第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
七十巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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花魁/フトミゾエビ 2006年3月15日 346
「しかしきれいですね。このエビ」、甲殻類学者の飯塚栄一さんに向かって驚きの声を上げたのは1昨年のこと。フトミゾエビは市場でもよく見かけるものだが、ほとんどが海外からの冷凍輸入。当然、白っぽくて目立たないエビとなりはてている。「エビとしてはうまいんだよね。茹でると赤くなるし」と築地で教えてもらって愛知県一色や地方の市場で見つけると必ず買ってくるようになって久しい。なぜかというとクルマエビよりも安くて、比肩するほどにうまいからだ。そんなときに南さつま市笠沙の漁師わかしおさんからフトミゾエビが送られてきた。当地ではもっとも漁獲量の多いエビだという。それを、たかさんにゆでてもらって握りに。「やっぱり甘味もあるし、身の硬さ加減もベストに近い。いいエビだね」と絶賛。「太溝海老」なんて無粋な名はやめて一色での呼び名「花魁」と呼びたい、そんな味わいでありんす。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ホウセキキントキ 2006年3月16日 347
 キントキダイ科は総て美味である。もし市場で見つけたら間髪入れずに買うべきだ。そのキントキダイにあって比較的まとまって入荷してくるのがホウセキキントキである。入荷が多いだけでなくキントキダイ科のなかではやや大型になるのもいい。しかも一見、ウロコが硬く取り扱いが面倒に思えるがあにはからんや、そのままウロコのついたまま三枚に卸して皮を引いてしまえば、あっという間に上身となる。皮も素揚げにしてうまい。「キントキは好きなんだよね」、こともなげに2かんが出来上がる。そのきれいな血合いの色合い。その美しさのままに味わいも端正である。白身でクセがない。そしてそこにやや控えめな甘味が来て、そして旨味、また甘味がよみがえってすし飯と混ざり、喉にすなおに消えていく。「2〜3かん、一気に食べたいんだね」。「回転寿司であるよね3かん乗った皿、あれやってみようか」。たかさん知らんぷりしてネタケースに残りを仕舞うのだった。
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オキアサリ 2006年3月20日 348
 鹿児島県のわかしおさんからメールが来ていた。わかしおさんは東京都生まれ、それが鹿児島に流れて定置網の船頭をしている。その南さつま市に吹上浜という長い弧の字型の海岸があり、ここに当地で「あさり」と呼ばれている見慣れない二枚貝があるという。これを送ってもらったら珍しいオキアサリであった。希少であるとか収集の対象とかではないが、いざ探すとなるとなかなか手に入らないものなのだ。この美しい二枚貝、みそ汁や酒蒸しにして美味。それならとむき身にして酒塩でさらりと熱を通してネタにしてみた。これがどうしていけるのだ。「貝自体にうまみがあるよね。そうだな、でもアサリより甘味があるし」とたかさん。アサリをほんの少し大きくしたほどの貝であるからネタとしては定番にはならないだろうが、握りにして味は秀逸である。これだけうまいなら和名に「あさり」は無用だろう。
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●鹿児島のわかしおさんから。わかしおさんのいる南さつま市定置網の近況「豊かな海」
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鮟鱇/キアンコウ 2006年3月21日 349
 鮟鱇と言えば鍋ということになるが、近年活けのいいのがあるときなど刺身にも仕立てられる。この刺身だが、実はそんなに好きではない。肝を溶かし込んだしょうゆで食べると美味ではあるが、身自体は味がない。それがほんの少し熱湯にくぐらせて霜降りにするとぐっと味が出てくるのだ。これをネタに握りというのは、きっとそんなに珍しいものではないかも知れない。寿司職人としては正統であると思っている、たかさんですら「霜降りはネタで使えるよ」と知っている。ちょっと、たかさんの反動を期待したものの空振り。キアンコウの霜降りの味わいはやや淡く、そして微かに甘い。霜降りした分、歯触りがまして寿司ネタとして適度な硬さになった。また味わいの淡さは肝が十二分にカバーしてくれて、これは美味極まりなし。ところが、「肝はいらないな。味もこれくらいのところでちょうどいいよ。肝はいらないかな」とたかさんが異な事を言う。どうもこの好み我とたかさんの体形の違いにも出てきている。
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スカーレットシュリンプ/オオミツトゲチヒロエビ 2006年3月24日 350
 本種は南アメリカのスリナム、オーストラリアで食用になっているエビ。また少ないながらも我が国でもとれる。輸入はされているものの珍しいエビのひとつである。このスカーレットシュリンプというのは輸入業者がつけた商品名なのだろうけど、いかにもまずそうな名だ。人によっては深紅のドレスを身にまとったスカーレット・オハラを思い浮かべてしまって、そこから「うまそうな」という発想には行くわけがない。むしろ「千尋えび(チヒロエビ)」という科名をそのまま使って売る方がましだな。さてチヒロエビ科のエビには濃厚な脂分がある。これがときにえぐみとなる。また人によっては腹にもたれるそうである。そのために今回は茹でてみた。その緋色の美しいこと。20センチ近くの大型のエビであるからネタにしても立派。そして味わいの特徴は強い甘味である。たかさんもこの甘味を絶賛。そして旨味、身の程良い硬さと優等生。たかさんも「これ売ってたら、使いたいネタだね」という。これを5かん、6かん握ってもらってしっかり堪能。うまい!
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