料理法・レシピ

アカヤガラの二日干しは最高!

小田原魚市場はアカヤガラだらけ

小田原魚市場,アカヤガラ

師走になり、水温が下がってくると国内での水産物の漁獲量は極端に減る。それとは対照的に水産物が非常にうまくなる。
漁で揚がる水産物(水産生物)の多彩さがなくなり動物学的な頭脳は喜ばないが、どれもこれもがうまいので、普通の生活人としての頭脳は喜びに満ちて踊り出したくなるほどである。
1週間の内に食べた魚の種類は神奈川県小田原市小田原魚市場で見つけてきたものをも含めて20種あまり、軟体類である貝やイカなども7種食べているので、たくさんの料理を作り、うまいものずくめだった。
一週間のこれが一番という一品が決めにくい。
あれこれ迷ったが、すぐにでも、もう一度食べたいと、今まさに思っているのはアカヤガラの干ものである。味のインパクトが強くて食べたときの記憶が抜けない。
素直に考えて、今週の1位はアカヤガラの干ものである。
寒くなると、神奈川県小田原魚市場ではにまとまって揚がるようになるのが、大小とりまぜてのアカヤガラである。12月8日の最大は1.5kgもあった。
基本的に買受人が狙うサイズは食べ頃で、買い頃の1㎏前後だ。今回手に入れた個体1.08kgはその点からしてもドンピシャリだった。
1㎏を超えると値が跳ね上がるが、値段以上の味わいで、過去に買って後悔したことはまったくない。

皮はかりかり身はジューシー

アカヤガラの干もの

さて1㎏を超えると、水洗いして三等分にしてから調理することになる。今回は贅沢に小骨のない、いちばんうまいところ、真ん中を干した。
3枚に下ろして水分を拭き取り、立て塩に10分くらい漬け込む。漬け込む時間は気温や大きさによって変わる。小さければもっと短くてもいい。
水分をよくきり、干し加減をみながら2日間干した。気温が低いものの風がなかったために干し時間が長くなった。
皮の表面が干からびるくらいまで干したが、これを三重県尾鷲ではかんぴんたん、島根県石見ではしんしびー、という。
干し上がりを焼き始めるとすぐに甲殻類であるエビのような香りがたつ。
この香だけで値千金である。
焼き上がりを食べると、非常に香ばし、くしかも身は豊潤である。
アカヤガラは脂ののりのわかりにくい魚であるが、身を割ると脂が溶け出してくる。この脂の濃厚なうま味が口中に広がる。
もともと味の偏差値の高い魚であるために、どう料理しようか悩みに悩むが、次回以降も干もの作りだけは必至、となるだろう。


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