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海藻紅藻植物門紅藻綱ウシケノリ目ウシケノリ科 スサビノリ/海苔
Porphyra yezoensis Ueda
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魚貝類の物知り度
★これを知っていたら学者 ★★これを知っていたら達人 ★★★これを知っていたら通 ★★★★これは常識 ★★★★★これ知ってなきゃハジ
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魚貝の物知り度/★★★
■ほとんどが板海苔で流通。生産量は1億枚を超える
 北海道から九州まで。産地としては宮城県仙台湾以南の各地で養殖されているが、生産量1位は兵庫県播磨灘、淡路島海域、2位は佐賀県の有明海などである。また県別ではなく海域でみると有明海と、四国山陽を含める瀬戸内海が2大産地とも言える。
 海苔原料のほとんどすべてが本種、スサビノリであり、多くの品種がある。なかでも有名なのが千葉県で作られたナラワスサビノリとされているようである。水産物として重要な物。有明海のノリ不作問題は耳に新しいが、水質、水温など様々な人災天災が年々の豊不作を左右する。
 海苔(板のり)といえば浅草海苔(アサクサノリ)であると一般には思われるかもしれないが、現在、海苔の原料となるのは、ほとんど総べて本種である。また古く江戸の昔より東京、千葉などでの海苔原料はアサクサノリであった。これがノリの人工種苗、品種改良などの末に何時の間にかスサビノリにとって変わった。この2種に関しての味の評価はその間に取り沙汰された様子はないように思える。
 すなわち、徳川家康の江戸入りから江戸初期には浅草なども潮入の江戸湾の一部であり、ここで自然採取のノリがとれた。そこにノリひび(木の枝や、笹竹)を海に刺すことでノリの着生場所を増やすなどして増産がすすめられた。この浅草寺の門前の海でとれた浅草海苔も江戸の人口増加や前浜の汚染でとれなくなり、その後、品川、大森などの産地を移す。これが昭和の高度成長期に海洋汚染が進み、東京湾湾奥での海苔生産は消滅し、今では東京湾三番瀬から、富津までの海域が江戸前海苔の産地となっている。
 ノリの話というと板海苔が中心となるのは仕方がないものの、市場やスーパーでもよく見かけるのが生ノリである。この生ノリが出ると晩秋、肌寒の侯となる、言うなれば風物詩の一つでもある。関東の築地などで生ノリというとほとんどが宮城県のものばかり。この生ノリであるがあまり葉の大きなものはうまくないように思える。それで葉の小さな物を探すが、生ノリで出回る物は葉の大きな物ばかり。そんなときに木更津の第二きんのり丸から届いたの生ノリを食べて初めて、生本来のうまさを実感できた。
写真下の左が宮城県産、右が木更津産である。(2003年12月)この写真は同倍率でとったもので写真の大きさが比較の基準となるようにした。これをきんのり丸さんに問い合わせたところ、まだ成長していない小さな物は板海苔にしても上物ができるために生ノリで出荷すると割に合わないのではないかとのこと。
●本項で「海苔」と漢字で表記したときには、板海苔をさし、これがいちばん家庭に置いて一般的な物。「ノリ」としたときには生物としての、また生の加工以前のものをさす。
■海苔の味わいというのは、養殖された海域の状態、ノリの成長具合で大きく左右される。どうも大きな意味での産地(有明海や千葉などという)だけでは推し量れない物があるようだ。例えば、東京日本橋や築地などにある高級店で最上とされる海苔といえども必ずうまいとは思えない。この海苔の味わいに関しては、多くの課題があり、ここで詳しく述べる段階ではないように思える。海苔に一家言ある方はご教授願いたい。
 最後に断っておきたいことは、ここで述べたいノリの味わいというのは「金に飽かせて」というスタンスにはない。日常気軽に食べられるものを対象としたい。
寿司に関しては寿司図鑑へ!

江戸前木更津ノリ(海苔)
 今や海産物で江戸前というと千葉県、神奈川県ということになる。これは、のりに関してもそうであり、大森や羽田ののりなどは歴史上のことになってしまっている。そこで現江戸前のり(東京湾のノリ)を生産している、木更津のきんのり丸さんに2003年、季節ごとにのりのことを学習させていただくきたいと考えている。まずはその江戸前(上総)木更津のりの味について。
 のりの味と言うのはごはんに巻くといちばんわかると老練な寿司職人に教えをうけて、さっそくご飯に巻いて食べてみる。まず、ご飯の熱と湿度のためにのりの香りが立つ。またご飯と食べたときの切れ具合、溶け具合もずば抜けてとは思えないが、上々、心地よい。のりの旨味は最後に舌に残るのであるが、微かな甘味があって、旨味もある。今回、試食したのりは、いちばん売れている普通品である。
 2003年12月には生のノリをいただいた。そのときに木更津での海苔佃煮の作り方を聞き、実際に炊いてみた。
●調味料はみりんとしょうゆのみ、この比率は好みで決めるしかないが、我が家ではみりんとしょうゆを同量とした。
1/生ノリを真水で洗う
2/このときの水をしぼるのではなく、ゆっくりとザルを踊らせるようにして切る。
3/鍋に調味料を入れて湧いてきたらノリを入れる。このときに絶対に水分を入れてはダメ。ノリと調味料だけで炊くのがポイント
4/調味料とノリが熱で融解してトロリとしてきたら出来上がり
 この自家製の海苔の佃煮は市販のものよりも何倍もうまいように思える。これはあまり熱を通しすぎていないのと余分な調味料、たとえば砂糖などを使わなかったためであるようだ。
参考にしたサイト
第二きんのり丸
ノリ養殖の基本的な物はもとより、アサクサノリ復活の現状など膨大な情報が掲載されている
全国海苔貝類漁業協同組合連合会
全国のノリ生産量や消費動向がわかります



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