石川県金沢港から来たブリで、ねぎぶ鍋

脂ののったブリは保ちがいいので、料理たっぷり作れる

石川県産ブリ

25日に、八王子総合卸売協同組合、舵丸水産で買った石川県金沢港から来たブリは、28日の時点でほぼ料理し尽くし、食べ尽くした。あとは、切れっ端と、保存食や漬け魚しか残っていない。
余談だが、脂の乗った魚の切り身は保ちがいいのである。確かに表面は酸化して色変わりするが、そこを切り落とせば使える。もちろん保存温度にもよるが、チルドで保存すれば、鮮度のいいものなら下ろして4日後でも、K値(魚の筋肉内のアデノシン三リン酸の分解の度合いで、高いほど鮮度が悪い)はあまり高くない。
昨夜は切り落としたブリの身で、「ねぎぶ鍋」を作った。江戸時代に江戸の町で流行りに流行った「ねぎま鍋」のブリ版である。
1月下旬は1年でもっとも寒い時季だ。ちなみに東京都多摩地区は都心よりも2、3度気温が低い。
新年早々、医者から高血圧だと言われ、眩暈という病気持ちなので、今年はやけに寒いのが辛く、年齢からして一年でもっとも苦しいときを迎えている。しかも寸暇がない。
一日のデスクワークを3時間刻みにして、間に居眠りをし、撮影と料理をすると、午後8時くらいにぼんやりできるときがくる。
1月のこの時間帯こそが、ボクの「鍋どき」である。

寒い冬に凪たっぷりの「なぎぶ鍋」で温まる

ぶりま鍋

寒くなってうれしいのは「泥ねぎ」が店頭に並ぶことだ。抜いたままの1本ネギ(白ねぎ)を数本袋に入れてあるもので、意外に地域性があり関東以北に多いものだと思う。直売所に行くと1袋買い、八百屋でも買いするので、我が家はいつの間にかネギだらけとなる。泥っぽい袋から出して泥を落として数えると6本も残っている。これを全部適当に切ったらボウル一杯になった。
半端なブリの身はできるだけ大きめのサイコロ状に切り、湯通しして冷水に落として、表面の滑りを流して水分を切る。
割り下汁を作る。醤油1・みりん1・酒1を合わせた中に最初は4くらいの水を加えて煮立たせて味を見る。甘味が欲しいなと思ったらみりんを加え、こくが欲しいなと思ったら酒を足す。全体に濃度が濃いなと思ったら水を足せばいい。
これをコンロに乗せられる鍋に入れて煮立たせ、ブリもネギも放り込んで煮ながら、アツアツっと言いながら食うのである。
ちなみにうま味が欲しいな思えば勝手に、化学調味料でもだしの素でも加えるべし。料理は無法でなければいけない。
ほぼねぎの「ねぎぶ鍋」は食えば食うほど癒やされる味である。
だいたいブリの身は脂があるので煮ると軟らかい上に、うま味が豊かである。
余計な脂は煮汁に溶け出すので、ブリはあまり脂っこくなく食べられるのもいい。
「ねぎ」が料理名の先に来るのは、ネギが主役だからだ。
ネギは出来れば最後まで4分の1くらい鍋に残して置いて、ネギだけをご飯に乗せて食べるべし、だ。当日、飯の友にしてもいいが、翌日の方がもっと飯に合う。
残念ながらボクは、神奈川県松田の「松みどり」をちびちび5勺だけ。


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