形態◆体は細長く、背が灰青色で死ぬと黒くなる。クチバシ状の口、胸鰭以外は後方にある。鮮度のいいものはクチバシの先が黄色い。ただし例外がある。鮮度を正確に知るには腹側の銀色の輝きの強いもの。腹のしっかりしているものを選ぶ。
ダツ目(Beloniformes)
メダカ亜目メダカ科、トビウオ(ダツ)亜目ダツ科、サヨリ科、トビウオ科、サンマ科。
2亜目5科約38属約191種。
鰭に棘はなく、総て軟条からなっている。
上顎(あご)は動かすことができない。
サンマ科(Scomberesocidae) について◆
熱帯・温帯域の表層に4種。国内にはサンマ1種のみ。
硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スメグマモルフォ系ボラ亜系ダツ目トビウオ(ダツ)亜目サンマ科サンマ属
サンマ(漢字/秋刀魚 英名/Pacific saury
学名/Cololabis saira (Brevoort) 
ダツ目他の魚へはここから
魚貝の物知り度/★★★★★ 知らなきゃ恥
食べ方◆塩焼き/刺身/炊き込みご飯/煮物/蒲焼き/天ぷら(脂のないものを) 別格・サンマの開き
旬は秋 ◎非常に美味
大きさ◆35センチ前後になる。
生息域◆日本各地。アメリカ西岸にいたる北太平洋。
生態◆
日本には日本海系群と北大西洋系群のふたつの系統の群が存在する。一般に流通するサンマのほとんど総てが太平洋側を春から夏に北上するもの。
産卵期は秋から春。日本海では夏。
稚魚は暖流とともに北上する。
サンマに胃はなく、腸が短い。プランクトン食で主に小型の甲殻類、オキアミなどを餌にする。
寿命は2年ほど。
市場での評価・取り扱われ方◆冷凍物も含めて年間を通じて流通する。出始めは高値となる。夏から秋口まではやや高値。秋には安くなる。加工品も多数、大量に出回っている。
漁獲方法◆棒受け網/刺し網/巻き網
◆食べてみる◆
 DHA(ドコサヘキサエン酸/血栓のできるのを防ぎ、脳などに必要な栄養素でアルツハイマー予防などに効果がある)、ビタミンD(骨を丈夫にし、成長期の子供に欠かせない)が豊富。
 サンマは何と言っても塩焼きが最高だろう。昨今は流通がよくなったせいで刺身が持てはやされるが、塩焼きには一歩も二歩もゆずる。家庭で塩焼きを作るなら肛門から斜めに切り、内蔵をそのままに焼く。この方が火の通りがよく早く焼き上がる。
 刺身は比較的新しい食べ方だ。北海道などからの輸送手段が発達してからのもの。夏のまだ脂の少ない時期のものもうまいし、秋に脂ののったものもうまい。好みの問題で、脂脂と騒がない方がいい。



 またサンマは煮てもいい。都内の家庭でもサンマの生姜煮を作りおく家庭は多い。
 また最近鮮度のいいサンマが手にはいるので、適当に切り、塩をまぶして、出てきた水分を拭き取り、このままご飯と炊き込む。これがサンマ飯、サンマの炊き込みご飯だが、非常にうまい。



 他には蒲焼き、天ぷらなどにもなる。
 春には日本海から脂のないサンマが入荷してくることがある。これは刺身、塩焼き、唐揚げなどになるが味はイマイチ。
◆名物料理・加工品◆
■「白干し」、「丸干し」/産卵が終わって脂が抜けたサンマを千葉県、伊豆半島、熊野灘などでは干物に加工する。千葉県ではこれを「白干し」という。これは風味が高く、酒の肴に持ってこい。
■サンマ開き干し/国内では千葉県、茨城県、福島などで盛んに作られる。兵庫県明石市のものも有名で、サンマ開き干しの開発を手がけた地ともいわれている。
■サンマの佃煮、缶詰/など多種多様。
■「針子(はりこ)」/針子は10センチ前後の稚魚。これを干物や煮干しに加工する。意外に値の張るもの。



■サンマの煮干し、節/あまり多くないが煮干しはラーメンスープなどに使われている。
■サンマのなれずし/紀伊半島で少ないながら作られている。
■サンマの姿寿司、棒ずし/紀伊半島、四国などで作られる。
■サンマのぬか漬け/サンマを糠に漬けたもの。ニシン、マイワシなどでも作られる。塩分が高いものだがなかなか味がいい。
サンマの基本◆
歳時記では「秋」。
江戸では旧暦10月20日、えびす講に供えて「えびすさんま」、「えびすこうさんま」といった。
諺(ことわざ)に「秋刀魚が出ると按摩(あんま)が引っ込む」。サンマを食べると栄養豊富で健康になり、按摩が必要なくなるの意味。同義の諺に「秋刀魚は按摩泣かせ」。
小説家佐藤春夫に「秋刀魚の歌」がある。
■道東沖で7月中旬、限定的に小型船だけでのサンマ漁は始まる。この時期のサンマは値段も超がつくほど高く、200グラムほどのものが1匹で1200円なんてこともある、しかもこれが卸しの段階なのであるから、一般の魚屋やスーパーに出回るわけがない。
■8月半ばになり全面的に漁が解禁されると値段がストンと下落。1匹が100円くらいから80円くらいまで下がる。(註●大型船解禁時の値段は年によって大きく違ってくる。1匹が40円前後まで下がるかと思えば、2002年のように200〜300円が秋口まで高値安定するなどという事もある)。
■サンマがいちばんうまいのはやはり値段も下落した初秋、北海道東沖から三陸、女川港などで水揚げされる頃が脂ののりもピークになる。
■11月に千葉県銚子港、外房、伊豆、紀伊半島まで下りてくると脂が抜けてカチンカチンの痩せサンマとなる。この痩せサンマの干物が黒潮の通り道のこれらの町で作られている。
■紀伊半島などでは姿寿司、もしくは慣れ鮓とされる。
漢字◆「秋刀魚」。「三馬」。「馬」がつくことから築地などで符丁的に「午(うま)」の字を使う。
由来◆「狭真魚(さまな)」の音から。
呼び名・方言◆
■日本海佐渡地方では「バンジョウ」。
「カド」、「サイラ」、「サイリ」、「サヨリ」、「サイロ」、「サザイオ」、「ザザアジ」、「サーベラ」、「スズ」、「スス」。
●注/サヨリと混同されて呼ばれている地域がある。
●同定/『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)  参考/『魚の分類の図鑑』上野輝彌・坂本一男 東海大学出版局)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『日本語源大辞典』(小学館)、『歳時記語源辞典』(橋本文三郎 文芸社)、『ことわざ辞典』(時田昌端著 岩波書店)、『おさかな栄養学』(鈴木たね子、大野智子共著 成山堂書店)
■市場魚貝類図鑑データベースから。
がついたものは引用部、もしくは参考文献あり
●本サイトの無断転載、使用を禁止する