郷土料理

広島の小いわし

広島の夏の風物詩


竹原市『藤原鮮魚店』、藤原みどりさんにつくっていただいた、「小いわしの刺身(カタクチイワシの刺身)」。オススメの食べ方はポン酢と一味唐辛子。これが非常に美味であった。まだシコシコと硬く感じるほどで、噛むと強いうま味が染み出してくる。広島県での一般的な食べ方は、しょうがしょうゆである。とにもかくにも初夏から夏に広島に来たら食べない手はない、それほどに美味である。
丸のままを買い、自分で作る人もいるが、鮮魚店では注文を受けると目の前で作ってくれる。
「小いわし」は広島県の海沿いでは名物と言うよりも日常的な味なのかも。

小いわしの水揚げ

広島県瀬戸内海周辺はもっともカタクチイワシを珍重する地域だ。広島中央市場での水揚げ。市場の目の前、広島湾宮島近くで中層曳きでとり、十数分の距離にある市場まで高速船で運ぶ。これをバケツリレーで発泡の箱に詰めて競り場に運ぶ。いかに迅速に競りにかけるかが重要なのだ。広島での「こいわし」漁は6月10日解禁、8月31日まで。[広島水産]


広島水産の競りは超高速

初夏になって「こいわし」が水揚げされるようになると、毎日のように競りが行われている。初水揚げは広島中央市場で一箱(7㎏〜8㎏)で1万円以上もする。最盛期でも他の地区に類を見ない高額なのは、広島民が「こいわし」を珍重するのと、この出荷体制のためだ。カタクチイワシ漁があった日、スーパーや魚店には「小いわしあります」の旗が立つ。[広島水産]


たった一日だけの味

水揚げ後数時間で魚屋さんやスーパーの厨房で鱗と頭と内臓を除かれる。よく水洗いして三枚に下ろして、また真水で洗いながら汚れや小骨を取る。水分をよく切ったら刺身が出来上がる。水揚げ後、数時間のカタクチイワシは薄いベージュ色をしていて、身に透明感がある。


こいわしおろし(小いわし下ろし)

最近では荷造り用のPPバンドも使われているが、手造り竹製のものがいいようだ。写真はいただきもので、広島県阿多田島で売られていたものだそう。ていねいに薄く削っているので使いやすい。
協力/東邦彦さん(広島水産)



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