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甲殻上綱軟綱綱エビ上目オキアミ目  ツノナシオキアミ Euphausia pacifica
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魚貝類の物知り度
★これを知っていたら学者 ★★これを知っていたら達人 ★★★これを知っていたら通 ★★★★これは常識 ★★★★★これ知ってなきゃハジ
●本サイトの無断転載、使用を禁止する
物知り度/★★
■加工食品、釣り餌として流通
●漢字「角無沖醤蝦」
生/かき揚げ/釜揚げ/干す
 
北大平洋の寒海域に棲息。もうどれくらい前の事であろう。NHKに『漁海況情報(正確ではない)』という番組があって「三陸沖にオキアミの群れが形成」という解説者の言葉を聞いた。このオキアミというのはなんだろう? と何時も気に掛かって仕方がなかった。それから三陸には3回ほど旅して市場に立ち寄る度に何度も本種を探したが、いずれも時期が違っていたり、漁がないなど不運にも姿すら見ることができなかった。「いさだ」という三陸での呼び名を知ったのも、1988年の三陸旅行の折り。それがやっと今年(2003年)になって実物を手に入れることができた。これは岩手県田野畑の漁師、きんちゃんの御好意で送っていただいたもの。
 実物を見て驚いた。釣りが趣味でもあるので、オキアミといえば南極海からくる釣り餌のオキアミの大きさを想像していたのが、10ミリから大きくても15ミリ程度の小エビ(エビではないが)ではないか。この小さな甲殻類がサケや海鳥、クジラなど北の海洋生物の主な糧となっているのである。
 本種は2月下旬に岩手沖で漁が始まり、徐々に南下、4月下旬には常磐沖にたっして終わる。漁獲高は年間3~5万トン。漁獲されると、ほとんどが5キロのブロックになり冷凍され養殖の飼料や釣りなどのコマセ(寄せ餌)とされる。これがほとんど食用として利用されないのは、鮮度低下が早く、また変色しやすいためである。ただし今では高級食材とも言える生サクラエビの例がある。必ず市場にも生で入荷する日がくると思えるのであるが?
■我が家に到着した時点では辛うじて生で食べられそうな色合いであった。すぐに食べてみると甘い。大急ぎでご飯を炊き寿司飯を作り、軍艦にして食べる。酢飯にもとても相性がいい、寿司種になる。これはサクラエビと同様に生食で充分使える。ただやや旨味においてサクラエビよりも劣るかも知れない。
 次に塩茹でにしてみる。いわゆる「釜揚げ」である。これは、塩加減が少ないと旨味がなくなるので注意が必要だが、風味が立って甲殻類特有の旨味甘味も満足に値する。
 そして最後にかき揚げにする。これは言うことなし、子供達がおいしいとパクパク食べる。甲殻類の素晴らしい香りが口中に広がり、後から甘味が追いかけてくる。
 本種の生(生鮮品)での利用はもっと積極的に行なってもいいのかも知れない。もちろん漁があった当日だけの限定的なものになるものの、生しらすや生サクラエビが沼津の名物であるように生いさだが三陸名物にもなり得ると思う。腕のよい寿司職人であれば迷わず軍艦に乗せるであろうし、旅館などの朝食、肴にワサビや辛子しょうゆで食べさせるのもいい。今は限定的に干したものが流通しているが『生』こそ目新しいと思う。
生で食べてみた。ただし写真のものは岩手県田野畑村から遠路旅してきたもの。取り立ては鮮やかな薄紅である。鮮度に難があったものの味わいはバツグンによい
(写真左)釜揚げ。作り立てはしょうゆとネギでご飯に合う。
(写真右)かき揚げは間違いなく万人向けの逸品



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