなどを味醂(みりん)。薄口醤油で軽く煮て、卵でとじて、熱いご飯にかけ回す。




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