軟体動物門頭足綱ツツイカ目開眼亜目アカイカ科
スルメイカ
Todarodes pacificus Steenstrup.1880
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魚貝の物知り度/★★★★ これは常識
食べ方◆煮物/刺身/焼き物/揚げ物他
◎非常に美味
市場での評価・取り扱われ方◆
■鮮魚、冷凍ともに毎日のように入荷している。量的にも多い。価格は安値安定。
■氷を下にして並んだものを「下氷」、釣り上げたものを冷海水のなかでしめて、そのまま水氷で近場から直送したものを活けスルメと呼ぶ。「活けスルメ」の方がやや高値。
■季節によって大きさによって入荷方法が違う。小型のものを発泡に無造作に投げ込んで出荷、これを「バライカ」と呼ぶ。値段は大型以上に安い。
スルメイカの基本◆
■加工品、鮮魚ともにもっとも重要な水産物。
漁獲量が多く、我が国での水産物水揚げの5パーセント前後を占める。
国内で漁獲するイカの半分以上が本種である。それでイカの中のイカであるとして「真いか(まいか)」とよばれる。日本海全域が主産地。それでスルメを釣る船の漁り火は、人工衛星からの映像で日本海を大都市が出現したかのように浮かび上がらせると言う。
■加工品の種類が多い。イカの塩辛、缶詰、するめ、丸干し、一夜干し、いかめし(イカ飯)、酢いか、さきイカ。
■乾物の鯣は結納に使われる。
■漁獲量が多いに関わらず、近縁種を輸入している。

生息域◆日本周辺からオホーツク海、東シナ海まで棲息。
生態◆
孵化して産卵するまでが1年、産卵すると死んでしまうので、まさに1年イカである。
スルメイカはメスが大きくオスが小さい。
市場で見ていると小振りの「ばらイカ」というものが真冬の日本海を皮切りに入荷してくる。それが初夏まで続くのであるが、これは日本近海でのスルメイカが産卵期によって3系群あることによる。
スルメイカ3系群
春から夏生まれ群●日本海本州沿岸から九州沿岸、伊豆半島周辺で4月から8月に発生する。資源量は小さい。
秋生まれ群●東シナ海北部から日本海南西部で9月から11月に発生する。日本海の沖合を回遊し、大型になり、日本海での漁獲の7割を締めるもの。
冬生まれ群●東シナ海、九州北部で12月から3月に発生。黒潮にのって太平洋側を多くが回遊、もっとも北まで到達する。太平洋側での水揚げの多くはこの系群。
大きさ◆外套長(胴の長さ)25センチ前後になる
漁獲方法◆釣り/巻き網/定置網
漢字◆「鯣烏賊」、「須留女」、「寿留女」。
由来◆
「するめ」は「墨群(すみむれ)」で墨を吐くイカタコは「すみむれ」と呼ばれる。これが転訛したもの。
鯣(「するめ」というイカをよく干した乾物)に向いている、もしくはよく加工される烏賊(イカ)の意味合い。
●「鯣」はイカタコの内臓をとり、開いて干したもの。イカではスルメイカ、ケンサキイカ、アオリイカ、紋甲烏賊(もんごういか カミナリイカ)などが原料。ケンサキイカのものを「一番するめ」、スルメイカのものを「二番するめ」と呼ぶ。
「寿留女」は当て字。スルメイカの干したものを結納などのときに使う。長寿を願い、言祝ぐで「寿」、「留女」は嫁ぎ先で長くとどまる。
呼び名・方言◆
■各地で「マイカ(真烏賊)」。
■各地で「マツイカ」。
■島根県では「シマメイカ」、「サルイカ」。静岡県沼津市では「ジルマイカ」。徳島県阿南市では「カンセキ」。
■春から初夏にかけてとれるまだ小振りのものを市場では「バライカ」。
■初夏に関東周辺でとれる小さな若いイカは「ムギイカ(麦いか)」という。これは相模湾などで若いスルメイカがとれる時期と麦の収穫期が同じであることからきている。
■三重県尾鷲市では「チンチロ」。
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釣り◆関東ではイカ角(擬餌バリ)を使って釣る。初夏の麦イカ釣りから、やや深場のスルメイカ釣りまで人気が高い。
◆食べてみる◆
 鮮魚で入荷するイカの中では一番安い。それは生で食べて、やや身が硬く、甘味に欠けるためである。しかし新鮮なものは、その歯触りが楽しめる。
 函館の朝市、名物食堂では「いかそうめん」でご飯をかき込むが、これがヤリイカではつまらない。この「いかそうめん」に限ってはスルメイカでなければと思うのだ。厚みを薄く二枚に切って細いそうめんにして、だし醤油(加減醤油)、もしくは生醤油ですすり込む。
 スルメイカの場合、生よりも焼く煮るなどしたときに味がぐんと増す。
 ワタを醤油、酒などで溶き、そこで身などを煮る。ワタ煮。焼いてワタ醤油を塗るなど旨味の濃いワタを利用するのもいい。
 野菜と煮ると、これまた非常にうまい。多摩地区、奥多摩地区などでは祭のときに作られる

 同じくもち米を詰めて、甘辛く煮ると「いか飯」になる。
 洋風にマリネーとかフライ(イカリング)なども美味。
 スルメイカならではの加工品にイカの塩辛がある。これはワタ(肝膵臓)と身を塩漬けして水分を取り去り、合わせて寝かしたもの。意外に簡単に作れる。
 乾物の鯣は米のとぎ汁でもどして煮ものなどに使う、またコンニャクを煮るときなどにだしとして使う。東北などでは単に鯣をそのまま煮もの、おでんなどに使っている。これでは苦みが出る。やはりおでんのだしとして使う場合でも米のとぎ汁でもどして使った方がいい。
アニサキスの宿主。刺身などでは注意が必要。
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参考文献/『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『水産加工品総覧』(三輪勝利監修 光琳)、『たべもの起源事典』(岡田哲 東京堂出版)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)『イカ-その生物から消費まで-』(奈須敬二他 成山堂)他
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