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軟体動物門頭足綱二鰓亜綱コウイカ目コウイカ科コウイカ属

コウイカ

魚貝の物知り度

★★★ 知っていたら通人級

学名 Sepia (Platysepia) esculenta Hoyle,1885
外国名 英名/Cuttlefish
同科同属 他のコウイカ科のイカへはここから
漢字・由来 漢字/甲烏賊。
由来・語源/貝殻(甲)を持つイカの意味。
■貝殻(甲)は浮きの役割。
地方名・市場名

■各地でハリイカ。
「はりいか」は貝殻(甲)の後端(普通一番上と思われる部分)に針状の突起があり、それが身体の後部から飛び出しているため。
■関東では大量の墨をはくことからスミイカ(墨烏賊)。
■各地でマイカ(真烏賊)とも呼ぶ地域も多い。

形態 外套背長20センチ前後。外套膜(身体の周り)を「えんぺら」と呼ぶ鰭が縁取っている。長い腕が獲物を捕らえるための触腕で目の下に収納する穴があってまっておくことができる
生息域 海水生。関東以西、東シナ海、南シナ海。
生態 ■水深10メートルから100メートルの砂泥の底近くに棲息。
■春から初夏に浅場に来て藻などに産卵、そして死んでしまう。
■孵化した子イカは浅場で成長。夏には「新いか」として利用されるまでに育つ。そして翌年春には成熟、産卵して死ぬ。寿命は1年。
一般的評価 国産コウイカは関東のスーパーなどにはほとんど出回らない。
関西、西日本瀬戸内海沿岸、九州などでは比較的見られる。
関東では高く、関西でもやや高い。
水産基本情報 水産物としての重要度/★★★ 重要性は平凡
市場での評価/夏から秋にかけては新イカが、秋になると大きくなって冬に入荷の盛期を迎える。新イカは東京をはじめ関東で非常に高値となりキロあたり20000円を超える。


春に生まれたコウイカは、夏、秋に甲の長さ5センチ前後に育つ。この夏のイカが「新いか」である。一匹でせいぜい1かん、もっと小さなものになると2匹で1かんにしかならない。これが東京では珍重される。本来東京湾では秋のものだが、九州などからの入荷で夏のものとなっている。走りの時にはキロ当たり20000円前後する超高級品。一匹で1かんの握りになるサイズが喜ばれる。もともと江戸前では初秋の味わいだったが、今では鹿児島県などのものが初夏から夏に多く入荷してくる

親の方も高値で安定。


画像は千葉県内房富津産

関東、特に東京湾沿岸では墨がついたまま出荷してくる。関西はよく墨を洗い落として出荷。
漁法/刺し網、カゴ漁、底曳網
主な産地/瀬戸内海沿岸、三河湾、九州
雑学 ■コウイカ(ハリイカ)類の鰭を一般に「えんぺら」と呼ぶ。
■天ぷら、すしの代表的な種(材料)。
■すし種の新イカは本種の仔。
■関東では墨だらけで出荷、関西ではきれいに墨を洗い落として出荷してくる。
■属名の「Sepia」は絵の具のセピアをとったことによる。
■甲は歯磨きの原料、薬用に利用されたことがある。
■俳句では春の季語・花烏賊(はないか)。
選び方 関東で揚がったものは墨(すみ)の中にあって、この墨の黒くて粘液質であるもの。また表側が褐色で白くないもの。
味わい・栄養 ■旬は冬から春。
イカのなかでももっともうまいもののひとつ。
冬から初夏にかけての親は肉厚で、甘みが強い。
熱を通してもあまり硬くならない。
■すしネタとして重要。
コノシロ(こはだ)に「新子」という初夏の風物詩があるが、コウイカにも夏に「新いか」というすし通を唸らせるネタがある。
一かんどり、すなわち1匹で1個の寿司ネタがとれるのが最上。軟らかく甘味旨味もほどよく、寿司飯との相性がことのほかよい。
■栄養
良質なタンパク質に富む。
タウリン(コレステロール低下作用、視力向上、肝機能強化作用がある)を多く含む。
イカスミには抗がん作用がある。
またイカスミには防腐効果も。
調理法 刺身、天ぷら、ゆでる、干物(焼く)、トマトソース煮、イカスミスパゲッティ他
食べ方 夏から秋にかけては小振りの新イカが出回る。
刺身にして柔らかいが、旨みは少ない。
できれば軽く湯がいて食べたい。
決して火を通しすぎないこと。
半生でいい。
寒い時期には墨まみれのを(西日本では墨がついていない)水洗いして、当然刺身にする。
この寒い時期のコウイカは身が厚く甘味が強い。



当然天ぷらにしても最上の味わい。
揚げたてはふっとイカの香りが高く、甘い上に柔らかい。
げそなどはゆでて酢の物、酢みそ和えなどにもなる。
季節の野菜と合わせて美味。



贅沢だけど一夜干しは絶品。
イカスミごとスパゲッティに混ぜ込んでもいい味になる。
好んで食べる地域 関東以西でよく食べられている。
加工品・名産品 干物が各地に見られるが絶品。
釣り 東京湾では本種の釣りが盛んである。寒い時期にシャクリ竿、もしくは比較的軽い竿を使い、テンヤという2本の引っ掛け針がついた道具にシャコの餌をつけて釣る。当たり年と釣れない年があり、また腕の差が釣果にでるなどある程度月謝が必要な釣りだ。近年、疑似餌での釣りも行われているという。これは古くは鹿児島での釣法。
参考文献 『新・世界有用イカ類図鑑』(奥谷喬司 全国いか加工業協同組合)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『おさかな栄養学』(鈴木たね子、大野智子共著 成山堂書店)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『イカ』(奈須敬二、奥谷喬司、小倉通男 成山堂)、『新釣り百科』(佐藤垢石、松崎明治 大泉書店) 、『つり丸』(マガジン・マガジン)




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