オヤビッチャ

Scientific Name / Abudefduf vaigiensis (Quoy and Gaimard,1825)

オヤビッチャの形態写真

体長17cm前後になる。体側に5本の明瞭なオビがある。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度


      食用として認知されていない
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ベラ亜目スズメダイ科オヤビッチャ属

    外国名

    学名

    Abudefduf vaigiensis (Quoy and Gaimard,1825)

    漢字・学名由来

    漢字 不明 Oyabiccha
    由来・語源 不明。
    『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)の「あやびつちあ 琉球」がいちばん古い。
    親魚になっても、赤ン坊のように小さく可愛い魚 〈分類方言辞典・全国方言辞典には「ビッチョ・ビッチャゴ。佐賀・壱岐で、赤ン坊」としてあり、民俗学事典には「ビッチャ。東北・北陸方面で、赤ン坊のこと」となっている。関西方言では、これに類似するものに「ビッタ」というのがある。仮に、オヤビッチャの《オヤ》を「親」と解するならば、この呼称の語意は「親になっても、赤ン坊のように小さく可愛い魚」ということになるだろう〉『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深1〜12メートルの内湾、サンゴ礁・岩礁域、
    [北海道紋別市/11月01日 成魚]、青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、屋久島、琉球列島。
    済州島、台湾南部、インド〜西太平洋。

    生態

    基本情報

    小魚で琉球列島以外でとれても小型であるため利用している地域は狭いと思われる。
    白身でクセのない魚なので沖縄などではときに食べているものと思われる。

    水産基本情報

    市場での評価 流通している地域は非常に狭いと思われる。安い。
    漁法 追い込み漁
    産地 沖縄県

    選び方

    触って張りのあるもの。横縞がはっきりしていて地色の明るいもの。

    味わい

    旬は不明
    小魚であるが、身に厚みがあって小骨が少ない。
    鱗は薄く取りやすい。皮はやや厚みがあって硬い。骨はあまり硬くない。
    透明感のある白身で熱を通しても硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    オヤビッチャの料理法・調理法・食べ方/煮る(煮つけ)、揚げる(唐揚げ)、焼く(塩焼き、干もの)
    オヤビッチャの煮つけ
    オヤビッチャの煮つけ 水洗いして、一度湯通しして、氷水に落とし残った鱗などを取り、よく水分をとる。これを酒、砂糖、しょうゆ、水の中に入れて煮上げていく。クセのない味で身離れがよくおいしい。


    オヤビッチャの唐揚げオヤビッチャの唐揚げ 頭部を落として、切れ目をいれ、片栗粉をまぶして二度揚げしたもの。香ばしく、白身の甘さも感じられて美味。
    オヤビッチャの塩焼き 水洗いして振り塩して一日寝かせてじっくり焼き上げたもの。少し乾かしてもいい。身離れがよく、なかなかのうまさ。ただし沖縄県石垣島で4月後半にとれたものには脂がなく、時期による変化などこれからの課題多しである。

    好んで食べる地域・名物料理

    へき釣り 鹿児島県屋久島では夏に子持ちになって群れを作るヘキ(オヤビッチャ)を釣る。不思議なことに漁の対象ではなく、島民の夏の娯楽といったもので、味のよさもあって人気が高い。『南日本の民俗文化誌3 トカラ列島』(下野敏見 南方新書)
    〈へき釣り……ヘキはサンゴ礁の瀬の沖の切れ目にいる。ヤドカリが子を産んでいるのを見つけて、子を針につけて釣る〉があるが、この場合も本種である可能性が高い。

    加工品・名産品

    釣り情報

    鹿児島県屋久島町では「へき」。夏の釣りものとして人気が高い。ウキ釣りでアミなどをエサにして防波堤(波止)などから狙う。産卵群で味がいいと言う。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/渡辺岳人さん(まるとみ渡辺水産/北海道紋別市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『南日本の民俗文化誌3 トカラ列島』(下野敏見 南方新書)

    地方名・市場名

    セセラ マツウオ
    場所和歌山県和深 参考文献 
    シマハギ
    場所和歌山県田辺 参考文献 
    シマヤハギ
    場所和歌山県田辺市 参考文献 
    タネラー
    場所沖縄 参考文献 
    タナンラ
    場所沖縄県伊良部島 参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 
    アヤビチャー サンネンヤー
    場所沖縄県南城市知念漁協 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    ビングシハギ[鬢櫛] ビングシ
    場所高知県柏島 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    アブラユオ アブラユオ アブラウオ
    場所高知県須崎 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    アヤビキ
    場所鹿児島県奄美大島安脚場・安仁屋 参考文献 
    ビングー ビングッシー
    場所鹿児島県種子島 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
    アヤメー
    場所沖縄八重山 
    タナッタ
    場所沖縄県宮古 
    ヘキ
    場所鹿児島県屋久島町安房・宮之浦、 
    ハヤビキ
    参考文献 
  • 主食材として「オヤビッチャ」を使用したレシピ一覧

関連コンテンツ