硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スメグマモルフォ系ボラ亜系
ダツ目トビウオ(ダツ)亜目サンマ科サンマ属

★=知らなきゃ恥
| 学名 | Cololabis saira (Brevoort) |
| 外国名 | 英名/Pacific saury |
| 同科同属 | サンマは国内で一種。 |
| 漢字・由来 | 漢字/「秋刀魚」。「三馬」。「馬」がつくことから築地などで符丁的に「午(うま)」の字を使う。 由来/「狭真魚(さまな)」の音から。 |
| 地方名・市場名 |
■日本海佐渡地方では「バンジョウ」。 |
| 形態 | 35センチ前後になる。頭が小さく細長い。口はややくちばし状になり、尻鰭、背鰭が非常に後方にある。 |
| 生息域 | 海水魚。日本各地。アメリカ西岸にいたる北太平洋。 |
| 生態 | ■日本には日本海系群と北大西洋系群のふたつの系統の群が存在する。一般に流通するサンマのほとんど総てが太平洋側を春から夏に北上するもの。 ■ 産卵期は秋から春。日本海では夏。また少ないながら年間を通してどこかで常に産卵しているのがサンマの特徴でもある。 ■ 稚魚は暖流とともに北上する。 ■ サンマに胃はなく、腸が短い。プランクトン食で主に小型の甲殻類、オキアミなどを餌にする。 ■ 寿命は2年ほど。 |
| 一般的評価 | もの知り度 ★=知らなきゃ恥 一年を通してサンマをスーパーなどで見かけない日はない。 鮮魚、解凍もの、加工品、とサンマの生活に占める役割は大きい。 年中出回るサンマであっても、7月の新ものは最近では初夏の風物詩ともいえそう。 新ものの1尾あたりの値段がテレビなどでも盛んに報道される。 この新ものは明らかに刺身で食べるもの。 1900年代の後半までは、あまりなじみのなかった、サンマの刺身が2009年時点ではスーパーなどにもたくさん並んでいる。 「サンマ=塩焼き」の概念が変化してきているともいえそう。 8月、9月と脂がのってきて値段が下がってくると、サンマは特売特売で小売店での目玉商品となる。 サンマの開き干しが小売店ではなくてはならない加工品であるのとともに、サンマを使ったいろんな加工品が増えてきている。 家庭であまり作られなくなった煮つけ、酢締めなど。 サンマは100パーセント天然もの、しかも総て国産魚という点からしても、どんどん食べてほしいものだ。 |
| 水産基本情報 | 水産物としての重要度/★★★★★=非常に重要な水産物 市場での評価/初夏から秋にかけての太平洋側のもの。冬から春にかけての日本海側のものがある。量的には圧倒的に太平洋側に多く、一般に見かけるほとんどすべてが太平洋側のもの。初夏の解禁日にはキロ3500円〜6000円くらいになる。1尾600円〜1200円前後。初期には重さではなく1尾いくらで取引される。盛夏大型棒受け網が解禁されると値段が大きく下がる。秋も深まると1尾100円を大きく割る。 ■漁法/棒受け網、刺し網、定置網 ■産地(漁獲量の多い順)/北海道、宮城県、福島県、岩手県 ■サンマ漁について ●サンマ漁は江戸時代に紀州に始まる。 ●サンマの漁獲量は戦後、夜間に灯火(明かり)で集めたサンマを棒受け網でとるようになってから。 ●今では一般的なサンマも昭和30年代には食べ方などが普及していなかった。 |
| 雑学 | ■サンマは養殖されていない。百パーセント天然もの。サンマにて「天然もの」の文字があるのは不自然。 ■歳時記では「秋」。サンマは戦前戦後くらいまでは秋にとれるものであった。特に10月下旬になって千葉県銚子で豊漁が続くことが多く。市場が活気づく割に値段の安い魚なので、あまり儲からない、これを「秋刀魚騒がせ」という。この慌ただしさを祭に例えて魚河岸ではサンマを「鰶」、すなわち「魚へんに祭」と書いたことがある。 ■落語「目黒のさんま」/三代将軍徳川家光(1605〜1651)が鷹狩りの折に目黒の茶店に立ち寄り、食事を所望した。この茶店の彦四郎さんは気さくに夕食用のサンマを焼いて差し出した。これにいたく感激した家光が茶店から見える限りの土地を進ぜようと言ったが、辞退した。「さんまは目黒に限る」と言ったというのは後の作り事。 ■江戸では旧暦10月20日、えびす講に供えて「えびすさんま」、「恵比寿講秋刀魚(えびすこうさんま)」といった。 ■諺(ことわざ)に「秋刀魚が出ると按摩(あんま)が引っ込む」。サンマを食べると栄養豊富で健康になり、按摩が必要なくなるの意味。同義の諺に「秋刀魚は按摩泣かせ」。 ■小説家佐藤春夫に「秋刀魚の歌」がある。 ■道東沖で7月中旬、限定的に小型船だけでのサンマ漁は始まる。この時期のサンマは値段も超がつくほど高く、200グラムほどのものが1匹で1200円なんてこともある、しかもこれが卸しの段階なのであるから、一般の魚屋やスーパーに出回るわけがない。 ■8月半ばになり全面的に漁が解禁されると値段がストンと下落。秋深まると1匹が100円くらいから80円くらいまで下がる。(註●大型船解禁時の値段は年によって大きく違ってくる。1匹が40円前後まで下がるかと思えば、2002年のように200〜300円が秋口まで高値安定するなどという事もある)。 ■サンマがいちばんうまいのはやはり値段も下落した初秋、北海道東沖から三陸、女川港などで水揚げされる頃が脂ののりもピークになる。 ■11月に千葉県銚子港、外房、伊豆、紀伊半島まで下りてくると脂が抜けてカチンカチンの痩せサンマとなる。この痩せサンマの干物が黒潮の通り道のこれらの町で作られている。 ■紀伊半島などでは姿寿司、もしくは慣れ鮓とされる。 |
| 選び方 | 身体がふっくらしているもの。張りのあるもの。鰓が鮮紅色であるもの。 |
| 味わい・栄養 | 味の評価/★★★★★=究極の美味 旬/夏から秋 栄養/DHA(ドコサヘキサエン酸)、IPA(イコサペンタエン酸。EPAとも)が豊富。血栓のできるのを防ぎ、脳などに必要な栄養素でアルツハイマー予防などに効果がある。 ビタミンD(骨を丈夫にし、成長期の子供に欠かせない)も多い。 味わい/ サンマは直々で脂ののりや食べ方が違ってきている。 太平洋での漁が始まる7月のものは脂は少ないがあっさりしてうまい。 8月、9月ともっとも脂ののった時期のとろけるようなのも美味だろう。 この新ものは刺身にして美味。 塩焼きのうまさも魚類中頂点にあるのではないか、旨味があり脂が甘く、たまらないうまさだ。 他には煮つけや、蒲焼きなどいろいろ使える。 また最近ではすしネタとしても重要。 |
| 調理法 | 料理法/塩焼き、刺身、炊き込みご飯、煮物、蒲焼き、天ぷら(脂のないものを) 、別格・サンマの開き |
| 食べ方 | 塩焼きが圧倒的にうまい。最近のガス台に付属している魚焼きグリルは優れていて、家庭でもうまいサンマの塩焼きが楽しめる。家庭で塩焼きを作るときには、鱗はほとんどついていないので、肛門から斜め2つに切り、塩をして30分以上おき、あとはこんがりと焼く。生焼けになるのを注意すること。![]() ![]() (上)肛門から斜め上に包丁を入れる。こうすると早く火が通る 刺身は脂の甘さと、青魚の旨味がある。 ![]() 思ったよりも万人向きなのがサンマの炊き込みご飯。サンマの内蔵と細かい鱗をとり、醤油につけ込んでから、ご飯と炊き合わせる。味付けは少量の塩と酒のみ。脂が強いものを使うと濃厚な味になる。 煮つけは脂の有る無しを問わずうまい。ご飯との相性が抜群にいい。 蒲焼きは三枚に下ろして、小麦粉をまぶして油で焼く。一度取り出して、余分な油を捨てて、ここにみりん、酒、醤油、砂糖を加えて煮立たせる。液に粘りが出てきたら、サンマを戻し搦める。このタレを焼いたサンマにかけてもいい。この方が見た目はきれい。 他には脂の薄いものは天ぷら、唐揚げに、酢締めにしてもうまい。 |
| 好んで食べる地域 | 日本全国。 サンマのなれずし/紀伊半島で少ないながら作られている。 サンマの飯ずし/サンマと野菜(大根、ニンジン)などを麹で漬け込む。北海道、青森県などで作られている。 サンマの姿寿司、棒ずし/紀伊半島、四国などで作られる。 |
| 加工品・名産品 | 「白干し」、「丸干し」/産卵が終わって脂が抜けたサンマを千葉県、伊豆半島、熊野灘などでは干物に加工する。千葉県ではこれを「白干し」という。これは風味が高く、酒の肴に持ってこい。 サンマ開き干し/国内では千葉県、三重県、兵庫県などで盛んに作られる。千葉県での生産量が圧倒的に多い。兵庫県明石市のものも有名で、サンマ開き干しの開発を手がけた地ともいわれている。 サンマの佃煮、缶詰/など多種多様。 「針子(はりこ)」/針子は10センチ前後の稚魚。これを干物や煮干しに加工する。意外に値の張るもの。 ![]() サンマの煮干し、節/あまり多くないが煮干しはラーメンスープなどに使われている。 サンマのぬか漬け/サンマを糠に漬けたもの。ニシン、マイワシなどでも作られる。塩分が高いものだがなかなか味がいい。 サンマの加工品には優れたものが多い。もっともっと利用するといい。 |
| 釣り | |
| 参考文献 | 『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会) 、『魚の分類の図鑑』上野輝彌・坂本一男 東海大学出版局)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『全国水産加工品総覧』(福田裕、山澤正勝、岡崎恵美子監修 光琳)、『干もの塩もの』(石黒正吉 毎日新聞社)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『日本語源大辞典』(小学館)、『歳時記語源辞典』(橋本文三郎 文芸社)、『ことわざ辞典』(時田昌端著 岩波書店)、『おさかな栄養学』(鈴木たね子、大野智子共著 成山堂書店) |