クリガニ科ケガニの基本 1

市場で見つけたケガニでいろいろ考えてみた

箱に並んだケガニ

八王子総合卸売協同組合、舵丸水産にやや大振りのケガニが来ていた。荷(発泡の箱)のまわりに産地が書いていない。
パーチ(魚貝類の上に乗せる文字が書いたフィルムで、乾燥を防ぐ役割もある)もない。
産地をパーチをつけたり、箱に書くなりするか、伝票だけで済ませるかは荷主(魚貝類を発送する業者)が決めることだ。
せっかくなのでケガニめもを作ってみる。

クリガニ科の甲羅は縦横がほぼ同じ

ケガニ

以下は分類の階級。
【界〜綱】動物界節足動物門(昆虫も含まれる)甲殻亜門軟甲綱
以上は、分類学者によって変わる可能性があるので参考までに。
【目】十脚目(クルマエビ・テナガエビ・アナジャコ・ヤドカリ・タラバガニの仲間が含まれる。甲殻類学者の駒井智幸さん曰く、クルマエビとテナガエビの仲間の間には暗くて深い川があるが、クルマエビ以外にはそんなに深い川はないらしい)
【亜目】エビ亜目(他にはクルマエビ亜目がある)
【下目】短尾下目(真のカニ。他にはコエビ下目とかイセエビ下目とか異尾下目など最先端の甲殻類学ではやたらに下目が多くなっている)
【上科】イチョウガニ上科(ヨーロッパイチョウガニなど食用になる種のいるイチョウガニも含まれる)
【科】クリガニ科(おいしいクリガニ、トゲクリガニなどもいる)
【属】ケガニ属(ケガニだけ)
【種】ケガニ
という動物である。
甲殻類学者の酒井恒は真のカニはイセエビなどの頭部と胸部が甲羅の下に収納され、尾の部分の筋肉が退化して、甲羅の下に折れ込みフンドシと呼ばれる部分になる。真のカニの集団である短尾下目にも、アサヒガニやカイカムリのように真のカニではないものが混ざっているとしている。ケガニは真のカニである。
属は知っておくと人生においてプラスになり、属以上は知りたい人だけのもので、知っていると人生の薬味になる。
ちなみに「カニ」は本来、分類学的な言語ではなく、例えば源順(911-983 もっとも平安時代的な時代とされる藤原道長・頼通の祖父・曾祖父の代)などのいた平安時代半ばまでは、あやふやであり、平安時代になっても比較的一定の動物だけに使われた言語でしかない。

岩手県宮古産ケガニはとてもうまかった!

ケガニ

さて、意識を市場にもどす。
今回のものは岩手県宮古産だという。茨城県以北の太平洋側は沖合いでの底曳き網が盛んで、ケガニはときにまとまって揚がる。北海道がいちばんケガニの水揚げ量が多く、南に下がるほど減る。
これは日本海側でも同じで、日本海側では島根県浜田市が漁業的南端にあたる。
ということで、種としては別に珍しくもないケガニを、ボクが買ったのは岩手県宮古産だったからだ。
残念ながら堅ガニ(脱皮後、甲羅が徐々に堅くなる。堅い方が味がいい)でなく、その上、三陸もの物の評価は比較的低い。
それにも関わらず、ゆでて食べたら、とても満足、&満足する味であった。
カニクイではないボクも美味しゅう頂けた。


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