第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
九十九巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
●魚の生食に関しては寄生虫などの危険をともないます。食べるときには自己責任にて
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鬼笠子/オニカサゴ 2007年4月15日 496
 オニカサゴというのは主に西日本に多い魚である。例えば、東京湾口、相模湾、駿河湾東部などでの「鬼笠子」はイズカサゴのこと。今回のは標準和名のオニカサゴなのでご注意を。全身棘だらけ、まるでどこを持っても傷だらけになってしまいそうだ。そして卸し身にすると刺身用にとれる部分はほんの少しだけ。その割に、値はいい。今回のもキロ当たり1800円だから、たかさん曰く「これは商売にならねー」なんて嘆くことになる。普通はこれを焼き物、蒸しもの、煮つけなどにする。卸ながらたかさん、「すごくきれいな身だね。しかも弾力がある。(少し切り取って味見)おおこれは旨味もあるじゃないの」。やや大きめので片身4,5かんもとれるだろうか。すぐに2かん出来上がり、食べてみる。それがうまいのである。身は弾力に富み、噛みしめるとジワリと旨味を感じる。甘みがあるのは脂があるせいだろうか。「ウチじゃ使えネーけど。こんなんで1かん400、500円もとってみたいね」と愚痴をこぼすのであった。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
銀鮫/ギンザメ 2007年4月19日 497
 古生代デボン紀から地球上に登場したのがギンザメ。現存するものではシーラカンスの次に古い。だから見た目が著しく他の「お魚」と違っている。尾ビレはほとんどなく、だいたい尾が帯のように後ろになびいている。そして頭部と胴は繋がってまるでだるまさんのようである。面白いのはまるで子供が眉毛と目玉を書いたような顔をしていること。この国の人たちは食用とするとき魚の容姿を非常に気にするので、この見た目の可笑しさから「不可食」とみなしたようだ。でもオーストラリアなどでは食用とされていると動物学の専門家は言う。それでこの骨があるのかないのかフニャフニャした魚を卸して、『市場寿司 たか』へ持ち込んだ。「なんだこれ」と言いながら、とりあえず握り寿司となったものの。「クセはないけど、味はもっともっとない。うまくない」と、たかさんが言うが如く、これに足し算する部分も見つけられず、といったものであった。
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アルゼンチンアカエビ 2007年4月20日 498
 市場に置いては今でも「ぼたんえび」として売られている。でも本来「ぼたんえび」はトヤマエビの市場名、もしくは標準和名のボタンエビに対する言葉。まったく種を違えるクルマエビの仲間、クダヒゲエビ科の本種にタラバエビ科のエビの名をつけて呼ぶのはおかしい。「でも味はいいと思うよ」と言うのは、タカさんである。「それに冷凍の輸入甘えびよりは高いしね。形もいいだろ」。と言われると「ぼたんえび」でも「アルゼンチンアカエビ」でもどうでも良くなるから不思議だ。たしかに実際に食べてみると国産のナミクダヒゲエビよりも甘味がある、味は上だ。しかも食感もあるので、ボク好みともいえる。「アルゼンチンだろうが、どこだっていいわけよ。こっちはお客の懐具合との兼ね合いもあるしね」。今じゃ天然や国産にこだわっていると安くてうまい江戸前寿司は提供できないと言うことだ。
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赤かさご/シロカサゴ 2007年4月22日 499
 シロカサゴなのに「赤かさご」とはまあ不思議な逆転現象である。体色は深紅、どうして「しろ」がつくのかは謎である。これを考える以前にシロカサゴとそっくり同じ魚があって、それが鰓にある棘の形だけで種が分かれる。その上、そいつがアカカサゴというのだから紛らわしい。沼津に水揚げされる底引きの魚としては本種の方が多いように思える。「透明な、きれいな身だけど、どうも水分が多いんじゃないかな。普通のカサゴよりも身が柔らかい」と、沼津からたっぷり持ち帰ったシロカサゴを卸ながら、たかさんが呟いている。そして適当に握り、市場仲間と食べ比べてみる。「やっぱカサゴの方がうまいだろ」という意見が大半。「でもネタとしては悪くない。ちゃんと甘味があるし、食感もいいしな」と、たかさん。ボクもカサゴには遠く及ばないものの。これはこれでいい、そんな気がするのだ。「でももう、この魚、持ってこなくていいかな」。市場仲間がするどい棘を刺してしまって、まだ痛みがとれないと言う。シロカサゴは取り扱い注意なのである。
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紅手繰り/ベニテグリ 2007年4月25日 500
 ベニテグリとは不思議な名なのだが、深い海の底にいるためにその昔は食用とされることは希だったのだろう。それが手繰り、すなわち底引き漁が盛んになって初にお目見えした。それで「紅色の手繰り網でとれる魚」という説明的な和名になったのではないか? でもこの標準和名は音がいい。沼津魚市場では毎日のように底引き網であがるもの。そして知る人ぞ知るうまい魚なのだ。何と言っても天ぷらにして皮目が香ばしく、そして上品な白身でうまいのである。また皮をつけたまま軽く湯引きして刺身として食べるのも絶品。それで『市場寿司 たか』に持ち込んだら職人のたかさん、いきなり皮を引いてしまう。「これは上品すぎるね。味がない? ……かな? ……と思ったけど。あるね。でももの足りないかな。すし飯にも負けているね」。「皮を引いたせいだよ」と、こちらも立て続けに口に放り込む。確かにややもの足りない。でも「充分うまいじゃないか」。次回は皮つきでやりましょ! これが寿司図鑑のモチベーションですから。
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