第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
三十二巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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沼津の底引き網漁
 毎年5月の中旬から9月の始め、中旬頃までが禁漁の沼津の底引き網が8日に解禁になり、9日には競りにかけられる。多くの人々がこの解禁を待ち受けている。なぜなら駿河湾の多彩な魚貝類の多くが深海性のものだからだ。高級なアカザエビ、ボタンエビ、アカムツにアラ。そして、珍妙なごそ(ハシキンメ)、げほう(トウジン)などが競り場いっぱいに並ぶ。このどれもが寿司ネタとしての可能性を秘めている。そして、すでに何種類かは沼津や戸田、土肥などで名物の地魚寿司として人気がある。今年も底引きの解禁が間近となって駿河湾の深海からの幸を寿司にして何種類が見てもらいたい。
タカアシガニ 2005年9月3日 156
「世界最大のカニを食べてもいいの?」なんて我が家の子供から聞かれたことを今でも思い出す。これが実際に戸田や土肥では名物となっていて観光資源として重要なものなのだ。底引きで揚がったばかりのを沼津から遠路持ち帰り、やや水分が多いので茹でるのではなく蒸し上げる。蒸し上げた脚を一本とって身をすすってみるとなかなかいい味わいである。もちろんタラバガニやズワイガニには劣るもののこれなら結構楽しめる。これが、たかさんに食べてもらうと評価は途端に厳しいものとなる。要は値段である。「これがズワイやタラバガニと比べて高いんじゃどうしようもないだろ」。確かに寿司にしてそれほどうまいとも思えない。多分、これを東京に持ってきても活けで水槽に入れて姿形の面白さを楽しむだけに終わる。すなわちタカアシガニは産地で食うべきか?
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
シモフリハナアンコウ 2005年9月4日 157
 駿河湾では我が国でとれるアンコウ科のほとんど総てがとれる。当地で定点的に水産生物を見てきている飯塚栄一さんによると現時点でみていないのはミノアンコウだけだという。とすると沼津でアンコウの食べ比べもできるはず。その筆頭はやはり本鮟鱇であるキアンコウ、次ぐのがくつ鮟鱇のアンコウだろうと思っていた。それがこんなところに人に知られず、美味極まりないアンコウがあるなんて思いもしなかった。それこのシモフリハナアンコウである。キアンコウよりもむしろ身がしっかりしている。肝もうまいのであるから寿司になる。これを2かん、上に蒸した肝をのせてみた。やや淡白に過ぎるきらいのある白身ではあるが、食感がいい。それに微かだけれど甘みがあり、肝の旨味と合わさると、なんともうまい。『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんも寿司ネタとして「いいね」と太鼓判を押してくれる。
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千尋蛸/チヒロダコ 2005年9月5日 158
 沼津や三河湾、三重県尾鷲など深海底引きのある港では普通に水揚げされている。一般に見られるマダコなどと比べると足が細長く水分が多いのか、べたっとしている。これを産地では茹でてマダコ同様に食べている。「味はどうでしょうか?」というと沼津の仲買、山丁・菊貞、菊地利雄さん曰く、「味はいいんです」とすすめてくれる。これを塩で揉んで番茶で茹でる。茹で時間はほんの5〜6分。明らかにマダコよりも火が通りやすく、茹ですぎは禁物である。このゆでたてがなんとも言えずうまい。残念ながらマダコと比べると身に風味というか香りがなく、また軟らかい。これを江戸前寿司職人の渡辺隆之さんがどう思うか? こわごわ差し出すと、「味はないけどいけるんじゃないの」ということで私もパクリ。握りにすると風味に乏しい、それでも味はある。ほどほどに食べられるネタに、感動も無しということだ。
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ソコアマダイモドキ 2005年9月6日 159
 深海魚といってもそれほど深い場所ではなくキンメダイやアカザエビと同じくらいの、それでも暗い海底でとれる魚である。それもあまり量の多い生き物ではないようで、そのような生き物があがる沼津の底引き網でも数が少ない。この魚がいかにうまいものであるのか知る人はこれまた驚くほど少ないだろう。近縁でそっくりさんのソコアマダイとともに「どえらくうまい」魚なんである。この魚は焼いても煮てもうまいというところではアマダイに似ているが皮目はアコウダイに似ていなくもない。そして刺身のうまさは両種を凌ぐと思われてならない。それが証拠に初めて、これを食べたときの渡辺隆之さんのとまどった表情からうかがい知れるだろう。すし飯に合うとかどうとか以前に身の味わいが深いというか、甘みが強いというか、一度食べたらやめられなくなる。当然、寿司はまさに絶品であるからお試しを!
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げほう/トウジン 2005年9月7日 160
 相模湾、駿河湾の深海の魚である。かなり怪異な姿形で見て面白いものの食指は動きようがない。トウジンというのは「唐人」のことだとしたら幕末にディアナ号が下田で遭難して戸田でそれを修理したとことの関連を思う。伊豆の片田舎に突然現れた「唐人」すなわちロシア人の高い鼻と、深海魚トウジンのとんがった鼻っ面を考えると間違いなく名の由来であろう。硬いウロコに柔らかな白身、頭が大きいので歩留まりが悪く身割れしやすい。ただ白身のしかも味のある身であるから刺身にも向いている。寿司ネタにもなる。それが証拠に駿河湾に面する戸田や土肥などでは「げほう(トウジン)の握り」は名物となっている。これを初めて食べた渡辺隆之さんは生粋の江戸前握りの職人である。その、たかさんも味の良さには太鼓判を押す。そして今回はたっぷり楽しみましたよ、トウジンの握りを!
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