ぼうずコンニャクの食べる魚貝類だけでなく多彩な生物の図鑑です。掲載種は2000種、食用の水産生物の一般的なものは総て網羅。検索法・食べ方を詳しく解説しています。

マボヤ(英名/Sea squirt)

学名:Halocynthia roretzi (von Drasche)

代表的な呼び名ホヤ

マボヤの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
赤く強い皮に包まれ、無数の角状の突起のあるイボがある。身体の上部には入水管、出水管がある。養殖ものは赤が強く、天然ものは薄い。瀬戸内海などには真っ白い個体(画像いちばん下 広島県倉橋島日美丸さんから)がいる。出水管は−(マイナス)形、入水管は+(プラス)形をしてる。養殖は赤味が強く、イボが少なく太く低く大きい。

マボヤの形態写真

赤く強い皮に包まれ、無数の角状の突起のあるイボがある。身体の上部には入水管、出水管がある。養殖ものは赤が強く、天然ものは薄い。瀬戸内海などには真っ白い個体(画像いちばん下 広島県倉橋島日美丸さんから)がいる。

  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    ★★★

    知っていたら通人級

    ★★★

    一般的な水産物(流通量は多くも少なくもない)

    ★★★

    美味
    分類
    脊索動物門尾索動物亜門ホヤ綱マボヤ目マボヤ亜目マボヤ科マボヤ属
    外国名
    英名/Sea squirt
    学名
    Halocynthia roretzi (von Drasche)
    漢字・由来
    漢字 真海鞘、真老海鼠、真保夜。
    由来 ホヤの代表的なもの。
    ■ 炎のように赤い色をしているから「火焼け(ホヤ)」。
    ■ ほや(宿り木)が根を張るに似ているから。
    ■ 海鼠(なまこ)の老いたものだから「老海鼠」か?
    地方名・市場名
    一般に単にホヤ。
    アイヌ語で「トツイ」。
    生息域
    海水生。
    九州北部、瀬戸内海、日本海、三河湾以北の太平洋側、北海道。朝鮮半島、山東半島。
    生態
    ■ 産卵期は秋から冬、春。
    ■ 岩や貝などに付着。
    ■ 入水管と出水管を持ち、入水管で水中の微少なプランクトンなどを摂取、出水管でこした海水や排泄物を出す。
    ■ 雌雄同体。
    ■ 幼生期にはオタマジャクシに似た形態をしていて(オタマジャクシ幼生)、脊索がある。その後付着生活に入る。
    基本情報
    ホヤ類総論
    ホヤは幼体のときには脊索があり、魚に近い形態をもっていて、魚など脊椎動物の祖先にあたるとされている。自由生活の後に岩などに着生し、ツニシンで出来た丈夫な被嚢(ひのう)に包まれ、海中の有機物などをとり、成長する。
    浅い場から深海にまでいるものだが、食用となっているのは比較的浅場に多いものばかり。
    もっとも多く食べられ、養殖が行われているのがマボヤ。これに北国にいるアカボヤが少ないながら流通する。また韓国や東南アジアではエボヤ、シロボヤなども食べられている。

    マボヤはもともとは青森県、三陸などで細々と食べられていたもの。
    宮城県では1920年代に養殖がはじめらて、岩手県などにも広まっている。
    20世紀の終わりから全国的に流通するようになり、現在では加工品をはじめ、徐々に認知度が高まっている。
    水産基本情報
    市場での評価 宮城県、岩手県、北海道などで養殖が行われていて年間を通して入荷の多いもの。天然ものはやや少ない。皮をむいて海水と一緒に袋詰めされたものと、活けのものがある。重さではなく1個単位で売る。養殖もので1個卸売り価格で100円前後。天然もので200円ほど。
    漁法 養殖、潜水漁
    主な産地 宮城県、岩手県、青森県
    選び方
    触って膨らみがあり、張りのあるもの。しぼんでいたり、触ってしぼむものは古い。
    味わい
    旬は夏
    袋状の殻のなかに橙色、薄い黄色の筋肉があって、これを食べる。
    筋肉は弾力がありかむとシコっとした食感がある。
    独特の苦みがあり、甘みが微かにする。
    食べた後に水を飲むと冷たく感じる。
    栄養
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    生食(刺身、酢の物)、汁(だし)、焼く、蒸す(ゆでる)、揚げる(天ぷら)
    塩辛 筋肉を塩漬けにし短時間寝かすと塩がなれる。生よりもむしろ苦みが少なくうまいくらいだ。

    ホヤの刺身ホヤの刺身
    ホヤの殻の水を受けて、塩味をつけ、そこに切り身を入れておく。これを少しずつ器にとって食べる。ホヤは醤油よりも塩と相性がいいと思うがどうだろう。
    酢の物 キュウリなどの野菜と合わせて合わせ酢(二杯酢、三杯酢)というのもいい。ただし個人的には醸造酢とマボヤの相性は疑問。
    焼きほや焼きほや マボヤを殻付きのまま3等分か4等分に切り、終始強火で焼き上げる。塩などは無用。焼くことにより、甘味が強くなり、特有の渋みも緩和される。
    マボヤの天ぷらマボヤの天ぷら ホヤを剥き、3〜4当分に切る。水分をよく取り、小麦粉をまぶしてやや硬い衣をつけて短時間煮揚げたもの。甘味がとても強くなり、苦みなどは緩和される。非常に美味。
    好んで食べる地域・名物料理
    岩手県 生のままどんぶりに入れてつるつる食べる。汁の身にする。豆腐やネギと食べる。塩を振っておくと1ヶ月くらいもつ。
    ホヤご飯 ホヤを適当に切り、しょうゆをかけてご飯にのせて食べる。岩手県釜石。
    干しホヤ、塩ホヤ、生ホヤ 宮城県。ほやだしの汁。ホヤの皮(殻)でだしをとり、醤油で味つけ。野菜やうどんを加えて食べる。
    ホヤとミズの水物ほやとみずの水もの ミズ(ウワバミソウ)は皮を剥きゆでる。ホヤは皮を剥き塩水などで洗い、切る。昆布だしに塩味をつける。マボヤとミズに昆布だしをそそぐ。[青森県弘前市・青森市・黒石市]
    ほやの雑煮ほや雑煮 宮城県石巻で作られている、干しホヤのだしで作った雑煮。だしに使った欲しホヤが具の中心となり、根菜類、青菜などが加わる。『ごっつぉうさんー伝えたい宮城の郷土食』(みやぎの食を伝える会編著 河北新報出版センター)
    ほやだし マボヤの殻を水から煮出してだしを取る。ここにマボヤの身を入れて汁にする。大根など野菜を加えたりしてしょうゆで味つけする。うどんを入れることもある。[宮城県] 『聞き書 宮城の食事』(農文協)
    加工品・名産品
    蒸しほや マボヤを少量の液体で蒸し煮したもの。
    干もの 珍しいものに三陸でからからに干したものが売られているが、これなど海の味のチップスとも言えそう。
    煮ほやゆでほや 「ゆでっぽや」とも言うらしい。皮つきのままゆでたもの。[キマル木村商店 宮城県石巻市、橫田屋本店 宮城県気仙沼]など
    ほやの塩辛塩辛 もっとも定番的な加工品。レモンなどの柑橘類と合わせるとうまい。[木村商店 岩手県下閉伊郡山田町]など
    莫久来莫久来(ばくらい) マボヤとこのわた(ナマコの内臓の塩辛)を合わせたものが莫久来(ばくらい)というのがあるが、これは非常に美味。[ヤマ食 岐阜県岐阜市]
    マボヤの燻製ほや燻製 マボヤのむき身を燻製にいたもの。どこかしらウニに通じる風味があり、生よりも食べやすい。[マルタ水産 宮城県名取市下余田]
    むきほや マボヤの皮を剥きワタなどを除き適宜に切ったもの。[大勝水産 宮城県南三陸町]
    釣り情報
    釣り物として紹介するのはどうかと思うが、実際の釣り上がってくるのだから仕方がない。福島などでソイ、メバルなどを胴つき仕掛けで海底をとんとんやっていると、頻繁に根がかりする。これを強引に引くとやや鈍い感触がして海底を離れ上がってくるのがまさしくマボヤである。マボヤが好きならソイなんて見向きもしないでマボヤ釣りもいいものである。
    歴史・ことわざ・雑学など
    ■ 殻皮(皮嚢)または外套膜という丈夫な膜で包まれているので「皮嚢類」とも。
    ■ 脊索動物門尾索亜門で人、魚、カエルなどの脊椎動物亜門と「門(分類のもっとも上位)」を同じくする。
    ■ 脊索動物門頭索動物亜門にナメクジウオ。
    ■ 食用となるのは国内ではマボヤ、アカボヤ。韓国などではエボヤ、シロボヤ(?)。
    ■ 東北太平洋側青森県、岩手県、宮城県などで主に養殖、採取されている。
    ■ 出荷までは4年かかる。
    ■ 明治時代、宮城県気仙沼で船のイカリ綱に使っていたヤマブドウの蔓についたマボヤを採取したのが養殖の始まり。
    ■ 年間約1万トン、8割前後が宮城県で、2割前後が岩手県産。
    ■ マボヤを食べる習慣があったのは東北太平洋側、青森県、岩手県、宮城県。
    ■青森県青森市では「食事をとる前にホヤを食べると、味がわからなくなる」と言う。
    ■ 「ホヤを食べて水を飲むとたいへんうまい」といわれる。
    ■ 「海のパイナップル」と呼ばれた。
    ■ 「藤の花が咲くとホヤがうまくなる」といわれる。
    ■ 「延喜式に胎貝(イガイ)と保夜(ホヤ)のすしがある。これは乳酸発酵させた「なれずし」。
    ■ 岩手県釜石市生まれの方に「子供の頃には、ホヤの皮をチュウインガムのように噛んだ」という話を聞いた。このようなマボヤに関する情報がありましたらメールでお知らせください。
    ■ 愛知県三河湾では冬に底引き網の副産物として漁獲される。
    参考文献・協力
    協力/広島県倉橋島日美丸、青森魚類
    『原色日本海岸動物図鑑』(内海富士夫 保育社)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『聞き書 岩手の食事』(農文協)、『聞き書 宮城の食事』(農文協)、『たべもの語源辞典』(清水桂一編 東京堂出版)、『青森県 さかな博物誌』(日下部元慰智 東奥日報社)、『新版 水産動物学』(谷田専治 恒星社厚生閣)、『比較動物学 アメーバからヒトまで』(M.フィンガーマン 培風館)、広辞苑、『ごっつぉうさんー伝えたい宮城の郷土食』(みやぎの食を伝える会編著 河北新報出版センター)
  • 主食材として「マボヤ」を使用したレシピ一覧

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