ホウセキキントキ

Scientific Name / Priacanthus hamrur (Forsskål,1775)

ホウセキキントキの形態写真

SL 37cmcm前後になる。尾鰭は湾入形。
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SL 37cmcm前後になる。尾鰭は湾入形。生きているときには宝石とまではいかないが赤く輝いて見える。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ亜目キントキダイ科キントキダイ属

    外国名

    学名

    Priacanthus hamrur (Forsskål,1775)

    漢字・学名由来

    漢字 宝石金時
    由来・語源 ルビーを思わせる色合いから「宝石」とつけたもの。
    キントキ/「金時」という言葉は「赤」と同じ意味合いを持つ。これは坂田金時をモデルにした歌舞伎『怪童丸』が赤い衣装を身につけていたため。またカネヒラという地域もあるが、江戸浄瑠璃に「金平浄瑠璃」があり、坂田金時の子の坂田金平(公平。きんぴら、かねひらとも)が活躍する。「かねひら」も同様に「赤」を表す。
    Forsskål
    ペール・フォルスコール(ペーテル・フォルスコール)。ヘルシンキに生まれる。『諸動物の記載』【DESCRIPTIONES ANIMALIUM』(PETRUS FORSSKÅL,1732-1763 CARSTEN NIEBUHR,1733-1815】。『コペンハーゲンの教授ペーテル・フォルスコールによって東方への旅行中に観察された哺乳類、鳥類、両生類、魚類、昆虫類および下等動物の記載。著者の没後、カールステン・ニーブールによって編纂さる付録として海路の薬用草本〔の目録〕と紅海の地図を付す』。紅海東岸の魚類をミナミヒメジ、バラハタ、オオモンハタ、ナミハタ、ナンヨウツバメウオ、トゲチョウチョウウオ、モンツキクロハギほか。デンマーク国王フレデリク5世が後援して博物学者のフォルスコールが率いた6人のアラビア探検の途中、1763年マラリアのためにイェリームの町(現イエメン)にて客死。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深100-200m。
    宮城県気仙沼、八丈島、相模湾-屋久島の太平洋沿岸、九州西岸、琉球列島、沖縄舟状海盆。
    韓国釜山、済州島、台湾南部、香港、東沙諸島、西沙諸島、紅海を含みマルケサス諸島までのインド-太平洋域(ハワイ諸島をのぞく)。

    生態

    基本情報

    比較的暖かい海域の岩礁機にいる。刺し網や釣りでとれるが量的には少ない。関東では珍しい魚ではないが、探しても必ずあるとは限らないといったもの。
    非常においしい魚であるが、その評価は味に対して低すぎる。大型は高級魚になってもおかしくない。

    水産基本情報

    市場での評価 主に西日本でとれる。関東では入荷はいたって少ない。やや高値。
    漁法 定置網
    産地 鹿児島県

    選び方

    触って張りのあるもの。赤いもの(退色していないもの)。

    味わい

    旬は春〜初夏。ただし年間を通して味がいい。また小さい個体の味がいいのが特徴だろう。
    鱗は硬く取りにくい、特に腹鰭周りなどは取ること自体が難しい。皮は薄い。骨は細くやや硬い。
    透明感のある白身でやや赤みがかる。熱を通しても硬く締まらない。
    あらなどから実にいいだしが出る。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ホウセキキントキの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、カルパッチョ、ポケ、セビチェ)、煮る(煮つけ)、焼く(塩焼き、丸焼き)、揚げる(フライ、唐揚げ)、ソテー(ムニエル)

    ホウセキキントキの刺身 大型はなんと言っても刺身にして美味。三枚に下ろして皮を引き単純に刺身にする。血合いが非常にきれいで、身に透明感があり長続きする。食感もよくて最上級の味である。

    ホウセキキントキのカルパッチョ 薄切りにして適度に硬く、透明感がる。カルパッチョにしてよしである。ここでは皿にオリーブオイルとにんにく、塩をまぶしてトマト、薄切り身を並べていき上からとんとんとたたいて馴染ませる。軽くライムを振り、塩、オリーブオイルをかける。日本酒よりもワイン、パンに合う。

    ホウセキキントキのマリネ(ポケ、ポキ) 刺身にして歩留まりのいい魚ではない。当然、刺身にすると無駄な部分が出て染しまう。これをうまく使うには、マリネして食べるのがいい。柑橘類や塩、しょうゆなどで和える。ここでは細かく切り、トマトなどの野菜と合わせ、ホットチリソース、ごま油、しょうゆ、塩を合わせ混ぜる。

    ホウセキキントキの煮つけ 水洗いして適当に切り、湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流し、酒・しょうゆの味つけてあっさり煮たもの。砂糖、みりんなど甘味を加えてもおいしい。煮ても硬くならず、身自体にも甘みがあってとてもうまい。

    ホウセキキントキの塩焼き ここでは兜(頭部)を使ったが、切身を使ってもいい。また中骨周りを焼いてもいい。頭部に金串などでちょんちょんと穴を開ける。振り塩をして1時間以上寝かせてじっくりと焼き上げる。うまさは無類。皮下は蒸し煮したようにしっとりして、実に濃厚なうま味がある。

    ホウセキキントキのフライ 刺身にするには鮮度的に難アリなら、フライにしてもいい。三枚に下ろして腹骨をすき、血合い骨を抜き皮を引く。塩コショウしてバッター液(卵、小麦粉、水を合わせた衣)をつけてパン粉をまぶしてかりっと揚げる。揚げても硬く締まらず、ジューシー。身自体にもうま味がある。

    ホウセキキントキの唐揚げ 小型は適当に切る。大きなものは半身を適当に切って揚げるといい。切身の水分をよく拭き取り、片栗粉をまぶして二度揚げ。さくっと香ばしく、小骨まで気にならず食べられて美味。

    ホウセキキントキの皮の唐揚げ 小さい個体でもすしダネや刺身になる。こんな時は鱗は引かず、そのまま三枚に下ろして皮をひく。この皮を素揚げ、もしくは片栗粉をまぶして揚げると非常においしい。

    ホウセキキントキのバター焼き 切り身にして塩コショウして、多めの油で皮目が香ばしくなるまでソテーする。仕上げにマーガリン(バターでもいい)で風味づけする。沖縄県では白身魚などをこうやってご飯のおかずにする。特にしょうゆをたらすとご飯がすすむ。

    ホウセキキントキの潮汁 あらを集めて置く。小さな物は水洗いして適当に切る。これを湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよく切り、昆布だし(水でも)で煮だして酒・塩で味つけする。実にうま味豊か、おいしい汁になり、あらに付着した身もおいしい。

    好んで食べる地域・名物料理


    ジュサカーヒーチーの煮つけ 沖縄本島で食べた煮つけ。豆腐と一緒に煮ることが多い。あっさりとした甘辛い味わいで、一般家庭でも日常的なおかずだ。[くじらばま 沖縄県うるま市]

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/田中水産(鹿児島県鹿児島市 ■http://tanakasuisan-kagoshima.com/)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)

    地方名・市場名

    ジュサカーヒーチー
    場所沖縄県南城市知念漁協 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    ヒーチ
    場所沖縄県石垣島 参考河村雄太さん 
    タマメ
    場所高知県安芸郡東洋町甲浦 参考20190724 東洋町道の駅干もの 聞き取りも 
    アカメ キンメダイ ハマアカメ
    場所鹿児島県種子島 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
    イチグサラー
    場所沖縄 
    トージ
    場所高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協 
    アカネバリ アカンベ ウマヌスット カゲキヨ カネヒラ キントオジ キントキ
    参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    キントキ カゲキヨ
    参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
  • 主食材として「ホウセキキントキ」を使用したレシピ一覧

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