ぼうずコンニャクの食べる魚貝類だけでなく多彩な生物の図鑑です。掲載種は2000種、食用の水産生物の一般的なものは総て網羅。検索法・食べ方を詳しく解説しています。

タイラギ(Pen-shell, Fan-shell)

学名:Atrina (Servatrina) pectinata (Linnaeus,1767)

代表的な呼び名タイラガイ

タイラギの形態写真

35センチ前後になる。貝殻が三角形、薄く黒もしくは濃いオリーブ色。1990年代にタイラギは2種に分類しなおされていて、「貝殻の表面に放射状にはっきりした筋が入り、やや棘立つものをリシケタイラギ」、「表面が滑らかなものをタイラギ」とされている。

  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    ★★★

    知っていたら通人級

    ★★★

    一般的な水産物(流通量は多くも少なくもない)

    ★★★★

    非常に美味
    分類
    軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱ウグイスガイ目ハボウキガイ上科ハボウキガイ科クロタイラギ属
    外国名
    Pen-shell, Fan-shell
    学名
    Atrina (Servatrina) pectinata (Linnaeus,1767)
    漢字・由来
    漢字 平貝、王に玉へんに兆
    由来・語源 『五百介図』(1684-1687)より。平らな貝だから。有明海周辺での呼び名「たいらぎ」からとったものだろう。各地で「たいら」+「貝」と呼ばれている。この「貝」を「げー」、「ぎ」、「ぎゃー」などと呼ぶことから。
    地方名・市場名
    別名、ズベタイラギ。
    タカサゴタイラギ、ズベ、ズベタイラギとも。
    関東の市場やすし屋ではタイラガイ。
    佐賀県、長崎県では貝柱を取り除いたヒモや足などをビラ。
    インジラッポ、ウチワッカイ、エビスガイ、エベスガイ、エボウシガイ(烏帽子貝)、オオギガイ(扇貝)、オーギノカェ(扇の貝)、オノガイ(斧貝)、カイバシラ(貝柱)、キャーバシラ(貝柱)、カラシヌビースクー、カラスガイ(烏貝)、カラスゲ(烏貝)、クソガキ、クソサライガイ、クワカキ(鍬牡蠣)、コトリガイ、ジランボ、タアラギ、タイラガイ、タイラギャー、タイラゲ、タイラベ、タチガイ(立貝)、タチガエ、タッゲ、タテガイ(縦貝)、タテギャ、タテボラ、チャーラギ、テーラク、チェラゲェ、ババガキ、ババトリ、ババトリギャー、ヒイランボ、ヒョウゲ、ヒョロロ、ヒラッポ、ヒラブ、ヒランボ、ヒランボー、ヒランポ、フシガイ、フナワリケー、ヘエナ、ヘラボウ、ヘランバー、ホウチョウガイ、ポンカキ、マサカリカイ。
    生息域
    海水生。福島県、日本海中部以南から熱帯域まで棲息。
    生態
    雌雄異体。
    生殖腺の色(クリーム色-雄、赤-雌)。
    産卵期は7月〜8月。
    1年で10センチ以上、6年で30センチ前後になる。
    水深10メートル前後の砂泥地にとがった方を突き刺すように生息。
    無数の糸を放出して泥に碇を打ってとどまっている。
    大きい貝柱は、前後に2つある後方のものが中央に移動して大きくなったもの。とんがった部分に小さい前方にある貝柱がちゃんと残っている。
    基本情報
    タイラギ類総論
    タイラギは国内で食用になる二枚貝としてはもっとも大型になる。
    ただし一般に食べる部分は貝柱のみ。
    ヒモなどを食べるのは比較的関東などでは希である。
    大きい貝殻に一個だけの貝柱を食べるために、非常に高価なものとなる。
    一般にはほとんど出回らず、主に料理店などで利用される。
    また高級すしネタのひとつでもある。
    タイラギのヒモなど食べられるのは貝柱だけではなく、ヒモ、小さい方の貝柱、足など。九州などでは貝柱以外を「びら」という名称で生食用として販売している。貝柱に勝とも劣らずの味だ。
    水産基本情報
    市場での評価 入荷は年間を通じてある。国産よりも韓国などからの輸入ものをよく見かける。1個あたり400円から600円と、貝柱を主に食べる二枚貝としては非常に高価。
    漁法 潜水漁、タイラギこぎ漁
    主な産地 韓国、国内では三河湾(愛知県)、岡山県、香川県などのものを見かける
    選び方
    活け(貝殻つき)、剥き貝ともに貝柱の太っているもの。貝柱に透明感のあるもの。
    味わい
    旬は春
    貝殻は薄くて硬いが割れやすい。可食部分は主に貝柱で、ヒモや小さい方の貝柱は硬い。
    熱を通すと硬く締まる。
    栄養
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    料理法
    貝柱刺身、ビラ刺身(酢の物)、貝柱天ぷら、貝柱・ビラバター焼き、貝柱・ビラ煮つけ、ビラ炊き込みご飯
    タイラギの刺身刺身 一般に関東では貝柱を刺身にする。完全に生でもいいが、表面をあぶると旨みと甘みが増す。写真は軽く湯通ししたヒモと前方の小さな貝柱を脇に加えている。
    ビラ刺身 九州などではビラ(ヒモ、小さい方の貝柱、足の部分)も刺身で食べる。すり鉢などに入れ、塩を加えてかき混ぜるようにしてヌルを取り去り、よく滑りを取るように洗う。これをしっかりやらないと生臭い。これも歯ごたえがありうまい。また酢の物にしてもよい。
    タイラギの天ぷら天ぷら
    天ぷらも美味。高温で揚げて中は生という状態が貝柱の旨み、風味が生きる。
    タイラギのバター焼きバター焼き
    貝柱・ビラともにバターで焼くと、非常にうまいが贅沢である。オリーブオイルやヘイゼルナッツオイルでソテーしてもいい。
    煮つけ 九州などでは貝柱以外のヒモや脚なども食べる。甘辛く煮るとおかずにもなる。
    炊き込みご飯 ビラ(貝柱以外のヒモなど。下ごしらえは刺身と同じ)は炊き込みご飯に使う。上品な中に貝らしい旨みがあって美味。
    ゆでる ヒモなどはゆでて酢の物にしてもよい。
    好んで食べる地域・名物料理
    加工品・名産品
    筑紫漬け 福岡県。タイラギの貝柱をみりん粕につけたもの。
    釣り情報
    歴史・ことわざ・雑学など
    ■一大産地であった有明海で激減。非常に深刻な状況となっている。
    ■有明海などでは養殖が試みられている。
    ■景行天皇(12代)の熊祖征伐のおり、八代海を渡るとき不知火(しらぬい)の明かりで無事上陸することができた。この不知火は八朔(旧暦の8月1日)の大潮のとき干潟で夜にタイラギ漁をとるかがり火のことである。
    ■とんがった方から泥に放出される糸を集めてイタリアのシシリー島ではショールや手袋、スカーフなどを作り、この糸をタレンチネという。『貝の博物誌』(波部忠重 保育社)にあるが意味不明。
    参考文献・協力
    『貝の博物誌』(波部忠重 保育社)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『美食主義者の貝エピキュリアン』(奥谷喬司 日本出版社)
  • 主食材として「タイラギ」を使用したレシピ一覧

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